2018年02月05日
布袋田沙織のRide on the Earth [第2回]初めての雪上ライド in 北海道
東京で4年ぶりの大雪を観測する中、北海道標茶町塘路(釧路より車で40分)へ相棒のMTBと一緒に出かけてきました。目的は釧路市にあるロードバイク・マウンテンバイク専門店Cycle Garage PAZ 主催の雪上ライドに参加するためです。雪上ライドは、4年前に東京に雪が降った際に少し乗ってみた程度で、「一面真っ白な雪景色の中で乗るのは初めて〜♪」と、浮かれ気味で北海道へ向かいました。
今回はそんな初めての雪上ライド in 北海道をレポートします。
集合場所へ着くと次々に参加者が集まり、私も自分の愛車をセッティングします。「さ、寒い……」 そりゃそうだ、気温はマイナス10度! 体感したことのない寒さで手がかじかんできますが、他の参加者の方々に習ってまずは防寒をしっかりしてからコトを始めます。みなさんも雪上ライドの際は走り出す前に身体を冷やさないように……、自転車よりもまずはご自身の防寒から準備を始めることをお勧めします(笑)。
寒い中でのライドはいつもより入念なストレッチから~♪
初心者も玄人もワイワイガヤガヤいい笑顔!天気も良くて最高!!
さて、みんな揃っていよいよ雪上ライドスタート。路面には雪が積もっているので、ふかふか楽しいです! が、ふかふかの雪の下は氷が張っているので気を抜けば滑ります。スパイクタイヤへの信頼感もないままに走り出したので、滑りそうになると身体に力が入ってしまい、さらに滑りそうになります。走り始めは、滑りそうな感覚を楽しむ余裕もなく、バイクにしがみ付くように走っていました……。
徐々に身体が慣れてくると、なんだかふかふかツルツルが楽しくなってきた! スパイクタイヤも想像以上に氷を捉えてくれて安心して走れます。最初は「転んだらどうしよう……」と思っていたのですが、そもそもMTBは全身で楽しむもの!という事を忘れていました。とくに雪上ライドは転んでなんぼ!滑って当たり前、転んで当たり前(怪我をしない程度にね)、楽しいって全身が叫んでいるような、そんなライドが雪上ライドです。
ここで、雪上ライドのテクニックをひとつ。滑りやすいという事はバイク捌きが重要になってきます。とくに重心移動が重要です。雪の下の氷は姿も見えず事前に対処するのは難しいので、どんな路面になってもその時々で対処できるように体幹への意識することと、重心位置を上手にコントロールしつつも前後輪への荷重が抜けないように意識することの「2つの意識」が重要です。
長くて少しテクニカルな上り坂ではみんなで息を切らしつつ、先に上りきった人は後からの上ってくる人を応援しながら山頂を目指しました。「あと2人がなかなか来ないなぁー」と心配しながら待っていると「助けてー!」と叫び声が。「転んで大怪我をしていては大変だ…大丈夫かなぁ……」と急いで下ってみると、なんとサポートカーがスタックしていました! 車がスタックしてしまう程の坂道もMTBならなんなく上れます。「MTBは無敵だね〜」とサポートカーをサポートしながらみんなで上った坂道は思い出が倍増です。
鹿やキツネの足跡も見れて自然を動物たちともシェアしている事を感じながらのライド。動物たちもこの気持ち良さを感じながら駆け回っていたのかな
雪の下の轍型に凍った氷に滑らないように全身を使いながら…ハイ、チーズ!
長い上りを上りきる頃には体もホカホカ。さらにはこんな大絶景も堪能できて心もホカホカ! 写真では伝わりにくいですが、遠くの山々も稜線までハッキリ見えました!
冬の空は澄んでいると言いますが、まさに澄んだ空が気持ち良く、冷気を纏った北風も火照った体には心地良かったです。天気も良く、遠くの山が雪化粧をしている姿まではっきりと見えて、何時間でもその場に居たくなるような絶景を堪能できました。山頂ではいつも達成感や心地よさを味わえますが、見える景色が雪化粧をしていると自然の偉大さを感じ、いつもとは少し違った感動がありました。
山を下ったあとは、北海道ならではの氷上ライドです。完全に凍った湖の上をみんなで走ります。「本当に凍っている!?落ちたりしないよね!?」とこれまたおっかなびっくりで湖面にタイヤを乗せてそろりそろりと走り出しましたが、湖面の上は遮るものは何もなく、ただただスムーズに走れます。なんだか波乗りをしているような、雲の上を走っているような、不思議な感覚です。条件が揃わなければ見られない「御神渡り」にも出会えました。「御神渡り」とは気温の上下によって氷が膨張と収縮を繰り返してできる自然現象で、神様の通り道とも言われています。こんな神秘的な現象にも出会えるなんて本当にラッキーです。
氷上の上ではみんな無邪気に走り回ります。後輪を滑らせたり、派手に転んでみたり。舞う雪がカッコイイ!
「御神渡り」を跨ぐという贅沢な体験には興奮しました。余談ですが……ボトルにお水を入れてライドに出かけると凍ってしまうらしいです
翌日も午前中にみんなで雪上ライドを楽しみました。大勢だからできるようないつもとは違ったライドにしようと「雪上ミニ運動会」を開催することに。まずは「チーム対抗ソリ引き」! S字クランクなどを盛り込んだコースを仲間を乗せたソリを引いて走ります。置かれたコーンを倒さないようにソリの内輪差を考慮しつつ、氷で滑らないようにコーンのギリギリを攻め、最後は直線でのスパートというコース設定ですが、競争を始めると、みんな大人の仮面の下の子どもが顕わに……。
スタートダッシュでの位置取り、コーナリング、ソリを乗る姿勢、引く人と乗る人の息の合わせ方など、どれをとっても練習に余念がなく練習時間が終わる頃にはすっかり本気顔です。10秒前…5秒前…スタート!とスターターもレースさながら。私は第1走を任されたのですが、みんなの本気モードに緊張を隠せませんでした。スタートダッシュを勝ち取り、良い位置取りで先行できましたが、、最終走者のラストの直線では思わぬデッドヒートに。応援にも熱が入りました。私たちのチームが見事に勝利し仲間と最高のハイタッチ!と、勝利にこだわる私も子どもですね(笑)。
走者も応援者も本気になった「チーム対抗ソリ引き」はとっても白熱しました。大人の遊びは本当に楽しい!
次の種目は「雪上八の字」です。置かれたコーンを八の字に走行するというシンプルなものですがなんせ雪の下は氷なので油断大敵!全員クリアするとコーンの間隔は短くなり最終的には1mくらいにまでなりました。前後輪の位置を認識し、重心の位置をコントロールするというMTBの基本を氷の上で再確認できる種目です。「雪上ミニ運動会」では「MTBに乗っている」を「MTBを乗っている」に変える基本を楽しみながら練習でき、一人ではなかなか楽しめないことも仲間とならこんなに楽しんだということを再確認できました。雪上で基本を学べるなんて贅沢な時間です!
なかなか体験できない雪上ライドですが、温泉や美味しい食事(今回は釧路名物の炉端焼きを堪能してきました!)、そして友だちとの時間をお供に旅行感覚でぜひ一度は体験、体感するのをおすすめします。
壮大な地球の片隅で無邪気になって地球と戯れているような、何とも微笑ましくて愛おしい時間でした。北海道でご一緒したみなさん、ありがとうございました!
「く、悔しい」と声が聞こえてきそうです。氷上でのバイクコントロールは難しいけど、自分の重心位置が分かっていい練習です!
著者プロフィール
布袋田沙織ほていだ さおり
ピラティスインストラクター・ボディメイクトレーナー としてアクティブなカラダやココロを目指してモデル、アナウンサーやスポーツ選手にトレーニングを行っている。2013年よりマウンテンバイクを始め、国内レースへの参戦の他、2017年よりamity mountaincrewとして海外のレースやフィールドに挑戦するなど、さらに活動の場を広げている。