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2022年05月30日

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】#5 Unbound Gravel 200マイルの準備

Garmin unbound gravelに出場を表明している高岡亮寛さんの挑戦記をお届けします。二ヶ月前となるフィリピンでのUCIグラベルレースを経て、いよいよ6月4日の開催まで1週間を切りました。レースに向けて機材も体調も順調に整っているようです。


▷レース概要


▷準備①シーズン前半のピーク


▷準備②機材準備


▷レース概要

北米最大のグラベルレース。レース距離は25,50,100,200,XL(350)とあるが、どうもトップ選手が多く参加するメインイベントは200っぽい。ちなみに単位はマイルなので約1.6を乗じてkmに換算。ちなみに、コースは”約”200マイルであり、今年の正確な距離は205マイル=330km。

本場の一番ホットなレースに参加したくて、迷わずUB200にエントリー。元ロードのトップ選手やグラベルプロとして活動する選手も多数参加。しかしトップ選手から完走目指して挑戦する者まで楽しめるのがグラベルの醍醐味。とにかく未知の世界ゆえ参加すれば絶対に新しい世界が見えてきそう。そしてそれはとても楽しそう。

コースマップ
https://connect.garmin.com/modern/course/104300516

大会まで1ヶ月を切ってコースが発表された。カンザス州のEMPORIAという街を発着とするのは共通だが、毎年コースは変わるらしい。今年は南部を回る。330kmだが1ループ。そしてどうやらローカルライダーの情報によると、9割以上グラベルらしい。そもそもアメリカのこのような(田舎)エリアでは幹線道路以外は舗装されていないらしい。

標高300〜500mの間を上ったり下ったりで、獲得標高は2300mほど。グラベルにもかかわらず昨年の優勝タイムは10‘15(Av. 32km/h!)とかだから、山岳レースではないんだろう。それでも、外部団体が発行している虎の巻を入手すると、読んでいるだけで緊張するような急坂や荒れた下りなども多数あるらしい。不安8割楽しみ2割という感じ。

▷準備①シーズン前半のピーク

2022年シーズンの前半の一つのピークとしてこの大会を設定。
意識した事は
(i)オフロードへの慣れ
(ii)エンデュランス能力向上
の2点。実はUB200の為にそれらを練習というより、近年シクロクロスに挑戦したりMTBで遊んだり、日本縦断をしてみたりブルベをやってみたりと、自然と自転車遊びをする中でこの方向に向かってきた。もしかしたらその先にある今回のUB200への挑戦は必然なのかもしれない。

CXやMTBのXCなどの短時間の競技時間で難しいコースを攻略するような技術とセンスがないのは嫌というほどわかったけど、やってみて無駄だったとは思わない。何が出来なくてどういう動きが必要なのかは少しわかった。そして舗装されていない道路を自転車で長い時間走るという非常にプリミティブな行為に関しては大好きだし得意である。あいにく都心に住んでいるとそういう環境は少ないけど、ニセコグラベルや北富士演習場や近所の河川敷などで数時間グラベルを走ることが出来て、少しはグラベルレースへのイメージは沸いた。

低強度・長時間に関してはもともと自信あった得意な分野だと思っている。しろさとTT(200km)やひたちなかTT(180km)と言った長距離タイムトライアルは大変良い練習になった。あとは伊豆一9.5h、ロードで山岳7h、グラベルで林道5h、グラベルで舗装路山岳10.5h、などを給水以外の休憩なしで走る練習などを取り入れた。

▷準備②機材準備

情報を集めて、練習で走ってみて、サプライヤーさんと協力し、メカニックのCUBさんこと鏑木裕さんと相談して、今回もベストと思える機材を準備。
自転車はお金がかかる趣味というのは否定できないが、叡智を集めて人馬一体となり最高のパフォーマンスを追求する奥深さが面白いところでもある。

走行性能

グラベルバイクとしてDIVERGEとCRUXがあり迷ったが、純グラベルレースバイクたるCRUXを選択。ロードバイク並みの軽量フレームに47cまでのタイヤを許容するクリアランスを持っている。大雑把に言うと、DIVERGE=Future Shock(20mmのサスペンション)とフレーム内ストレージを有する高速ランドナー、CRUX=太いタイヤを装着できるロードバイク。
ざっくりとCRUX≒ロードバイクとは言え、ジオメトリーや味付けはやはりグラベルバイクだ。

機材面で一番悩ましいのはタイヤ。コースもわからない(毎年変わる)し天候もわからない(当日までわからない)ので安全に振って43cで行く予定。最優先は耐パンク性能。そして安全に完走できるグリップ力。最後は走りの軽さ。

ストレージ:予備チューブ2本とCO2ボンベなど。大量の補給食はトップチューブバッグに収納予定。グラベル用チューブは重いので2本をサドル下ではなくてトップチューブの下に収納予定。

快適性

サドルはS-WORKS ROMIN EVO with Mirror。コレに決まり。自分史上最高でPerfectと言えるサドル。バーテープはCICLOVATIONのSteampunkという3mm厚のモノ。たまたまお店でお客様のグラベルバイクを組んでいて良いなぁと思って採用。かなりクッション性高いのを、厚めに巻く。


RX BIKEのメカニックCUBさんと詳細を煮詰めて妥協なき最高のバイクで大会に臨む作業も毎度ながら楽しい。

(続く)



著者プロフィール:高岡亮寛(たかおかあきひろ)
1977年神奈川県生まれ 中学時代にサイクリングを始め、高校・大学時代は主にサドルの上で過ごす。 大学時代はインカレロードレース優勝。就職を機に競技を離れる。
社会人生活が落ち着いた2007年より競技を再開し、以降アマチュア国内最高峰 のツールドおきなわ市民210ロードレースで6度の優勝。
2017年より世界にも挑戦し、グランフォンド世界選手権にて3度の表彰台。 2020年には自転車での日本縦断ギネス世界記録を更新。
近年はロードレースのみならずシクロクロス、ブルベ、グラベル、MTBなど、 自転車遊びを様々なジャンルに拡大。 2019年に金融業界を離れ、2020年に目黒区でRX BIKEを開業。
ショップ経営と自転車遊びの融合を目指し精力的に活動中。

写真と文:高岡亮寛
Twitter:@RX_Takaoka
関連URL:UCI Bongabon Gravel Philippines https://gravelphilippines.com
Rx Group https://roppongi.express/


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