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2016年04月10日

FUNRiDE NEWS TOPICS【新着情報 】4/10

トラック複合種目オムニアム 窪木一茂がリオデジャネイロ五輪、出場へ

4月6日、日本自転車競技連盟は記者会見を開き、8月にブラジル・リオデジャネイロで開催される夏季オリンピックでのトラック競技の日本代表候補選手を発表。NIPPO・ヴィーニファンティーニに所属するロードレース日本チャンピオンの窪木一茂が複合種目オムニアムの日本代表に内定、イタリアから一時帰国し、記者会見に出席した。日本ナショナルチームの飯島誠・中距離ヘッドコーチは選考の理由を「直前のロンドンでの世界選手権にて、6種目目のポイントレースで2ラップすることに成功したこと、またこれまでの安定した成績」と説明。日本は男女各5種目あるトラック競技の公式種目のうち、男女オムニアム、短距離種目である男子スプリント、男子ケイリン(2枠)で、合計5つの出場枠を獲得している。

男子オムニアムは、8月14日〜15日、2日間にわたって開催され、6種目での獲得ポイントを競います。世界18カ国からの強豪選手が出場しますが、優勝候補の筆頭は、世界選手権オムニアム連覇中のフェルナンド・ガリヴィア(コロンビア)、そしてロンドン五輪金メダル、現在個人ランキング首位のラース・ノーマン・ハンセン(デンマーク)。彼らトラック競技のスペシャリストに加え、ロードレースでスプリンターとして活躍するエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)らがどこまでメダル争いに絡んでくるか注目だ。

●男子オムニアム 出場国一覧
ヨーロッパ(8)/ベルギー、デンマーク、フランス、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、スイス
アジア(4)/日本、香港、カザフスタン、韓国
アメリカ(4)/ブラジル、コロンビア、メキシコ、アメリカ
オセアニア(2)/オーストラリア、ニュージーランド

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味の素ナショナルトレーニングセンターにて行われた日本自転車競技連盟の記者会見に出席した窪木一茂(右から2番目)。左から中川誠一郎(スプリント)、渡辺一成、脇本雄太(ケイリン)、窪木一茂(オムニアム男子)、塚越さくら(オムニアム女子)の順。(写真/NIPPO Vini Fantini)

窪木一茂(くぼき かずしげ)プロフィール
1989年6月6日生まれ、26歳。福島県出身、学法石川高校から日本大学に進学。ロードレース競技とトラック競技両方で活躍し、国内コンチネンタルチーム所属を経て、2016年よりイタリア籍プロコンチネンタルチームであるNIPPO・ヴィーニファンティーニへと移籍。脚質スプリンター。

略歴
2010年/全日本選手権トラック ポイントレース 優勝 2012年/全日本選手権トラック ポイントレース 優勝、ツール・ド・北海道 総合3位 2013年/アジア選手権トラック 団体追抜2位、国民体育大会 成年男子ロードレース 優勝 2014年/全日本選手権トラック オムニアム 優勝、ツール・ド・北海道 ポイント賞 2015年/全日本選手権ロードレース 優勝、国民体育大会 成年男子ロードレース 優勝

窪木一茂のコメント
「これまで橋本英也選手(NIPPO)と2人でリオ五輪への切符を獲得するために戦ってきました。中距離種目での日本記録保持者である橋本選手の存在は僕にとって良い支えでもあり、刺激を与え合う関係でした。橋本選手と切磋琢磨し戦ってきたおかげで、ここまで自分も成長できたと思います。そういう意味でも彼にはとても感謝しています。

先日、ロンドンで開催されたUCIトラック世界選手権では、リオ五輪への最後のチャンスだと思い、悔いの残らないように全力で走りきりました。僕の気持ちとしては、どちらが選ばれても悔いはなかったです。そして代表の発表が来る日を待ち望んでいました。イタリアの遠征先で選考の連絡を受けた時は、しばしこれまでの犠牲や努力が報われた気持ちにも浸りましたが、数日が経過した今の心境は、これまで以上に責任感に満ちた気持ちでいっぱいです。オリンピック本番で期待を裏切らない結果、目標を見据えると同時に、選考の結果をより重く受け止めています。

橋本選手をはじめ、これまで4kmチームパシュートでのオリンピック出場を目標に、4年間一緒に努力し戦ってきた中距離強化指定選手のことも色々と思い浮かびました。ですからリオ五輪では、なんとしても彼らの期待に応えられる成績を残したいと強く思います。結果を求めて思いっきり挑戦してきます。ご声援のほどよろしくお願いいたします」

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UCIトラック世界選手権で1kmタイムトライアルを走る窪木一茂。短距離の計測種目でのタイム向上がリオ五輪へ向けた大きな課題となる(写真/NIPPO Vini Fantini)

大門宏マネージャー兼監督のコメント
「窪木一茂と橋本英也、日本のオムニアム出場枠の獲得に関わった2人のどちらかがリオ五輪候補選手に選ばれることは予想されたので、通知を受けた時はどちらかに決まったのだと、正直ホッとした。今回、橋本は選ばれなかったが、来季のトラックナショナルチームの再編成構想はすでに始まってると聞いているため、彼には引き続き大きな目標であるワールドカップ、世界選手権、東京オリンピックに向けて、今からしっかりとした姿勢で準備するように伝えた。オリンピックは窪木本人にとってはもちろん、JCFならびにJOCにとっても大変重要な大会となるが、チームのロードスケジュールも翌年の契約に大きく影響する重要なミッションであることに変わりはない。

ロードチームでハイクラスのレーススケジュール下に置かれている窪木にとって、8月のリオ五輪までの課題はオムニアムの短距離種目の強化トレーニングだと思う。時期を見ながらウエイトトレーニングの度合いも増やして体重も増やす必要性も感じている。”上れるスピードマン、スプリンター”を目指すためのレース姿勢、トレーニング環境下では、オムニアムに必要なクオリティを削がれるデメリットも考えられるので、これから彼の長所も活かしながら、ベストコンディションで本番に挑めるように、トラックナショナルチームの飯島コーチとも連絡を取り合いながらスケジュールやトレーニングプログラムを慎重に検討していきたい。

代表選考に関していつも僕なりに提言していることだが、国の代表は決して”ご褒美”であってはならない。プロレベルの選手にとってもっとも尊い姿勢は本番の勝負で、記録を更新することに全身全霊を注ぎ、結果を出すことに真価を見出したい。代表選手の成績目標の設定はナショナルチームに委ねることになるが、チームの監督の立場からの希望としては、窪木には、少なくともこれまで世界の舞台で日本人が成し遂げられなかったような記録を塗り替えてもらいたいと願っている。そのような価値観をこれからも大切にしていきたい」

今後の窪木一茂のスケジュールは、東京での記者会見のあと、すぐにイタリアへと戻り、4月17日にオランダで開催されるUCIワールドツアーのアムステルゴールドレースに出場する予定。

(写真と文/NIPPO Vini Fantini)

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