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2023年03月09日

サイクリスト あの日の夢~これからの夢 沖美穂さん(後編)「自分は何をやりたいんだ、自分は何者なのか」

「ロードの世界選手権とかはYouTubeで見たりしています。元チームメイトが監督だったり、今も走っている選手もいます。客観的に見て、女子のヨーロッパのレースは自分たちのときよりはるかにレベルが上がっていると思います」

「今は女子のワールドツアーで與那嶺恵理さんが頑張っているけど、生意気ながら言わせてもらうと、そういう人が何人もいてほしい。自分が現役の最後のころも思っていました。まゆちゃん(萩原麻由子)は当時まだヨーロッパに来てなかったですけど、もし自分がいるときに誘ったら、何かサポートできたんじゃないかなと思います。でも、当時はそこまで自分自身に余裕がなかったので、あまり若い選手と接してこなかった。もったいないことでしたね」

「今はできるかどうかわからないけど、ヨーロッパに行きたい選手を応援したい気持ちはあります。ぜひ頑張ってもらいたいし、そんなに恐れることはない… 自分は恐れていきましたけど、行ってみたらそうでもなくて、たくさん親切な人がいたり、走れる場所も機会もいっぱいあるので、絶対行った方がいいと思います」

「最後に決めるのは自分ですので、自分が何をしたいのか、何ができるのか考えてほしい。思いが募っても人との繋がりがないとできないことっていっぱいあるので、いろんな人と知り合いになった方がいいのかなと、自分の経験から思います」

現役引退後、大学院時代を挟み、社会人として10年以上経験を積んできたことで見えてきたこともある。

「選手時代は自分が主で動いていたので、30代後半からサラリーマン、公務員のような立場で仕事をするのは窮屈だなと感じていました。でも、ある人に10年ぐらいやってみないとわからないから、我慢してでも学ぶのがいいんじゃないかと言われて、去年か一昨年くらいから深呼吸ができるような感じになってきました。嫌なら辞めちゃえば楽だけど、辞めちゃったらそこまでだし、辞めると本当はどうだったのかわからない。自転車の練習と一緒ですよね」

引退後も見聞を広め、自分の生き方について考えることが大事と唱える。

「自分が日本に帰ってきたとき、自転車だけでなくどの競技でもいいからスポーツ関係者と知り合いになりたくて、積極的に動いてJOCの集まりや勉強会とか自ら出かけ、おかげさまでいろんなスポーツ業界の人とのつながりができました」

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