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2022年04月04日

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】#3 出国、そしてレース前

4月1日。6月のUNBOUND GRAVELに向けて経験積む意味で急遽決定したフィリピンツアーにいよいよ出発。幾多のハードルをクリアして果たして無事にフィリピンにたどり着けるのか。レポートの第3回は出国からレースの前まで。

INDEX


▷1 レースに向けた準備


▷2 コロナ禍の海外旅行というハードル


▷3 フィリピン入国~レース前夜


▷4 レース前


1 レースに向けた準備

出国の4月1日、CTL 126, ATL 113, TSB 0。調子は良くなってきているのを感じる。現段階ではCTLを上げ過ぎず、疲労をコントロールしながら狙った高強度練習を積み上げていく過程。
トレーニングプランとしては週間1050TSSをベースにして、重要レース週や回復週はTSSを65%ほどに落とす。ハードにやる時は110%ほどやる、とメリハリをつける。

2月まではATLを高く維持してCTLを上げ続けたが、2月以降はトレーニング量をコントロールしてCTLは横ばい。疲労を貯め過ぎないようにメリハリをつけてる。
今年のピークを合わせる6月/9月/11月に向けて、今はベース期からビルド期に入ったあたりなのでまだ100%のパフォーマンスにならなくて当然。
今週初にL6、L5のトレーニングを1日ずつやって、苦しみながらも目標に向けてスイッチが入ったのを実感した。そんな感じなので、それなりに調子は良いはず。

しかし異国の地のレース、しかも初開催なのでレベルがどのくらいなのか皆目見当がつかない。そしてフィジカル以外の悪路でのテクニック面でもどのくらいの難易度なのか、全くの未知数。なので機材は安全に振ったつもり。下りが怖いと言う理由で離されるのだけは避けたい。
日程的にコース全行程試走はかなわないだろうから、せめてレース中にこの先の高低差を知るのとコーナーの有無と大きさを確認する為に、コースマップをGarminに入れた。
主催者が用意したコースルートを.gpxで落としてGarmin Connect経由でサイコンに入れる。今回はメインで使っている830ではなくより大きくて地図が見やすい1030 plusをつけて走る。

Garmin 1030 plus を装着ポーランド、サラエボでGarminの地図機能の効果を存分に思い知ったので、土地勘ないところを走るには今やMUSTな存在。

2 コロナ禍の海外旅行というハードル

チーム員のヤギと2人の遠征

コロナ禍の中での渡航にむけた準備をリストアップしてみた。

  • ワクチン3回接種
  • ワクチンパスポートゲット
  • 出国48時間前以降のPCR検査およびその陰性証明
  • 350万円以上の海外保険加入及びその証明書
  • アプリTrazeをダウンロード、登録
  • onehealthpass 登録
  • 出国前72時間以降のPCR検査及びその結果を日本フォーマットに記入
  • 大会主催者へCOVID-19フォームを送信
  • 帰国用にmySOSアプリをダウンロード

ざっとこんなところだろうか。コロナ禍で旅行に非常に行きづらいけれど、帰国後に数日間行動を拘束される隔離期間が無くなったのは大きい。時間は待ってくれない。挑戦したいことがあるならどんどんとチャレンジする。

まずは渡航の為のPCR検査。出国2日前に受けて出国先日に結果を受け取る。調べてみると都民は無料で受けられるので、様々な場所でPCR検査を提供しているとある民間PCR検査事業で行う。予約も検査も簡単で結果もオンラインで確認できる。
プリントアウトしたものを空港のチェックイン時に提示。
「果たしてそれが有効なものか」フィリピン側に確認すると言う。ここらへんがコロナ禍の海外旅行の怖いところ。事前にANAに問い合わせても分からない。
今回OKでも「この民間PCR検査事業のPCR検査はフィリピン渡航に有効」とは言えないらしい。
担当者次第!?
と突っ込んでも苦笑いくらいしか返ってこない。
そういうことらしい。
そう言えば、昨年のサラエボ国際空港ではまさにそんな感じだった。

3 フィリピン入国~レース前夜

コロナ禍のせいか、飛行機の中の空席率は高め。3人がけのブロックに1人だけだったので、比較的ゆったりできた。フライト時間は4.5時間ほど。沖縄のちょっと先と思えばそこまで疲弊しないのもアジア遠征の良いところ。

到着してから空港出るまで1時間ほど。
書類・アプリを準備していたので手続きで滞ることはなかったが、それなりの人数こなすのに待ち時間が長かっただけ。ロジスティクスは現地でサイクリングもたしなむGregというクラブ員の友達にすべてお任せ。空港出口でMr. Takaokaの紙を持って待っていてくれた。
そこからの移動は何から何まで非常にスムーズ。ドでかいバンが全ての荷物を軽々と飲み込み、我々は商用車のやや硬い後部座席に揺られてフィリピンの喧騒を抜ける。

遠征のお供のバンとアテンドしてくれたGregと、シーコンエアロコンフォート

遠くに見える高層ビル群と50年タイムスリップしたような(もっともそんなに長く生きてないが)街並みが同居する都市マニラ。
あー、東南アジアにきたんだなと感じる。
交通渋滞はヒドくて街を抜けるまでにかなりの時間を要したがそれも織り込み済み。18時頃に途中で寄ったサービスエリア的なところで夕食。選択肢と言えば、見たことがある外食フードチェーン店ばかり。
その中で一番ローカルフードが食べられそうな店に入って夕食。こういうところでは、美味しいとか美味しくないとかそういう基準ではなく、ローカルを感じることができれば良しと判断基準が自動的に切り替わる。そういう意味で、期待を裏切らない夕飯。

ローカルフードの夕飯

21時前後にレース会場の街Bongabon(ボンアーボンと発音するらしい)の宿に到着。こちらも友達が全て手配してくれていた。
東南アジア遠征では全てを受け入れる心の準備で来たつもりでいたが、それでも少なからずのショック……。がらんどうの部屋にベッドが2つ。それが全て。掛け布団の類いもなく、トイレに便座はなく水も流れない。当然紙もなく、あるのはバケツと手桶のみ。タオルケットとトイレットペーパーをもらい、ミネラルウォーターで歯を磨き、とりあえず寝る。

雰囲気は良いのだが……

エアコンだけは機能しており、夜中に寒くて弱めるくらいには効く。とりあえず就寝して旅の疲れを癒やすが、最大の懸念は翌朝のトイレ。小であれば手桶で水を何度も流して、なんとかなるが、そうでない方だと流れないだろ……。
その前に、便座がないと座れないし……。
まぁ他の部屋のを使わせてもらうとか、なんとかなるだろう。とりあえずトイレ問題は追加料金を払って部屋をアップグレードすることで解決。
朝食はGregが用意してくれたフィリピンフード。

朝食もフィリピンスタイル!

さっさと自転車組立てて準備して試走へ。
午前9時には出発した。
結局フルコースを走り戻ってきたのは15時。
レース前日に5時間グラベル走るとか、どうなの? と思うかもしれないけど、結果的にやって正解だったと思ってる。
アドベンチャー過ぎてコースを知らないと本番でロスするところが数箇所確実にあった。

まぁそれら全部足しても1-2分のロスかもしれないし、試走せずに体力温存した方がトータルで速いんじゃないかという意見もあるだろう。
自分に関してはあまり疲労感なく臨めており、前日に走り過ぎたと感じなかったので、ヨシとしている。
試走後はホテルのプールに入る。そして夕飯前にビール。最高の旅行だ。

夕飯もGregが料理してくれた。
ほぼキャンプ料理。いつもそうだが、レース前にはコレじゃなきゃダメというプロトコルはない。その時用意されるものを楽しむようにしている。マーケットで買ってきた豚肉を煮て調理したものとフィリピン米とローカルなソースと非常にシンプル。レース前は少しのおかずとたくさんのご飯が食えればそれで良い。普段から野菜はあまり食べないので問題ない。

写真10夕飯はご飯と豚肉の煮込み。はい、キャンプ飯なので小さな虫が飛び交っています。

iPhoneにeシム入れて海外でもそのままデータ通信できるようにしたahamoでも、通信速度は激遅。やることもないので22時前には就寝。

4 レース前

6:15スタートで4時には朝食食べたいと思い、翌朝は3:45に起床。
Gregが作ってくれた朝食をプールサイドの屋外テーブルで食す。まだ暗い。引き続きローカルフード。Langgonisaというソーセージみたいなのが美味しい。濃い目の味付けのおかずとたくさんの白米を食べてレース前の食事終了。

レースに備えてとにかく白いごはんをもりもり食べる

暗い中ヘッドライト点けて5kmほど離れたレース会場まで自走で向かう。
疲労感はなく、体調に不安はない。ただトラブルなく走りきれることを願うのみ。

河川敷のレース会場に車を駐める。現地人のGregが気を利かせて全ての準備をしてくれるので非常にリラックスできる。
ホテルの部屋に財布を忘れたという同行人がいたが、俺がスタートした後で取りに行くから安心しろと。ホント助かる。
前日に受付済ませてあるのでレース前にすることはない。落ち着いてスタート時間を待つのみ。


そしてレースへ(続く

写真と文:高岡亮寛
Twitter:@RX_Takaoka
関連URL:UCI Bongabon Gravel Philippines https://gravelphilippines.com
Rx Group https://roppongi.express/


過去の記事

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】 #1.未舗装路に誘われて

【Road to Kansas】#2初海外グラベルレースに向けた準備編

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