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2022年03月27日

【Road to Kansas アンバウンド・グラベルへの挑戦記】 #1.未舗装路に誘われて

「日本最強のホビーレーサー」と呼ばれるサイクリスト・高岡亮寛さん。ツール・ド・おきなわやUCIグランフォンド世界選手権といったロードレースだけでなく、日本縦断のギネスレコーズチャレンジに挑むなど積極的な自転車活動が印象的です。最近ではMTBやシクロクロスにも取り組んでいますが、北米で流行のグラベルレースにも挑戦することを表明しました。
題して【Road to Kansas】。Garmin Unbound Gravelというビッグレースに挑むまでの記録をFUNRiDEでレポートをしていきます。

INDEX


▷Gravelへの興味


▷UCIがグラベルレースシリーズをスタート


▷海外グラベルレースを体験しにフィリピンへ


Gravelへの興味

2007年よりツールドおきなわを1年の最重要イベントにして15年近く。2017年にはUCIグランフォンド世界選手権に挑戦しており、私の自転車活動はロードレースだった。中学3年生の時からそれは変わっていない。しかし近年にわかに色々な自転車遊びを楽しむようになり、今年は本格的にグラベルレースにデビューしようと思っている。

きっかけはGarmin Unbound Gravel。Dirty Kanzaと呼ばれていた時代からアメリカで一番大きな有名なグラベルレース、となんとなく聞いたことはあった。そこにかつてのチームメート中村龍太郎や日本オフロード自転車界のご意見番でありワールドワイドな視点を持つ森本テイスケ氏など知人たちの参加もあり、現地在住の日本人女性のKae Takeshita選手から生の感想を聞くにつれ、これは挑戦しようと決意した。

Unbound Gravelは今年(2022年)は6月5日に行われるカンザス州のグラベルレースで、距離は200マイル!(実際は208マイルほど=333kmらしい)。長ければ長いほど体質的に得意だし、楽しむ時間が長いのでコスパは高いと考える性格。
トップはツールドフランスなどワールドツアーレベルの選手だけど、ロードレースではないので完走目標で過酷なコースに挑戦する選手まで様々。自分の限界に挑戦するには最高な舞台。

Unbound Gravel 2021の紹介動画
https://youtu.be/w-rqiE7xAt4
このレースは米国ではLiveで中継されたらしい。
この動画見たら走ってみたいと思いませんか?

UCI がグラベルレースシリーズをスタート

Garmin Unbound Gravelへの挑戦を決めたけど、その準備として海外の本格的なグラベルレースに参加したいと思っていた。そのタイミングでUCIのレースが比較的移動が楽で時差も少ないフィリピンで開催されるというのを発見。
 
この大会はグランフォンドと同様、シリーズ戦として各国で予選大会が行われて上位から25%の順位に入ると世界選手権への切符が取れる。しかしグラベルレースというカテゴリーにはその上にプロカテゴリーのレースがあるわけではないので、その世界選手権はエリートレーサー(プロ)も含めた本当の世界一決定レースなのかもしれないから、現時点ではそれはあまり重視していない。とりあえず今回のレースの目的は「海外での本格的なグラベルレースを体験してみる」というところ。
 
それにしてもUCIがグラベルレースを主催するという最初の年のシリーズ初戦に参加できるという、なんという良いタイミング!
米国を中心に高まるグラベルレース人気が無視できないものであるという見方と、UCIの参入により今後さらに裾野が広がっていくという見方もできる。おそらくそういう流れになっていくのだろう。

海外グラベルレースを体験しにフィリピンへ

UCI Bongabon Gravel Philippines というレースを知ったのは2月中旬頃。Googleカレンダーのスケジュールとにらめっこしつつ、すぐに参加を決めた。ショップ(RX BIKE)のクラブであるRX&COのメンバーでよくショップにも遊びに来るフィリピン人のNashが色々教えてくれて異国でのレース参加をサポートしてくれるというのも大きな後押しになった。
 

RX&COのメンバーのNash(左)

レースサイトはこちら
https://gravelphilippines.com


  • 記念すべきUCI Gravel World Series初戦!
  • マニラから100kmほど離れた街で開催
  • 標高差はあまり大きくなく、序盤に300m弱の山を登るのみ
  • Ageカテゴリーがあり、私は45-49で参加
  • 時差は2時間。金曜出発~月曜帰りで行けそう
  • 気温は30~35℃と予想されるので、寒さ対策は必要なさそうだが暑さ対策重要

直行便のあるマニラからそう遠くない街で開催、時差は欧米ほど大きくない、苦手な寒さの心配はなさそう、帰国後の隔離もなしで行けそう、と好条件が揃った大会。
こういうのは勢いが大事。深く考えずとりあえず行ってみよう!と決めたら、Roppongi Expressに所属する“ヤギ”こと高橋純郎が一緒に参加することを決めてくれた。過去2回UCIグランフォンド世界選手権には同行しているので、頼もしい。ちなみに過去3回の世界選手権を一緒に経験した福田氏は6月のカンザスに備えて、今回はパス。

この第一回のレポートはグラベルレースの紹介と遠征のいきさつで終わったが、次回は機材を中心とした事前準備編としたい。


著者プロフィール:高岡亮寛(たかおかあきひろ)
1977年神奈川県生まれ 中学時代にサイクリングを始め、高校・大学時代は主にサドルの上で過ごす。 大学時代はインカレロードレース優勝。就職を機に競技を離れる。
社会人生活が落ち着いた2007年より競技を再開し、以降アマチュア国内最高峰 のツールドおきなわ市民210ロードレースで6度の優勝。
2017年より世界にも挑戦し、グランフォンド世界選手権にて3度の表彰台。 2020年には自転車での日本縦断ギネス世界記録を更新。
近年はロードレースのみならずシクロクロス、ブルベ、グラベル、MTBなど、 自転車遊びを様々なジャンルに拡大。 2019年に金融業界を離れ、2020年に目黒区でRX BIKEを開業。
ショップ経営と自転車遊びの融合を目指し精力的に活動中。

写真と文:高岡亮寛
Twitter:@RX_Takaoka
関連URL:UCI Bongabon Gravel Philippines https://gravelphilippines.com
Rx Group https://roppongi.express/

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