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2025年03月21日

「日々是好輪~第18回~ 富士ヒルシルバーリングの女性に聞いてみた。大石由美子さん、どうしてそんなに速いんですか?」

『富士ヒルでシルバーリングを獲得した女性を見た!』

女性がシルバーリングを受け取っていた。
と、私の友人の間で話題になりました。

気になって調べたところ、年代別クラスでは5名いて、2名とも前回大会にはじめてシルバーリングを獲得したことがわかりました。

その2名は年代別女子50歳以上。
ひとりは2021年から、もうひとりは2022年から参加。おふたりとも50代から参加して少しずつタイムを伸ばしています。

50代でシルバー、勇気が出るしグッときますよね。
前回大会ではブロンズの私は、どうしてもお話が聞きたい! ということでお伺いしちゃいました。

『2024年年代別優勝の大石由美子さんに聞いてみた!』

2024年のMt.富士ヒルクライム、年代別女子50歳以上で1位の大石由美子さん。

2022年に初めて富士ヒルに参加したときは1:19:37、2023年は1:19:20。
そして去年は1:13:53で見事優勝。

どうしてそんなに速いのか聞いてみました!

『はじめての富士ヒル』

ヒルクライムレースに出るきっかけは2021年の夏に2度目の膝の手術をしたことでした。
40代でトレイルランの女王と呼ばれた彼女でしたが、前十字靭帯断裂 · 内側半月板損傷 · 内側側副靭帯損傷と重い怪我を負いながらも走り続けましたが、もうこの膝では無理だと限界を感じます。

それでもできるスポーツはないか探していると、SNSで膝の怪我をした女性を見つけました。
その方は「まぬる猫」さん。変形性膝関節症になり手術をした女性で、富士ヒルは2023年年代別女子50歳以上で4位(タイムは1:19:02)。
それを知って、ロードバイクなら私の膝でも楽しめるかも! と一筋の光が見えました。

自転車が大石さんの手元に届いたのは2022年の1月。
お世話になっているショップで富士ヒルのエントリーが2月ということを教えてもらい、お客さんたちが参加するそうで、その様子が楽しそうで一緒にエントリー。
富士ヒルに出て、自分がどこまでできるか体力テストもしたいというのもきっかけのひとつでした。

「8000人ほどの参加者がそれぞれの目標に挑んでいるという一体感が好きです」と話す大石さんは、2022年、2023年のエントリーは富士ヒルだけでしたが、2024年からはヒルクライムがさらに楽しくなり、富士ヒル以外の大会にも出るようにもなりました。

『フィッティングをしたらもっと楽しくなったんです!』

「走るのが楽しいから練習してしまう」と話してくれた大石さん。
ところが1台目のバイクは、ただの移動手段で楽しさをまったく感じなかったそう。そのバイクはとりあえず通勤で乗るためにと友人がネットで買ってくれたロードバイク。学生時代もママチャリ通学だったので、自転車は単に移動手段としか思えなかったそうです。
現在のバイクはスペシャライズド S-works SL6。乗るとスイスイ進むし、乗った感想は楽しい!
このバイクはセカンドオーナーで、以前のオーナーさんがカスタムしていたそうです。

大石さんの富士ヒルの記録をみると、初出場の2022年は1:19:37。2023年は1:19:20、2024年は1:13:53と、2023年からの伸びが5分27秒と著しいことがわかります。
その理由はフィッテング。
「フィッテングのサービスって費用がかかるじゃないですか。だからずっと買ったときのままで乗ってたんです」と言う大石さん。

フィッティングをやってみようと思い始めたのは2023年の11月に行われていた浜名湖のイベントがきっかけ。ゲストライダーの一人の佐野歩さん(2022年、2023年の主催者選抜女子1位)の、「フィッティングで走りが全然変わりますよ!」と話していた言葉が気になります。
「理由を聞くとそうなんだ~と思うけど、費用も高い…。それに私でも何かよくなることってあるのだろうかと悶々としてたけど、より変化したい」と決心します。
4月の始め、3度目の富士ヒルの2ヶ月前のことでした。

そこで「これはママチャリだね」と言われたそう。
ステムも異様に短く、ハンドルとサドルの高さやバランスも合ってなかったとか。
フィッテング後は一体感を得たバイクに変身し、「走るのが楽しい!」と心から楽しいと思ったそうです。

『富士ヒルの前ってどんな練習をしてるんですか?』

コースであるスバルラインの試走は、2022年と2023年のショップの方と1回ずつ。
2024年はなんと6回! ほぼ1人で、お住まいの静岡県牧之原市からクルマで2時間ほどかけて行きます。
スバルラインを2回上るか、または1回上ってから富士イチというロングライド。

また、ズイフトで富士ヒル道場に参加。
「バーチャルとはいえ、みんなと走ると強度の高い練習ができていい!」
ひとりだとどうしても追い込むことができないので、とてもよかったそうです。
そして週1回、筋トレとピラティスをしているそうです。

『心拍と速度の管理で富士ヒルを走った2024年』

トレーニングの目安としてパワーを参考にしている人は多いと思いますが、大石さんは心拍で管理していました。
富士ヒルのときに気をつけていたのは「心拍が150だと頑張ってる感じです。それを維持するように走っています」

試走のベストタイムは1時間24分でしたが、目標は高くシルバーのタイム表をバイクに貼り付けてはいたそうです。でも何キロ地点で何時間とか考える余裕がなく、結局速度を頼りにしたそうです。

レースがスタートしコースの半分あたりでしょうか、ふとサイコンの平均速度を見ると19km/h。
「もしかしたらシルバー狙える!?」 とハッとしたそうです。
パワーメーターがないので、目安は平均速度を落とさないこと。これが功を奏したか後半もへたれず頑張れました。
ちなみにスタートからゴールまで独走だったとのことです。

補給食はというと、本番は適当なジェルを持ち、ボトルは付けないで走ります。
ボトルレスの理由は、途中で飲むと一瞬息が止まって苦しくなるからとのことです。

『機材にこだわりはあるんですか?』

SL6の魅力は軽さで、はじめて乗ったときは驚きました!と話す大石さん。
しかし機材についてはまだ詳しくなく、ホイールは買ったときについていたアルミのホイールをそのまま使用していますが、「前後で5万円くらいだそうですが、とても軽くて気に入っています」と特に不満もないとのことです。

ところが身長150cmなので乗れるバイクも限られてしまいます。
サドルの高さがハンドルと同じ高さになってしまいかっこいい前傾姿勢が取れないのが悩みです。

『いつもどんなところを走ってるんですか?』

週末は土日のどちらかを100km以上走るようにしていて、獲得標高を2000mを目指し山道や峠と繋いで走り、獲得標高が増えるのを楽しんでいるという、もはや変態です。変態は大石さんにとって褒め言葉らしいです!
ルートは行き当たりばったりというのにもびっくりです。しかもひとりで走るのが多いとのこと。
怖い思いもしたことがあり、「一度あります。山を上ったあと適当に走っていたら下りられるだろうと思っていたら、ひたすら尾根を走っていたようで小一時間彷徨ってました!(笑)」だそうです。

さらに2023年から持久力をつけるためにブルベを始め、翌年は200km、300km、400kmを2回ずつ、600kmを3回走っていて、「ああ、こんなところにこんな道があるんだ」と発見もあって楽しかったとか!

「月間走行距離は1000kmくらいです。距離を走るのでメンテナンスにお金がかかるので、自分でも消耗品の交換ができるようになりたい」とのことです。

また補給食はというと、干し芋が大好きだそうです。

大石さん曰く、「冬は干し芋も旬なので少し体重が増えるけど(体重計に乗らないのでどのくらい増えるかは不明)、富士ヒルに向けて4月頃から夜の間食は控える程度にします」
富士ヒルまでにはボディサイズはひと回り小さくなり、体型が変わるそうです。

『今年の富士ヒルは選抜でエントリー!』

大石さんは今年、主催者選抜クラス女子にエントリー。

「50代の皆さん、まだまだ伸び盛りなので一緒に頑張りましょう!
そして私より年齢が若い皆さん、無限の可能性を秘めた宝庫です。それぞれの目標に向かって頑張りましょう!」
と、メッセージをいただきました。

今年はニセコクラシックに挑戦するとのこと。満足のいく結果が出せることを心より応援しております!

日々是好輪〜 連載中

第1回 たくさん仲間ができました
第2回 スプリントとは……?
第3回 思い切って逃げてみた!
第4回 私の練習日誌
第5回 やさしい真夏の1日
第6回  “クルクルシャー”とはなんぞや。
第7回  一大イベントに初参加。そして目標達成!
第8回 ダンシングの仕方を再確認!
第9回 〜全力で走れ! 〜トラック記録会に行ってみた
第10回 軽井沢って思ってたより近いんですね ~ハルヒル試走して軽井沢でソフトクリーム食べてきた〜
第11回 ~ハルヒルはベストから2分弱更新!富士ヒルやいかに…?〜
第12回 ペーサーと走る富士ヒル!
第13回 ~この一体感がたまらない!~全日本選手権に行ってきました〜
第14回 ~みんなでハマろう、顔出しパネル〜
第15回~まえばし赤城山ヒルクライムにむけて日常の過ごし方を大切にした成果とは?~
第16回~サイクルセイフティ あの日の事故の反省と今後のために ~
第17回~グローブを自分で修理してみた!〜


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イラストレーター大野哲郎さんデザインの「uncle rinne(アンクル・リンネ)」の大会だけの書下ろしデザインです。
富士ヒルの挑戦を仲間とともに。この瞬間を刻む特別な一枚。

今回も超人気デザイナー uncle rinne による、ここでしか手に入らない特別デザインをご用意。イラストには rinne と sara が仲間たちと切磋琢磨し、富士ヒルという特別な日に挑む姿が描かれています。

「LET’S ALL GO HILL CLIMBING TOGETHER」のメッセージが、仲間とともに挑む喜びや、ヒルクライムの熱い想いを表現。シンプルながらもインパクトのあるデザインが、レースの思い出を彩ります。

カラーバリエーションは ホワイトとターコイズの2色展開。
富士ヒルを走るすべてのサイクリストに捧げる、今年だけのスペシャルTシャツです。

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