2022年07月05日
才田直人の“自転車ワーケーション放浪旅”第七回 / ワーケーション自転車旅の装備
INDEX
▷最低限の荷物でコンパクトに
▷まずは仕事環境
▷ライドの装備は幅を持たせて
▷私服は買い足す
▷ライドの必需品
▷山から、海から、オンラインミーティング
▷自転車は階段が苦手
▷手軽に輪行を
▷最低限の荷物でコンパクトに
旅のフットワークを軽くするためには非常に重要なことである。時には荷物とともに数十キロ移動することがある。飛行機で移動することもある。基本的には機内持ち込みサイズのリュック一つにすべて収めておくことが必要だ。
では、その中に何が入っているのか見てみよう。
▷まずは仕事環境
ノートPCは必須。ネット環境さえあれば仕事が可能。自由に動き回ることができる。
ホテルのWiFiの速度が十分に確保できない時に備えてモバイルルーターも携帯している。ルーターを持ち運ぶようになってからはホテル選びがかなり楽になった。
▷ライドの装備は幅を持たせて
日本列島を大きく南下、または北上するときは気温の変動が大きい。1ヶ月以上の旅となると、季節の変化も加わる。サイクルジャージの組み合わせは非常に重要だ。
この冬に鹿児島から石垣島まで南下した時は最低気温5℃以下の冬装備から最高気温30℃近くの夏装備へ。自転車装備は出先で買い足すことが難しいので余裕をみて準備している。
▷私服は買い足す
普段着と寝巻きを兼用できる、軽めのスウェットやTシャツが多い。荷物を減らすことができる。
困るのは季節の変わり目で気温が変わる時だ。必要な衣類を持ち合わせていない時は旅先で調達する。サイクルジャージと違い、私服なら安くて必要なものが全国どこでもすぐに手に入る。
靴はできるだけ軽いランニングシューズが多い。荷物を軽量にするための工夫だ。
▷ライドの必需品
スタートゴールが同じ宿というパターンが一番楽だ。自宅からのライドと一つ違うことがあるとすれば、全く知らない土地を走ることが多いということだろうか。
そんな時に役立つのが、AndroidスマホでありサイクルコンピューターであるLEOMO TYPE-S。Mapアプリが使えるので、パワーデータやGPSログを取りながら現在位置の情報を確認できる。空腹時には近くのレストランを見つけたり、目的地への最短ルートをその場で検索してナビ機能を使うこともできる。音声ナビを使えばライドはより快適になる。
▷山から、海から、オンラインミーティング
ライド中にWiFi環境を見つけて、iPhoneとイヤホンマイクさえあれば、オンラインミーティングに参加できる場合もある。徳島の山奥や、しまなみの海を眺めながら出席したミーティングは記憶に残っている。
私はモバイルバッテリーとしての役割も果たすフロントライトを愛用している。充電ケーブルをツールボックスに入れておけば、デバイスへの充電が可能だ。
出先でのオンラインミーティングやロングライドなどバッテリーを多く消費するライドでは日没の可能性も高まる。そんな時はスイッチを入れて進行方向を照らせばよい。一石二鳥のおすすめアイテムだ。
▷自転車は階段が苦手
観光地に立ち寄るライドスタイルでは時に長い徒歩を強いられる。そこで私はサドル下にクリートカバーを常備している。せっかくなので、クリートカバーで歩いた厳しいスポットのベスト3を紹介しようと思う。自転車は階段を登れないので歩くしかない。
- 羽黒山
山形県。五重塔が有名な、言わずと知れた山岳信仰の地。立ち並ぶ杉の木々はとても美しい。しかし今までクリートカバーで登った中では最も厳しい階段の続く道だった。 - 久能山東照宮
静岡県。同じ山塊に位置する日本平はヒルクライムでも有名。海岸線から高さ一定でない石段を1000段以上。歩き辛くて本当に疲れた記憶がある。 - 金比羅山
香川県。有名な金比羅参りをクリートカバーで。本宮まででもかなりの段数があるが、そのさらに上にある奥社まで。こちらも1000段を越える。
自転車のヒルクライムでも、歩いて登る階段でも登り切った先には大きな満足感。結局、手段を問わず登るのが好きなんだと思う。
▷手軽に輪行を
私は超軽量型の輪行袋を利用している。畳めば簡単にツールボックスに入るサイズのものだ。電車輪行は自分自身で自転車を持ち運ぶのでこれで全く問題はない。
飛行機は少し工夫が必要だ。向かう先は100円ショップである。
揃えるべきものは、「トイレの便座カバー」、「荷台用ゴムロープ」、「鍋つかみ」だ。
便座カバーをチェーンリングの保護に、鍋つかみをスプロケットのカバーに、ゴムロープでホイールとフレームをしっかり固定する。ディレイラーをエンドごと外しておけばメカトラも予防できるだろう。
非常に身軽な輪行装備なので、飛行機で目的地に着いたら、輪行装備を畳んでリュックに放り込んで空港からライドがスタートできる。
日本の航空会社は自転車の扱いが丁寧なのでこれでトラブルが起きたことはない。もちろん自己責任で行っていただきたい。
ちょっと変わったスタイルの自転車旅ではあるが、皆さんの旅が少し快適になるヒントになれば嬉しい。次の旅はぜひリュック一つ背負って出かけよう。
写真と文:才田直人
才田直人の“自転車ワーケーション放浪旅” 連載中
第一回 プロローグ
第二回 旅の流儀
第三回 フェリーで広がる可能性 ~奄美群島~
第四回 自転車で訪れる八重山諸島
第五回 出発の地、目的の地、それは『レース』
第六回 東北沿岸を走る 東日本大震災から11年
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著者プロフィール
才田直人さいた なおと
1985年生まれ。日本中、世界中を自転車で旅しながら、その様子を発信する旅人/ライター。日本の上るべき100のヒルクライムルートを選定する『ヒルクライム日本百名登』プロジェクトを立ち上げて、精力的に旅を続ける傍ら、ヒルクライムレースやイベントにも参加している。
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