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2022年04月02日

【Road to Kansas】#2初海外グラベルレースに向けた準備編

INDEX


▷参加レースの概要


▷オールロードバイクとは


▷今回のレースの相棒


参加レースの概要

UCI World Gravel Seriesの記念すべき第1戦にチーム員のヤギと参加。
4月1日出発、4月3日レース、4日帰国、という週末滞在のみの短期遠征。

こちらの動画でコースの様子がよくわかる。

準備編としては、一般的なグラベル用(オールロード)バイクの特徴に触れつつ、今回のレースに合わせてどのような装備を準備したかを書きたい。

オールロードバイクとは

“一般的な”ロードバイクとの比較という点で書くと、ディスクブレーキであることがMUST、不整地を走るためタイヤが太い、バッグやフェンダーなどで積載量を確保するためのダボ穴が多い、反応性や俊敏性よりも快適性を重視、空気抵抗と戦うポジションよりも快適に楽に走れるポジションを優先、⑥歩くことも想定したシューズ&ペダル、ワイドなギアレシオ、などの特徴が挙げられる。  

①ディスクブレーキ
ロードバイクではリムブレーキ派とかディスクブレーキ不要論は存在するが、オールロードバイクを考えると、ブレーキはより小さな力で大きな制動力を発揮し悪天候やマッドコンディションにも強いディスクブレーキ一択。次に挙げるタイヤの選択肢の点でもディスクブレーキである必要がある。

油圧ディスクブレーキが一般的だが、この自転車ではEQUAL機械式ディスクブレーキを試用してみたら、これが驚くほど良い。

②ワイドなタイヤ
ロードバイクではダメでオールロードバイクでなければいけない最大の理由はタイヤ幅。トラディショナルなロードバイクではタイヤ幅は25mmまで、頑張って28mmという制約があった。ロードバイクもディスクブレーキ化して32mmくらいまでは入るのも珍しく無くなったが、オフロードも楽しむ為にはよりワイドなタイヤが必要。その為オールロードバイクはフロントフォークやチェーンステーとのクリアランスを広げホイールベースも長くしたモデルが一般的。47mmくらいのタイヤも楽々飲み込む。
自転車全般的に言えることだが、わずかな面積ながら唯一路面と接地しているタイヤの走りに与える重要度は高い。高すぎる。タイヤチョイスを軽視してはダメ、絶対。

Panaracer Gravel King SK+ 43cのタイヤとそれを楽々許容するフレームのクリアランス
Gravel King SS+ 43c 中央部がセミスリックになっていてより軽い走りを狙ったタイヤ。

グラベルキングにはSK(セミノブ)、SS(セミスリック)にそれぞれ耐パンク性を強化したPlusがあり、さらにクリンチャー(Tubed)とチューブレスがあり、サイズも32~43cまで……とラインナップが非常に充実(ただし日本では一部販売されていない商品もあり)。

今回タイヤ選びは単純明快な基準で決めた。オフロード走る技術をカバーするために、低抵抗のSSではなくハイグリップのSKを選択。またトラブル回避を最重視して多少重いけど耐パンクを強化したPlusバージョンを選択。太さは多少重くなるけどエアボリュームと低圧によりオフロードの走破性を高めるために太めの43cを選択。というわけでGK SK Plus 43c TLCを装着してレースを走ってみることにした。

以下はPanaracerホームページのグラベルキングのラインナップ。
右上の地球マークで英語に切り替えると海外のラインナップが見られる。
https://panaracer.com/products/gravel/

③荷物積載
旅行的な目的やウルトラロングに行くなら泥除けや車載バッグが必要で、そういう装備をフレームにボルトオンできるダボ穴は非常に便利。そうでない日常の自転車遊びやレースの範疇でも、オールロード走る方が通常よりも荷物は多い傾向にあるので、ロードバイクよりも荷物を運べる仕様というのは有り難い。今回の85kmのレースにおいても、パンク時の対応を考えるとチューブ(ロード用よりも太くて嵩張る)を2本、チェーンカッター付きのミニツール(オフロードライドで先日チェーン切れを体験した)などを考えると通常のロード練習のサドルバッグ一つでは足りない。
自転車の荷物搭載の為の装備を見るとなんとなくそのモデルが想定している用途が見える。

SPECIALIZED Divergeの拡張性
①トップチューブ上 、およびFフォークにボルトオンでバッグを装着可能 
②ボトルケージ台座をワンタッチで外してアクセスできるダウンチューブ内のストレージ 
③ダウンチューブ下に第3のボトルケージ台座

④快適性重視のジオメトリー
ジオメトリーはホイールベース長め、ヘッドチューブ角が小さめで直進安定性が高めの設定。見た目は同じようでもロードレースのような俊敏性を求めるジオメトリーとは微妙に異なってくる。

⑤空気抵抗よりも快適性
思いっきりエアロを意識した造形よりも使いやすさ・乗りやすさを重視した方が良い。またハンドルポジションもエアロ最優先より、ハンドリングや快適性重視でロードバイクよりやや近め・高めが良い。よってドロップハンドルの形状もドロップ量が小さくなり、不整地での安定性のために幅も広めになる。大きくフレアしてドロップ部が前から見て「ハの字」になるドロップハンドルはオールロード車の一つの特徴。これは好みが分かれるところだと思う。

ブラケットが「ハの字」になるフレア形状でドロップは小さい
ペダルをキャッチするクリートの左右に地面と設置するブロックがあり歩行性が高いオフロード用シューズ

⑦ワイドなギアレシオ
オールロードで舗装路の高速走行と未舗装の急坂の両方を想定すると、ワイドなギアレシオが必要。ただしロードレースのようにある程度高く狭いケイデンス(回転数)レンジでこまめにギアチェンジするよりは、速度域も遅くケイデンスレンジも広めで走ることが多いので、フロントシングルでリアをワイドなカセットにするというのが主流になりつつある。
私の場合、50キロメートル/h巡航でも対応できて、ローギアはギア比1.0くらいあれば良いかな、という基準で今回はフロント42Tのシングルxリアは10-44Tの12速で臨むことにした。
ギア比1.0というのは、700x42cのタイヤでケイデンス60rpmとすると時速8km弱。
もちろん激坂だともっと遅くなるのでそこは低ケイデンス・高トルクでどこまで耐えられるか。まぁ潔く降りて押すのも一手。
 

10~44Tというワイドレシオのスプロケットと対応するRED XPLRリアディレイラー

今回のレースの相棒


フレーム/S-WORKS CRUX (サイズ:54)

ホイール/ROVAL TERRA CL
タイヤ/Panaracer Gravel King SK Plus 43c(チューブレス)
ハンドル/TERRA Handlebar 400
ステム/S-WORKS SL Stem 120mm 12°
バーテープ/メーカー不明
変速/SRAM RED 1x ETAP AXS XPLR
チェーンオイル/SRAM RED 12s Flat Top
シフトケーブル/ニッセン SP31
ブレーキ/EQUAL Disc Brake
クランクセット/RED AXS 172.5mm 42T
スプロケット/SRAM RED XPLR 10-44T 12s
ペダル/SRM X-POWER
サドル/S-WROKS ROMIN EVO with Mirro 143
ボトルケージ/TACX Deva
サイコン/Garmin Edge 1030

こちらの自転車をパッキングして、4月1日にフィリピンへ。

写真と文:高岡亮寛
Twitter:@RX_Takaoka
関連URL:UCI Bongabon Gravel Philippines https://gravelphilippines.com
Rx Group https://roppongi.express/

過去の記事

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】 #1.未舗装路に誘われて

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