記事ARTICLE

2022年04月09日

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】 #4 レース、および帰国まで

INDEX


▷1.レース


▷2.装備


▷3.補給


▷4.リザルトをうけて


▷5.アフターレース

1.レース

いよいよグラベルレース当日。6時からAgeカテゴリー別でスタート。
19-34歳カテゴリーだけ幅広く、あとは35-39、40-44、と5歳刻みのカテゴリーが続く。
これは当年中に何歳になるかという数え年が基準なので、2022年10月に45歳になる私はAge 45-49のカテゴリー。
日本からの参加者はおそらくヤギ(40−44)と私のみ。
ヤギは6:10、私は6:15にスタート。

スタート前のヤギと筆者

20分以上前からスタート地点にいたので(人数からしてそこまでしなくても大丈夫だが)最前列に並べた。
85kmのレースなのでスタートがそんなに重要ではないけど、やはり少しでも無駄な力を使わない為に良いスタートを切りたい。
スタート200mでいきなり川を渡る。そこで慣れていない人に道を塞がれないようになるべく川に入るまでに好位置へ上がる。4番目で川に侵入して無事に通過。そこから河川敷上のダートまで一気に登る。30mほどの登坂は急勾配な上に砂利が大きいので、前の1人が脚をつく。
頂上付近で前の2人をパスして、川沿いの道に出るタイミングで早くもトップに立てた。

スタート直後の川渡りから堤防に登るところ。登りに差し掛かっているのがヤギ。写真で見るよりも斜度はきつく路面の砂と砂利が深いので足をつく人も多い。©️UCI Gravel World Series Philippines

200kmTTとか得意なので、一定でハイペースで走る展開が自分向きと思い、かなり走りやすい川沿いの直線道で巡航に入ると、後ろは追ってこないしあっという間に見えなくなる。
まったくこのレースのこのカテゴリーのレベルは分からなかったが、おそらく高くはないだろうというのはスタート後5分で分かった。
ただせっかくレースに来たので、自分の力試しの意味でカテゴリー優勝は関係なしにベストエフォートを尽くそうと思い走る。

河川敷を離れると序盤にしてコース中最大のキツイ登坂区間に入る。
初っ端の16%の登りも前カテゴリーの選手たちをパスしつつも無事にクリア。
しばらく変化に富んだ登りをひたすら選手を抜かしながら進む。じきに5分前スタートのヤギもパス。
抜かすたびにLeft / Rightと声をかけながら接触しないようにする。
下りはひたすら慎重に走り、無事に唯一の山岳区間をクリア。基本的に抜かす選手は多くとも抜かされることは皆無。
舗装路で元気な2人をキャッチして、3人で先頭交代しながら走る。舗装路からダートに入るところでその一緒に走っていたMTBの選手がスリップして落車。落車を見たのはその一回だけだった。

写真③ 後ろの丘陵地帯から下ってきたところだと思う。草木を見てわかるようにこの地域はいつも風が強い。そしてMTBでの参加者も多い©️UCI Gravel World Series Philippines

とにかく前に選手が見えたらそれを目標にして走り、捕まえたらすぐに抜き去り、を繰り返し85kmグラベルTTのようなレースだった。

前日試走では5時間ほどをほぼシッティングで走ったらライド後に尿道が痛かった。それほどダートでのしたからの突き上げが激しい。
なので、舗装路に出るたびにギアかけてダンシングをするようにした。これは筋疲労分散の意味でも非常に良かった。

一番最初にスタートした19-34カテゴリーのトップグループ。レースの先頭だからマーシャルのバイクがついていたようだ。 このように速い選手たちと一緒に走ってみたかった。©️UCI Gravel World Series Philippines

舗装路に出るとかなり沿道の観客も多い。
交通規制はほぼされてないので、農道で対向の三輪車が来ることもあるし、舗装路で車は両方向普通に通っている。
ただ交差点やT字路では自転車が通るのを優先してくれるように交通整理はしてくれる。

あとコース上でヤギや犬や水牛など色々な動物がいるのは当たり前。それらに最大限の敬意を表してぶつからないように走る。

オランダから参戦した19-34優勝選手と牛。©️UCI Gravel World Series Philippines

ほとんど田んぼの中の水路みたいなところを走る箇所で一度コースミス。100mくらい走ってGarminのコースアウトアラートで気がついた。
水路を農耕車が塞いでいたのでそれを回避して走ったけど、よく見たらそこにいた人はUCIの大会Tシャツを着ていて、コース整理の人だった。
そこまで戻って正しいコースへ。Garminの地図を入れておいたおかげでタイムロスは2分ないくらいで済んだ。

試走で一番深い川で渡れなかったところがあったが、ラインを変えると少し浅くて渡れることが分かったので、そこでは前日試走が活きた。
しかも川を渡った直後に急坂なので、乗車したまま坂をクリア出来て、たまたまそこで選手がたくさんいて一気に4人ほど抜かせた。

ご覧のとおり川は深いが、ラインを変えると浅いところがありそこはギリギリ乗車可能。そのまま渡った先の坂道まで乗車でクリアできたのは前日試走の賜物。©️UCI Gravel World Series Philippines

途中で自分の順位が何番か(前からスタートしたのでトップであることは分かっていたが)、前と(後ろと)何分差かなどの情報は一切ない。
先導のマーシャルなども一切なし。ここらへんは他のレースでも同じフォーマットなのかは分からない。

一度も落車なく、自転車降りたのは水中でUターンした時と草がリアメカに絡んだのを取るための2回だけでフィニッシュ出来たのは上出来。
3時間21分台で無事にカテゴリートップでフィニッシュ。

フィニッシュ直後にGregと

2.装備

グラベルレースなわけだが、抜いていった選手でMTBが多いように思った。印象的には半分くらいか?
ちなみに女子の優勝者はMTBだった。
たしかにこのコースは競争するとかタイムを狙うでなければMTBの方が楽だし楽しめるかもしれない、というくらい悪路が多い。

ちなみに、ヤギが抜かした選手の中でeBIKEの選手がいたとか。そう言えば車検はなかったから、それもアリなのか…..。

全行程中パンク修理している人を見たのは1回だけ。ちなみにヤギはパンク修理していないけど終盤にパンクしてそのままゴールしたと。
私のタイヤはGravel King SK plus。ヤギはGravel King SK。plusか否かの差が出たか、はたまた運か実力か。

2人ともフレームはS-WORKS CRUX。高岡はSRAM REDの1x、ヤギはGRXでFダブル仕様

試走で試したキャメルバッグは、私はレース本番では使用せず。ヤギは着用。
Unboundのようなウルトラロングでは絶対に役に立つだろう。またそうでなくても、グラベルだと補給の為に手を離すのは怖いしボトルの飲み口も非常に汚くなるので、フレームにはボトルを装着せずに給水はキャメルバッグからにする、という選択肢もアリだと感じた。

とにかく水の中を走ることが多いコースだった。©️UCI Gravel World Series Philippines

スタート200mから川を渡るコースで、とにかく水の中を走るのが多いコースなので、チェーンの油切れは深刻な問題。
途中で止まってオイル刺している選手もいたけど、ひっきりなしに水の中走らされるコースなので、それは焼け石に水。
私はいつもどおりsquirtのワックスを使用。商品特性的に水には強くないと認識しているが、実際使ってみてそうは思わなかった。
リアメカのプーリーがどっぷり水の中に浸かりながら走っていたので、当然レース前と同じ状態ではないが、レース中にドライブ音がひどく軋んでいるような感じにはならなかった。

ただ同じ商品を使っていたヤギは試走後半にはチェーンをギシギシ言わせながら走っていた。メンテの仕方の問題なのか、チェーンメーカーの違いなのか、原因は不明。
長いレースで途中に降雨があるようなシチュエーションにおいては小さなボトルにチェーンオイル(ワックス)を入れて持参するのは有効だろう。
やはりグラベルでは砂埃を拾わないというドライワックスの長所が一番活きると思うので、squirtはベストチョイスだったと思う。

3.補給

コースの90%はグラベル区間なので、つなぎの舗装路に出たタイミングでは補給を忘れないようにした。
前日試走を踏まえて、キャメルバッグは不要と判断したので、ボトルはロングx2本、背中に500mlのポカリスエット。
気温は30℃を超えていたが、風が強い為か、空気が乾いている為か、汗が流れ落ちるような事はなかった。レース中の給水も1Lほどだった。
補給食はジャージのポケットにジェル4、マナバー2本。
いつもどおりカーボローディングをしっかり出来ていたので、レース中に摂ったのはジェル1にマナバー1のみ。
3時間20分程度のレースなので特別なことは必要なかった。

4.リザルトをうけて

Age 45-49のカテゴリーでは優勝してUCIのチャンピオンジャージを獲得。これは素直に嬉しい。
ただし全体では7位、トップのオランダ人選手とは15分差くらいというのはまだまだ頑張らないといけないと思うし、決して満足行く結果ではない。
終始単独で走っていたので、レース強度とは言えない。
優勝できたことは嬉しいが、欲を言えば自分より速い選手たちに食らいつくようなレースがしたかった。
Unbound Gravelでは遥かに速い人達と一緒にレース走れるから、それが楽しみでならないし、そういう予行演習的な経験ができなかったというのは少し心残り。

メダルとUCIのチャンピオンジャージを獲得した。

リザルトリンク https://www.facebook.com/ugwsph/posts/120228630611423

Dwarsでポガチャルが石畳レースデビューして、4日後のRonde van Vlaanderenでの走りに結びつけた。
同様に今回の遠征がUnbound Gravelへの大きな糧となることは確信している。

ちなみに賞品も豪華で、特産品の玉ねぎ、スポンサーのFitbarたくさん、ヘルメット、小物たくさん、賞金10,000ペソ!

5.アフターレース

レースフィニッシュは9:30、表彰終えても昼過ぎ。
翌日のマニラへの移動の渋滞リスクを考慮して、レース後にマニラへ移動。
なにせ初日にマニラへ向かう反対車線で交通事故があり、高速道路が完全にスタックしていたのを見ていたから。
4時間ほどかかったが、19時前には到着。

街中にあるSheraton Manila Bayは東京の物価感覚からすると非常に安く、設備・サービスは世界で共通する一流ホテルのそれだった。
じゅうぶんな広さのツインルームでバスタブもあり朝食付きで1室2名で7,200ペソ。
夕食は近くのBistro Remedios(フィリピン料理店)へ行ったら、これが大正解。店員は「2017年にシンゾウ・アベがあそこの席に座ったんだぜ」と自慢していた。

夕食後は大好きなアジアの足裏マッサージ。1時間500ペソなので東京の1/5。夜のレース観戦があるので30分300ペソにしておいた。
Sheratonではもちろん動画視聴に問題ないWi-Fi環境なので、ホテルの部屋でRonde van Vlaanderenを観戦。
朝から晩まで最高に楽しい1日だった。

翌朝は8時まで熟睡。ホテルのレストランで10時過ぎまでゆっくり朝食摂りながらレポートを書いて、空港へ移動してフライトへ。

3泊4日の日程は過不足なく100%満喫できた。
ANAのフライトは往復17,000マイルで取れるし、物価は非常に安いし、人はとてもフレンドリー。
来年もまた来ようと本気で思った大変良き遠征。
このレポートをきっかけにフィリピンへグラベルレースしに行くのもアリだな、と思う人がいて日本人参加者が増えれば嬉しい。


これまでの記事はこちら

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】 #1.未舗装路に誘われて
【Road to Kansas】#2初海外グラベルレースに向けた準備編
【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】#3 出国、そしてレース前


この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は profile.jpg です
著者プロフィール:高岡亮寛(たかおかあきひろ)
1977年神奈川県生まれ 中学時代にサイクリングを始め、高校・大学時代は主にサドルの上で過ごす。 大学時代はインカレロードレース優勝。就職を機に競技を離れる。
社会人生活が落ち着いた2007年より競技を再開し、以降アマチュア国内最高峰 のツールドおきなわ市民210ロードレースで6度の優勝。
2017年より世界にも挑戦し、グランフォンド世界選手権にて3度の表彰台。 2020年には自転車での日本縦断ギネス世界記録を更新。
近年はロードレースのみならずシクロクロス、ブルベ、グラベル、MTBなど、 自転車遊びを様々なジャンルに拡大。 2019年に金融業界を離れ、2020年に目黒区でRX BIKEを開業。
ショップ経営と自転車遊びの融合を目指し精力的に活動中。

写真と文:高岡亮寛
Twitter:@RX_Takaoka
関連URL:UCI Bongabon Gravel Philippines https://gravelphilippines.com
Rx Group https://roppongi.express/

関連記事

記事の文字サイズを変更する

記事をシェアする