2026年11月02日
TOMOYAの「どすこい」サイクリング Vol.19 シーズン終了のご挨拶

「どすこい」サイクリングをお読みいただいている皆様、こんにちは。
今シーズン後半はいろいろとドタバタしており、連載の間隔が空いてしまい申し訳ございません。本来であれば、レース後やイベント後に定期的に記事を書かせていただきたかったのですが、個人的に心身ともに余裕がありませんでした。先日マレーシアで行われたLe Tour de Langkawiでシーズンを終え、一年ぶりに帰国したこのタイミングで、記事を書かせていただいています。
今シーズン後半のレースやイベントを一つ一つ振り返りたいところですが、鮮度が落ちているのも事実です。そこで今回は、今シーズンの総括をしたいと思います。
まずは来年について
単刀直入に結論から申し上げます。スペインのチームで続けることはできませんでした。

シンプルな実力不足という面に加え、環境を変える必要があると感じた今シーズン後半戦など、いくつかの要素があり、来シーズンは環境を変えて活動していく予定です。まだ決まっていない部分も多いので、すべてが決まった際に、改めて記事を書かせていただきたいと思います。
丸一年ヨーロッパで過ごしてみて
連載を始めたタイミングから丸一年、一度も日本に帰らずにヨーロッパで過ごした、初めてのシーズンとなりました。
ヨーロッパ滞在中に「ああ、日本に帰りたいな」と思ったことは一度もありません。しかし、日本に帰国してみると「日本の良さ」を痛感します。「自転車」に関わる環境はヨーロッパの方が良いと思いますが、「日常生活」においては日本の方が圧倒的に良いと感じます。
特に今年は、スペインで行政手続きなど「日常生活」に欠かせないことを何度も経験しました。個人的な経験の範囲ではありますが(場所やタイミングにもよると思います)、日本の方がはるかに優れていると感じました。
丸一年ヨーロッパで過ごした結論としては、「自転車選手としてなら住めるけれど、そうでない場合は日本の方が良い」という感じです。
今シーズンのパフォーマンス
今シーズンのパフォーマンスについては、「最終的には」過去最高のものが出せたと思います。

というのも、シーズン前半はレースの予定が頻繁に変わり、かなり大変でした。さらに中盤にはアンドラでのトレーニング中に落車しました。骨折こそなかったものの、ダメージは大きく、後半戦のコンディション調整に苦しみました。
後半戦は、チームとも協議の上、ある程度スケジュールが分かる状態(それでもコロコロ変わりましたが)でトレーニングができました。レース中のトラブルなどでDNFはあったものの、パフォーマンスはしっかり上げていけたと思います。マレーシアでの最終戦では、アシストに徹しながらも、過去最高のパフォーマンスでレースを終えられました。
生き残るためには
では、プロチーム以上で生き残るために必要なものは何だったのか。よく「実力」と呼ばれるものの正体とは何なのか。
ズバリ、「UCIポイント」です。
昨今のチームランキング制度の下では、UCIポイントの重要性が増しています。どれだけアシストに徹しても、UCIポイントがなければチームにとってのメリットはないのが現状です。
実際、自分よりも強く、日本で走ればすぐに勝てそうなレベルの選手でも、契約がない選手は多くいます。反対に、コンチネンタル選手権などでUCIポイントを大量に稼ぎ、契約を得ている選手もいます。今年は特に、スペインのチームが一つなくなることもあり、多くの選手が行き場を失っています。

日本人がヨーロッパでUCIポイントを200〜300点獲得するのは、正直かなり厳しいと思います。だからこそ、日本のUCIレースでは、外国人選手にポイントが流れてしまう状況を見直す余地があるのではないでしょうか。ヨーロッパ以外の他国のレースでは、自国の選手が中心となって走り、しっかりポイントを獲得できる仕組みになっているところが多いと思います。
例えばUAEのようなチームが来日し、目の前で走る姿を見られるのは嬉しいことかもしれません。しかし、日本人選手のポイント獲得という観点では、プラスになっているとは言いがたいと思います。
スポンサーと地元選手の重要性
もう一つ大きいのが、大企業のスポンサーや地元出身の選手の存在です。
ブルゴスの場合、大きなスポンサーのひとつがクラブチームを持っています。ブルゴスにスポンサーする代わりに、毎年何人かの選手がそこから昇格してきます。また、一番大きなスポンサーは「ブルゴス(自治体)」なので、ブルゴス出身の選手が必ず所属している必要があります。(そもそも地元に選手が少ないので、ブルゴスに生まれたらかなりラッキーだと思います。)
ひと口にスポーツというと、汗と涙の結晶のようなイメージがあるかもしれません。しかし実際には、もっと複雑な要素が絡み合っています。
もうやめようか?

キャリアの中で、「もうやめようか」と初めて真剣に考えました。
「やりたい」という自分の気持ちと、現場で感じる「日本人がヨーロッパで生き残る厳しさ」との狭間で、葛藤する日々でした。
幸いにも、日本にもヨーロッパにも信頼できる仲間がいました。みんなに相談しながら方向性を固めたうえで、帰国することができました。
その経緯も、すべてが決まった後に連載で記事にできればと思っています。楽しみにしていただければ幸いです。
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著者プロフィール
小山智也こやま ともや
スペイン籍のUCI Pro Team「Burgos Burpellet BH」所属、プロロードレーサー ダイエットで自転車を始めてすぐ出会った方々のおかげでヨーロッパを志し、今もヨーロッパでレース活動を続ける。





