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2024年12月08日

Hijiri Oda -Ostwind- Vol.14「イタリア遠征②」

1レース目を終え、車移動後まずは洗濯。

日本のビジネスホテルではコインランドリーがあるところも多いが、ヨーロッパはランドリーサービスになってしまいその日のうちに帰ってくるとは限らない。

また近くにコインランドリーもなく車で移動するのも面倒なため毎日手洗い。

ドロッドロの白いウェアを明日もドロドロにするんだよなと思いながら。

2レース目

このレースは本当にストレスフルだった。
まずオーガナイザーと連絡が取れたのがイタリアについてから。

そう。ほんの3日前。

連絡が来なくても会場には行こうと思っていたので、とりあえずレースは走れそう!と安心した。

レース会場に行ってコースを見た瞬間絶望した。

レース当日の朝も雨が降っていたためマッドレースだろうと予想はしていたが、前日を上回るマッド具合。

日本人の皆さんに簡単に説明するならば「田んぼでレース」といえば想像しやすいかと。

くるぶし上まで浸かる泥をランニングして畦道を乗車でクリア。
そんなコースだった。

さらなるトラブルはピットスタッフ問題。

昨日は主催者と円滑にやりとりできていたため運営からピットスタッフを用意していただいたが、今回は運営は頼りにならず。

規模の大きそうなチームのテントに行き、ピットサポートをお願いしては断られの繰り返し。
レース30分にようやく手伝ってくれるチームが見つかり何とか出走することができた。

毎周回バイクチェンジしたが、チェーンに泥が纏わりつきチェーンとギア板が噛まなくなるトラブルもあり19位(-2lap)でレースを終えた。トップは半周に一度のペースでバイクチェンジをしていたみたいだった。

イタリアに来て驚いたのは、ピットにオフィシャルの洗車機がなく水道の蛇口にタップを増設して各々の洗車機を持ち込むスタイル。

UCIクラス1もクラス2も同様だった。

洗車機を持って行きにくい、海を跨いでの参戦は少しハードルがあるが優しい現地の人たちに助けてもらえたのが幸いだった。

レースを終え、次のレースホテルまで3時間ドライブ。

レースは金曜日なのでまだまだ先だったが、3レース目の主催者から「いつからレースホテルに泊まりたい?」と連絡があり「可能なら日曜日から」と送ったところOKをもらえたのでさっさと移動した。

月曜日は完休にして片付けと観光。

ホテル周辺からバスに乗り山を下ること30分、フィレンツェの街中へ。

アジア系の観光客も多く日本語もよく聞こえた。

ダヴィデ像の博物館は休館日だったので広場にあったダヴィデ像を。

ピザを食べたりとリフレッシュすることができた。

火、水とトレーニングをして、木曜日はコースチェック。

ホテルから自走で行ける距離だったので自走で行ってコースを見て帰ってきた。

せっかくなのでサーキット入り口で写真撮影。

イタリアの大きなシクロクロスチームは前日試走から入るところも多く、前日から選手が多い。

流石に3レース目となると顔見知りも増え、「先週も走ってた日本人だよな」「どうやってきたんだ」「ピット手伝おうか?」と話しかけてもらったり、メッセージをもらったりと。嬉しい限り。

今回は2019年の中国CXに来ていた同い年の選手が所属しているチームにお世話になることになった。

U15からマスターズと総勢20人以上を抱えるローマ拠点のチーム。

同じホテルだから夕飯食べに来い!とチームの監督に言われたイタリアパスタをご馳走になり、イタリア語は喋れないけれどたくさん話してたくさん笑った楽しい1日だった。

3レース目

遠征最後のレースはMotoGPでも使われるムジェロサーキットの敷地内の特設コース。

日本のコースでいえば関西シクロクロスのマキノや松伏シクロクロスといったパワーもスピードもテクニックも必要で、数人のパックになり駆け引きもできる面白いコースだった。

ヨーロッパ選手権と重なっていたのでいつもの1番、2番ゼッケンが不在だったのもあり自分が1番ゼッケン。

先頭付近でボトルネックになる箇所を抜けて4人の先頭集団に入ることができた。

3周頑張ってくらいついたものの明らかにオーバーペースでなんともないコーナーで転倒してしまい後ろの2人にキャッチされる。

ここでもきつかったが、とりあえず耐えれるだけ耐えようと走っていたら前から1人降ってきていた集団が3位争い集団に。

残り3周からは2人での3位争いになったが最終周にミスしてしまい単独4位でゴールした。

今回の遠征で初めてまともに走ることができとても嬉しかった。

それと同時に、日本で走ることの多いドライコンディションだったらイタリアでも通用することが分かった。

今回のリザルトを見ると1位は30歳超えだったが、2位3位は19歳。

たまたまこの世代が強いのか、育成がしっかりとできているのかはわからないが、若い世代が強い。

ワールドカップとかのジュニア、U23のレースでイタリアジャージをよく目にする気もする。

ベルギー、オランダの遠征もとても勉強になることが多いが、UCIで優勝争いをしに行く、ポイントを取ると言う面ではイタリアという国はありかもしれない。


また今回の遠征でしみじみ感じたのはオランダ、ベルギーのサポート環境を整えてくれた先人の皆さんの凄さ。

2016年に初めて遠征した時にはすでに、オランダにハリーさん、ベルギーにランジットさんと日本人を助けてくれる現地の方がいた。

もちろん今までその恵まれた環境に感謝していたが、今回改めてその環境の地盤を築いてくださった先輩方の凄さを感じた。

この環境をちゃんと継続的に挑戦する人に繋げていきたいな。そんなことも思った。

またイタリア遠征も継続的に行って似たような環境を作れたら良いなとか考えてたりもする。

でもまだ、フランスやスペイン、オーストラリア、アメリカ、イギリスといろいろな国のシクロクロスを走りたいという野望もある。

もしかすると来年は違う国かもしれない。

人脈繋いでくださる方がいらっしゃれば是非お願いします。

そんなこんなでなんとかレンタカーを返却して飛行機乗って無事帰国。

C1カテゴリー1レースとC2カテゴリー2レースだから全部勝ったら儲かるじゃんとかそんなことも考えてましたが、その野望はそうそうに打ち砕かれ。

最終レースまではポイントすら取れずに焦ってましたが、終わってみればちゃんとポイントも取れ、初めてなこともたくさん経験でき、良い遠征になりました。

この遠征に関わってくださった関係者の皆さん、ハイスピードニャンコ2024ご購入者の皆さん、ありがとうございました。

もしイタリアのシクロクロスが気になっている選手がいれば自分が伝えられることは話しますので連絡ください。

写真と文:織田聖
hijirioda.stores https://hijirioda.stores.jp/
Instagram https://www.instagram.com/hijirioda/


過去の記事

Vol.1「織田 聖」
Vol.2「Ελλάδα(ギリシャ遠征)」
Vol.3 「サイクリングの補給食」
Vol.4 「チームの公用語」
Vol.5 「筑波山をご案内」
Vol.6 「まっすぐ走るのは意外と難しい」
Vol.7 「チームハウスでの食生活」
Vol.8「チューブレスとチューブラーどちらも好き」
Vol.9 「オランダ遠征」
Vol.10 「オランダ遠征(番外編)」
Vol.11 「鹿児島合宿」
Vol.12 「猛暑を避けて北海道走り込み、お気に入りの峠」
Vol.13「イタリア遠征①」


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