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2018年06月19日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 6-9)快適ライドの決め手!暑さと寒さ、風と雨、上手につきあう

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ

6-9)快適ライドの決め手!暑さと寒さ、風と雨、上手につきあう

 

天候と上手くつきあうことは、あらゆるアウトドアスポーツにおいてとても大切なスキルである。とくに自転車はその影響が大きく天候に応じた対応が快適さに大きく影響する。寒暖や風雨への対処により、肉体的にも精神的にも疲労度が違ってくる。レイヤード術や状況に応じた対応を身につけて、ツーリングでの天候の不安を軽減しよう。

 

<暑さ対策!熱中症に注意>

暑い中でも走りたい。サイクリストにはそんな好き者が多い。しかし対策をしっかりしないで、暑い炎天下で長時間自転車に乗っていると熱中症の危険が高まる。猛暑や酷暑でなくても湿度の高い日は熱中症になりやすい。そんなリスクを軽減し、暑い中でも快適にツーリングが楽しめるノウハウを考えてみる。ポイントは身体を冷やすことと、水分などのこまめな補給で身体への負荷を少なくすることである。ただし、体調に違和感を覚えたらすぐに休み、回復しなければ無理せずにツーリングを中止することも必要だ。


● こまめな水分補給

暑い中でのサイクリングは体温を下げるために大量に汗をかき、体から水分がどんどん失われていく。のどの渇きを感じてから水分を摂っても失われた水分の補給が追いつかず、バテててしまいやすい。大切なのはのどが渇く前に、こまめに水分補給することである。信号待ちやルートの確認の際などに、できるだけ水分を摂取するようにしたい。停車が少ない郊外などの場合は、走行中でも安全を確認しながらボトルを外し、乗車しながら水分補給するのが望ましい。できない人は安全な場所で練習しておきたい。


●水をかけて体を冷やす

熱中症や脱水症状になってからでは, 水分補給しても体を冷やしても手遅れであり、快適なツーリングは望めない。暑いと汗をかくが、これは体がエネルギーを使って冷却しようとする機能であり、それだけで体力を消耗する。水をかけて体を冷やしてやると、暑さと疲労の軽減になる。

体に水をかける箇所は、大きな血管が通っている場所が効率的で、首筋、頭、背中、太ももなどに少しずつこまめに行う。胸や腕など体の前側であれば、走行中の風当たりによるクールダウン効果も高い。車のラジエーターと同じ原理だ。レーパンの腿の部分やジャージの肩の部分など、ウエアに水を含ませておいたり、グローブの甲側にかけるのも涼しく感じる。汗をかく前から濡らしておき、ウエアを乾かさないにようにすれば、走行風による冷却効果を持続できる。

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首筋や頭にこまめに水をかけて、熱中症を予防しよう


● ボトルは2本

ボトルは水分補給を行う飲み物用と、体に水をかける冷却用の2本を準備したい。飲み物用は、できれば事前に凍らしておけば、しばらくは冷たい飲み物として喉を潤してくれる。1本の容量では夏場の水分補給には不十分なので、コンビニや自販機などで冷たいスポーツドリンクなどをボトルに補充しながら走れば良い。氷が入手できればボトルに入れておこう。もう1本は、冷却用に水を入れておく。体にかけるので水道水でOKだ。こちらもトイレや休憩時など水道があれば随時補充しておきたい。

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長時間冷たいドリンクを飲むために保冷カバーを利用するのも手だ


● 頭を冷やす!?

興奮して熱中し、血がのぼった頭を冷やして冷静になる!? っということも精神的には効果があるかもしれないが、フィジカルに頭を冷却することは熱中症対策において大切である。

大切な脳の温度を一定に保つため、頭部は比較的発汗が多い。暑い日には頭から流れてくる汗が増え、目に入ると痛いだけでなく視界も安全も確保しにくくなる。その対策としてヘルメットの下にサイクルキャップを被ったり、バンダナを頭に巻いたりすることをお勧めする。冷やすために水をかけると濡れて頭にまんべんなく広がり、冷却効果も長続きする。

また、ヘルメットは空冷効果がある構造で風を通しやすく、バンダナやキャップなどを濡らしておけば、かなり涼しく感じる。それでも汗が滴ってくるようならバンダナを細長く折って鉢巻状にして、頭に巻いてからヘルメットを被ればストッパーになる。


● 首筋を冷す冷却スカーフ

首筋には頭に血液を送る太い血管が通っているので、ここを冷やせば身体全体の冷却にも効果がある。しかし水をかけてもすぐに乾いてしまうため、首に巻くタイプの冷却スカーフやバンダナを水で濡らして巻いておけば効果が持続する。後頭部の首筋は日焼けしやすい場所でもあり、その対策にもなる。冷却スカーフは保冷剤を仕込むタイプもあり、これは水で濡らすだけよりも効果が長続きする。


● 高機能ウエア

最近はウエアも進化して冷感素材を使ったもの、吸汗速乾機能や紫外線防止機能、更には炭を練り込んで抗菌防臭機能を持たせたものまである。サイクルジャージの下に着る高機能アンダーウエアなどは、熱中症対策としても効果が見込める。また、アームカバーを着用すれば、水をかけた際腕の冷却効果が持続し、日焼け対策にもなる。


● 日焼けは熱中症の要因

日焼けは軽度の火傷状態であり、体は日に焼けている部分を冷やすために多くの水分を皮膚の冷却に使う。これにより体内の水分不足につながるだけでなく、火傷状態になった皮膚を回復させようと、体が多くのエネルギーを使うことにより、体力が奪われてしまう。

熱中症対策として日焼け防止は重要なのである。地肌が露出する場所にはしっかりと日焼け止めクリームを塗っておきたい。日焼け止めクリームは、汗で流れてしまいやすいので肌への刺激が少ないSPFが低いものを、休憩の度にこまめに塗ろう。

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日焼け止めは休憩のたびに塗りなおすのが正解!


● ミネラルを補給する

汗を掻くと、塩分やナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルも体外に排出される。ミネラルが不足すると筋肉がつりやすくなるといった弊害が出てくる。

スポーツドリンクにはそれを想定したミネラルが含まれているので、水分補給にはお勧めだ。しかし多くの汗を掻く夏場は、それだけでは塩分やミネラルが足りなくなるので、塩分チャージタブレットなどを摂取してしっかり補給したい。


● 暑くないコースを考える

夏場でも比較的涼しいのは日の出前から10時頃までで、例えば午前4時からだと6時間は走れる。また、標高が1000m以上などの高地は涼しくて気持ちいい。街中でも、道の暑さはどこでも同じではない。涼しいルートがあるのだ。まずは街路樹など緑の多い道。木陰も多く、植物の蒸散効果で気化熱が奪われ涼しくなり、周りとの温度差で風も流れやすくなる。水辺の道も比較的涼しい。水は温まりにくいのでその近くは必然的に涼しくなるし気分的にも涼感が味わえる。

最近は高機能舗装といわれる道が増えている。保水性タイプは舗装の中や地中に雨を溜め込んでそれがアスファルトの高温化を抑える。また遮熱性タイプの舗装は太陽光を反射して熱を貯めない構造だ。道を選んで涼しく走ろう。

 

<雨の中はリスクが高まる>

梅雨もたけなわの季節、ツーリングも天気予報と睨めっこしながらという場合も多いだろう。始めに断っておくが雨の日は自転車に乗らないのが大原則である。ツーリングの目的地は逃げるわけではないので、天候の良い日に走ればいいのだ。しかしプランニングの段階から天気予報を入念にチェックし、雨を避けるべく計画していても避けきれないのが自然現象である。

雨の中では視界が悪くなり、路面は濡れて滑りやすくなってブレーキも効きにくくなる。クルマやバイク、歩行者も同様で、自転車に対する反応が鈍くなりお互いに事故のリスクが高くなる。雨対策はこのリスクを軽減する安全確保が最重要となる。雨が酷ければ小雨になるか止むのを待ち、見込みが立たなければ早めにツーリング自体を切り上げてしまうのが良い。また、降水確率が0%でも雨は降ることがある。雨対策は常に準備しておく必要がある。

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ライドの途中で雨に降られることもある。天気予報をチェックして少しでも雨の可能性があれば、雨対策を準備をしよう

<レインウエアに求められる機能は>

レインウエア選びのチェックポイントは素材と動作性である。素材は防水性と通気性を両立するゴアテックスなどの透湿防水素材であることが望ましい。価格的には高くなるが、雨をシャットアウトし、汗による中からの蒸れを防ぐ素材でなければ雨の中での快適さは確保できない。そして着用してもスムーズに体を動かせる動作性が求められる。登山用などの、豪雨でも完全防水する機能を備えた頑丈な作りのレインウエアは、動きに影響が出るだけでなく、嵩張って重たく、軽快なツーリングには適さない。小さく折り畳んで背中のポケットに入るくらいの、透湿防水素材のレインウエアを選びたい。安全で快適なツーリングのためには高価格でも、高機能なレインウエアを選ぶ必要がある。

また、雨の日にクルマなどからの被視認性を確保するため、目立つ色を選びたい。できれば反射素材のついているものが望ましい。

 

<自転車専用のレインウエアが必要>

市販のゴム引きのレインコートや、コンビニなどで購入できるビニールのレインコートは運動時の着用が前提になっていないので、素材に防水機能はあっても通気性が悪く、蒸れやすく自分の汗で体を濡らしてしまう。また、スポーツバイクに乗ることを想定して作られていないため、前傾姿勢でのフィット感は良くなく、裾がチェーンに巻き込まれたりするリスクもありツーリングには向いていない。

ポンチョは蒸れにくくバッグなども濡れにくいので、ツーリングに使う人もいる。しかし、ハンドル操作がし難くなり、乗り降りも面倒で、また風でバタバタして快適ではない。ウィンドブレーカーを携帯している人も多いが、これは防水機能は無いため雨具にはならない。緊急対策として大きなゴミ袋を使う人もいる。底面と両サイドに穴を開けて首と腕を通してビブスのように着用するのだが、みすぼらしくサイクリストの品位を落としかねない。やはり、透湿防水素材の自転車専用レインウエアを着用したい。

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自転車専用のレインウエアを選べば、バタつきがなく、ライディングフォームでのフィット感も◎

 

<レインパンツ選定のポイント>

自転車専用レインウエアはジャケット単体のものもあり、その場合はレインパンツが必要になる。ポイントはペダリングの動きを妨げないものを選ぶことである。従って分厚く重いものでなく、薄手で軽いほうがいい。もちろん透湿防水素材であれば良いが、脚の発汗は比較的少ないので、透湿性よりも防水性を優先し、予算に合わせた廉価なものでも構わないだろう。

裾をベルクロテープなどで絞るチェーンリング巻き込み防止機能は、スムーズなペダリングに必須条件である。また、シューズを履いたまま着脱できるように、ファスナーなどで裾口を広く開くことができるものを選びたい。

 

<雨対策用品を考える>


● ヘルメットとキャップ

ヘルメットはひさしのあるものにすれば、雨が目に当たることを軽減してくれる。しかし通常ひさしは小さいため、ツバの大きめのキャップをかぶりその上からヘルメットを着用すると、目に当たる雨粒をかなり少なくできる。特にメガネやアイウェアを装着している場合、レンズに付着する雨滴を減らしてくれて視界を確保しやすくなる。また、バンダナなどを頭に巻いた上からヘルメットを着用すれば雨滴が顔面に垂れてくることを防止できる。更に、100均などで売っている使い捨てのシャワーキャップをヘルメットに被せると、頭の濡れが少なくなる。


● レインウエアのフード

レインウエアのフードをヘルメットの上からかぶると、雨対策としての効果は高い。ただしフードを深くかぶると、ただでさえ雨で影響を受けている視界や音を、更にさえぎってしまう。視界と音を確保するため、ひさしの大きいキャップをかぶり、必ず耳を出しておく必要がある。音が聞こえないのは特に後方からのクルマの接近を察知しにくくなり危険を増幅する。バタつかないように、きっちりと頭部にフィットさせよう。


● レインシューズカバー

シューズが濡れるととても不快である。乾きに時間がかかるため雨が止んでも不快感は続いてしまう。さらに濡れたシューズでコンビニや食事場所などを歩くのも迷惑がかかる。ビンディングシューズにも対応するレインシューズカバーの着用をお勧めする。

レインパンツがはじいた雨水はシューズまで垂れてくるので、シューズカバーがなければますますシューズとその中の濡れは酷くなる。シューズカバーの上にレインパンツの裾を被せるように着用したい。また、シューズカバーは防寒対策にもなるので冬にも重宝する。


● 雨用グローブ

雨用防水グローブは濡れの防止だけでなく、滑りにくいことが大事なポイント。ハンドルが雨で濡れると滑りやすくなり、咄嗟のハンドル操作が滑ってできないと非常に危険である。また、滑りやすい状況は無駄な力が入ってしまい、神経を使うため雨の中の走行で更に疲労が増える。手指が濡れると冷えてかじかんだりして、さらに操作性も悪くなる。防寒という観点からも雨用グローブは着用すべきである。


● アイウエア

雨天走行では、目に雨粒が入らないようにしてできるだけ視界を確保する必要がある。そのためにアイウエアは役に立つ。雨天時は昼間でも薄暗くなりがちなので、クリアタイプがお勧めだ。ただしレンズに付いた水滴や曇りで視界が悪くならないように、キャップやフードでしっかりガードしたい。また、下りなどでスピードが出てしまうと、裸眼では雨粒が当たって眼を開けているのが辛くなる。アイウエアを上手に着用して、視界をしっかり確保したい。


● マッドガード

ロードバイクなどには通常マッドガードは装着されていない。ただし、雨の中の走行が予想される場合は、事前に着脱式のマッドガードを装着しておくこともできる。ワンタッチで脱着が可能な簡易タイプもあるので、普段は取り外しておいて雨の日だけ取り付けて走ることができる。ただし、雨の中以外ではロードバイクにはちょっとカッコ悪いかもしれない。

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しっかりと雨対策をすれば、そこまで不快な思いをせずにツーリングも可能だ

 

<雨中の走行テクニック>

雨の中での走行は視界が悪くなるだけでなく、ブレーキが効き難くなり路面も濡れて滑りやすくなるなど様々なリスクが高くなる。リムブレーキの場合、ブレーキシューとリムの摩擦係数が小さくなり、制動距離も大きく伸びる。減速の際はできるだけ早い段階で小刻みに強めにブレ-キングし、スピードを充分に落とす。グループ走行ではバイク2台分くらいの距離を空けておきたい。

側溝の鉄のフタやマンホールのフタ、路面に書いてあるライン類などは、濡れるととくに滑りやすくなるので要注意だ。タイヤの空気を0.5~1気圧ほど抜いておけば、滑りやすくなった路面のグリップ力が少し高まる。但しパンクに注意し、後で空気を入れること忘れないようにしたい。ディスクブレーキは水に濡れても制動力はほとんど落ちずしっかり効く。反面、濡れた路面ではスリップへの注意がより必要になる。

また、雨天時は昼間でもフロントとテールのライトを点灯し、被視認性を上げて安全性を向上させたい。言うまでもないが、雨の後のメンテナンスは必要不可欠である。自転車を労わってあげよう。

 

<風を読むのはとても重要>

風圧は自転車にとって最大の走行抵抗であり、向かい風はサイクリストの天敵である。坂道なら上りきればそれまでだが、向かい風はいつまで続くかも弱まるか強まるかも不確実だ。運不運でもあり精神的に滅入ってしまう事もある。向かい風を避けるためにも、天気予報は風向きと強さを入念にチェックし、大きな風の方向と強さを把握してコースプランニングをしておきたい。向かい風か追い風で肉体的にも精神的にも疲労度が大きく変わるのだ。詳細は下記の記事をご参照いただきたい。

ご参照:3-7)過言ではない! 天候が全てを左右する
https://funride.jp/serialization/jitensyalife22/

 

<向かい風での走り方>

風の抵抗を軽減するには、前面の投影面積を小さくすることが効果的である。ポジションは少し腰を後に引いて脇を締め、ハンドルの下ハンやエンド部分の位置を握り、肘をきちんと曲げてしっかりとした前傾姿勢をとる。体を低くすることによって向かい風を逃がしていくようなイメージを持とう。ただし、強い前傾姿勢はリラックスできる体勢ではなく、長時間続けると疲れたり腰が痛くなったりする。カーブで風向きが変わったり、風が弱まったりするタイミングを見計らって、身体を伸ばして少しでもリラックスしたい。
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向かい風の場合は体勢を低くして、なるべく前面投影面積を小さくして、空気抵抗を減らしたい

 

<一定のケイデンスと負荷を維持する>

平地でも上りでも、一定のケイデンスと負荷を保った心臓と肺で走るペダリングが、最も疲れず効率的である。もちろん、向かい風でも同じことだ。通常と同じ回転数と負荷を保ち、一定のパワーでマイペースで走ることが、向かい風でも疲れないで走るコツである。とくに強い向かい風のときは、ペダルを必死で踏んでも思うように進まず、体力だけが無駄に奪われてしまいがちである。

無理に風に張り合わず、上りのテクニックと同様に早め早めにギアを軽くして、回転数と脚への負荷を一定に保つようにする。ただ風は突然に強くなったり弱くなったりするので、風の強弱にできるだけ合わせるよう、こまめなシフティングを心がけたい。

大切なことは無理をしないことだ。向かい風でも心臓と肺で走ることを心がけよう。

ご参照:3-2)心臓と肺で走る!ペダリングの極意

https://funride.jp/serialization/jitensyalife17/

ご参照:3-4)ラクに上る、坂を楽勝でこなす方法

https://funride.jp/serialization/jitensyalife19/

 

<身体をヨットの帆にする>

横風の場合は身体をヨットの帆のように活用して、風を推進力に変換する。上半身を立ち上げてアップライトなポジションをとり、右からの風なら右肩を前へ、左肩を後ろへねじって背中で横風を受けるようにするのだ。コツを覚えれば横風を身方につけることができる。追い風のときは、体を起こし顔をあげて背中全体で風を受けるようにすると、風による推進力を大きくできる。風は刻々と向きが変り、建物や車などの周囲の環境で乱気流となる事もあるので、あまり気を抜かないようにしたい。

 

<寒さ対策は、体の末端部分が重要>

日本では雪国の積雪期を除けば、自転車に乗れない状況はあまりなく、真冬でもツーリングは可能であり、年間を通じて楽しむ人が増えている。寒さ対策はウエアの工夫で、よほどのことがない限り可能である。ただし、ウエアの着込みすぎには注意したい。暖かい家や施設から外に出て走り出すのは確かに寒いが、そのうちに身体内部から暖まってくる。走り出す時は寒いくらいが丁度いいのだ。レイヤード術を駆使して温度調節をしたい。寒さ対策で注意するのは体の末端部分、つまり手先、足先、耳と首から上の保温に気を配りたい。

ご参照:5-4) カッコよく快適に!レイヤード術

https://funride.jp/serialization/jitensyalife37/


● シューズカバー

ビンディングシューズは風通しが良いものが多く、風を切ってのペダリングはそこから冷えてくるので、防風と保温が快適ライドには必須条件となる。特につま先が冷えやすく、対策が不十分だと苦行にもなりかねない。シューズカバーは、つま先が対象のトゥーカバータイプと全体をカバーするフルカバータイプがある。

トゥーカバータイプは着脱が簡単で、シューズカバーを付けた状態でビンディングシューズを脱いだり履いたりすることができる。携帯しやすいため気温や足先の状況に応じた対応ができるが、真冬の朝などでは防寒性は十分ではないかもしれない。フルカバータイプは、足先から足首の上までカバーし、防寒性は高い。ただし、シューズへの着脱が面倒で、シューズを脱ぐ際にもそのままでは邪魔になる。

厳しい寒さの場合はトゥーカバーを付けた上からフルタイプのシューズカバーを重ねて履くこともできる。また、足の甲や指先に、使い捨てタイプのつま先用カイロを貼ると冷えにくい。持続時間が限られるので、予備を持っていき昼食の際などに付け替えると良い。コストも安くお勧めである。


● イヤーウォーマー

耳は、走行中の風による寒さの影響を受けやすく、短時間でも冷たく痛くなりがちだ。耳の防寒対策は大切である。自転車用のイヤーウォーマーは高機能なフリース生地が使われているものが多く、耳の部分の防寒性を高めたタイプが人気だ。額の部分は細く薄手で、ヘルメットを被るときに邪魔にならず、サイクルキャップとの併用も可能だ。アイウエアの着脱にもあまり影響せずフィット感が良い。

ヘルメットの後ろからヘッドホンのように装着するタイプもあり、このタイプなら街中でも使用できるかもしれない。自転車用ではない、ヘアバンドのような幅の均一なタイプのイヤーウォーマーだと、ヘルメットやアイウエアなどと干渉することもあるので、自転車用を選びたい。

ヘルメットの下にかぶるキャップにイヤーウォーマーが付いたタイプもある。ヘルメットは空冷機能があって、冬は逆に寒くなるので、頭と耳を寒さから守るこのタイプもお勧めである。


● フェイスマスク

寒風に晒される顔面は冷たくなりやすい。顔面は身体のどの部分よりも耐寒機能が高いが、人によっては顔面がしもやけになってしまうこともある。フェイスマスクには防寒性とともに通気性が求められる。通気性が悪いと息苦しくなり、吐いた息がこもって蒸れたりアイウエアが曇ったりしやすい。防寒性と通気性を両立した高機能なフリース生地のものを選ぼう。

また耳から首元まで覆うタイプは防寒性が高く、イヤーウォーマーやネックウォーマーとしても使うこともできる。夏に使っていた日焼け防止マスクや、通常の使い捨てマスクなども、顔面の防寒には一定の効果があり、息苦しさや蒸れも少ない。フェイスマスクを購入するまでもない場合は、これらで代用することもできる。

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顔面の寒さを防ぐにはフェイスマスクがおすすめ。若干怪しい姿になるが……


● グローブ

冬用グローブ選定のポイントは保温性と操作性である。自転車用の防風機能のあるアウターと薄手のインナーとを重ねると、着脱による温度調節をしやすい。冬用のサイクルグローブは操作性も十分考慮して作られている。スキー用や雪山用グローブは保温力はとても高いがブレーキや変則レバーの操作がし難くなる。詳細は前回の記事をご参照頂きたい。

ご参照:3-8)センスが光る!ウェアラブルグッズで快適に!

https://funride.jp/serialization/jitensyalife51/

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正確なハンドル操作ができるよう冬用グローブも自転車専用品を選びたい

 

自転車のウィークポイントは、日常的な自然現象に生身で対処せねばならないことにある。雨や風もそれを生身で受けながら軽減する必要があり、暑さ寒さにもエアコンディショナーを効かすわけにはいかない。様々なグッズやアクセサリーを知って使いこなすこと、自然現象に対処するライディング技術を身につけることも、自転車の楽しみのひとつなのである。

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は7月3日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人)


第6章:底なしの魅力!?ツーリングを徹底的に楽しむ

1)知らなかった!地域の魅力、日本の美しさ、メッチャあるある

2)とにかく始める、まずは半日、そして日帰り、宿泊ツアーへ

3)楽しみの創造!プランニングするほどにドンドン世界が広がる

4)うまうまグルメ、史跡に寺社巡り、山でも海でも、フィールドは無限大

5)どこでもドア!?輪行を極める!

6)軽くコンパクト!荷物と装備とパッキング技術!

7)オシャレだけではない。安全にも快適さにもアクセサリーは重要

8)センスが光る!ウェアラブルグッズで快適に!

9)快適ライドの決め手!暑さと寒さ、風と雨、上手につきあう

10)仲間が増えれば楽しさ倍増、ビギナーも安心、自転車は人をつなげる!

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