記事ARTICLE

2021年11月24日

【自転車日本縦断ギネスワールドレコーズチャレンジ】バックアップに徹したクルーから見た落合佑介

この記録達成はご自身だけの力ではなくクルーがいたから、と落合佑介さんはいう。たくさんのスタッフによる支えもあり、このチャレンジが成功した。そしてさらに大きな目標へチームで挑戦する。チームクルー監督の森脇裕さんとチーフクルーの丸田友之さんのお二人の証言と、このチャレンジから得た知見など貴重な情報をお届けします。

【自転車日本縦断ギネスワールドレコーズチャレンジ】落合佑介さん、136.5時間の挑戦/本編はこちら(前編後編

↑扉写真:すべての日程をサポートしたクルー総監督の森脇裕さん(左)とチーフクルーの丸田友之さん(右)(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT

クルー総監督の森脇裕さんからの視点

落合さんのRAAM挑戦にむけて

超長距離自転車レースの最高峰であるRAAM。これを目指すにはライダーの実力もさることながら、熟練したサポートチームの編成や資金集めが必要となってきます。
2019年のPBPにてにてアジア人トップタイムゴール完走した落合さんのRAAM挑戦支援を一つの目的としRPPが立ち上がりました。
新型コロナウィルス感染拡大によるRAAM延期をうけ、超長距離の練習と資金集めのプロモーションを目的としてギネス挑戦が決定しました。

落合さんについて

落合さんは当方が担当したPBPツアー(パリ〜ブレスト〜パリ・フランス)の頃から主催者部屋に入り浸っており、ふわっとした人懐っこさが印象的で、RAAMを走るために必要な組織化(RPP https://randonneur-plus.com/)を決意させられたのは、そういった雰囲気があったからだと思っています。
ギネスワールドレコーズ挑戦中はプロモーションの意味もあり、ライブ配信に集中した事で、サポート事体がもたつく事が多々あったのですが、嫌な顔ひとつなく走る姿には、チームとしても過酷な環境において良い雰囲気が保てた一因だったと思います。

ライブ配信を行う森脇さんとクルーのみなさん(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT

チーフクルーの丸田友之さんからの視点

丸田さんは自走(車)で東京から鹿児島県・佐多岬まで向かった。復路もフェリーを使った自走だったという。(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT

落合佑介さんについて

日本縦断ギネスの挑戦の話が立ち上がり、各地区でサポートメンバーとzoomを使った打ち合わせで、落合さんは「自分を使って遊んでください」と言い続けてきました。
また、疲れなどからイライラしてしまうかもしれないと事前に言っていましたが、実際にはそんなことはなく、メンタルのコントロールもすばらしいなと思いました。

ライダーはもちろんですが、少ない休憩で追いかけ続けるサポート側も疲弊していく中で、なごやかな雰囲気を保ち続けられたのは、落合さんの弱音を吐かずにゴールへ向けて走り続ける姿勢によるものかもしれません。

帯同するサポートカーについて

落合さんのライドスタイルが宿泊をせずに走り続けることになるので、帯同するサポートも負荷が高いです。サポートカー1台ではサポートをしきれないというのと、当初の8月の予定では、私はフルでサポートが出来なかったので、各地区で車を出してサポートをしてくれる人に声をかけ、リレー形式でサポートを行うという予定を立てていました。

新型コロナの緊急事態宣言に伴い、10月に延期をすることになったので、フルでサポートができるようになったので、メイン・サブという2台以上の体制がとれました。

(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT
(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT
(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT

秋田・青森区間は、直前までメインカー1台になるかもしれない状況でしたが、スタートしてから声を上げてくださった方がいて、全行程サポートカーを2台以上の体制が取れました。

各地でサポートいてくださったメンバーがいなければ、落合さんより先にメインサポートカーがリタイアしていたかもしれません。

(c)RANDONNEUR PLUS PROJECT

ルートについて

ルートを作成した後に、各地域でブルベを主催していたり走っている人が細かくコースの精査をしていただくことができ、自転車侵入禁止のわかりにくい箇所の指摘や、実際に試走してコースを確認してくれる人もいました。

コースを公開していたことで、福井の予定コースの中で自転車侵入禁止を避けていない箇所を見つけた、ブルベを主催している2人の方が現地にかけつけてくれました。

説明を受けたサポートカーが先回りし、交差点で指示をすることでタイムロスなく抜けられたことがありました。

全行程のサポートを通しての感想

落合さんはコースは違いますが、すでに日本縦断もしたことがあり、縦断よりも長距離の経験もあるので、サポートが足を引っ張ってしまうかもしれない、ということに緊張感を持って佐多岬をスタートしました。

落合さんが要求するドリンクや食料、着替えなどを素早く提供できなかった場面もあり、RAAM本番に向けて、サポート側の課題が浮き彫りになり、今後改善していきたいと思っています。

夜中や雨の中でもペースを落とさず淡々と走り続け、予定していた大休憩の時間を削るなどをしつつ秋田までほぼ予定どおりのタイムで走りきり、落合さんが立てた経験に裏付けされた予定の正確さに驚きました。

青森では、予定していたフェリーへギリギリ間に合うかどうかという状況になり、ここまで1800km以上走ってきたとは思えないスピードで100kmを走り抜け、予定のフェリーに乗ることができました。その集中力にとても驚きました。今回の日本縦断の中でのハイライトは、実はここかもしれません。

北海道では、雨と寒さ、そして強烈な向かい風の中での我慢の時間を超えた先に、ゴールの瞬間に立ち会うことができました。全行程を通し、YouTube Liveをしてみるというチャレンジをしたことで、現地に駆けつけられなかった人たちとも、その感動を共有できたのではないかと思います。


【スポンサー一覧】(社名50音順)
ASPITE PRO RBCC( アイ・アール・シー 井上ゴム工業株式会社)
プロテクトJ1(株式会社アースブルー)
ACTIVIKE リカバリープロテイン(合同会社ACTIVIKE)
IZANAGI、AERO-R1CV(株式会社オージーケーカブト)
ショックストップステム(Alternative Bicycles)
CICLOVATION、Qbicleバイクポーター(株式会社 ACTION SPORTS)
CloudGPS(株式会社リアルタイムシステムズ)
grupettoサコッシュ日本縦断ver(grupetto)
GOKISOワイドフランジハブ、GD250mmハイトクリンチャー(株式会社近藤機械製作所)
オーダーサイクルジャージ サンボルト(サンボルト株式会社)
COLUMBUS、ZEROFIT SOCKS(株式会社 日直商会)
BOOST SHOT、BOOST Nano AG(株式会社ポディウム)
メカニック野村(スポーツサイクルショップ BECKON)
Code 3 Cr-mo x carbon(macchi cycles)
TYPE-S、パワーマウント(LEOMO, Inc.)
R250 超軽量縦型輪行袋、防水トップチューブバッグ レギュラー グレー(有限会社ワールドサイクル)
チェーンルブリキッド エクストリーム、パワー、ラスペネ、Aggressive Design(株式会社和光ケミカル)

関連URL:RANDONNEUR PLUS PROJECT https://randonneur-plus.com/

写真と文:RANDONNEUR PLUS PROJECT

関連記事

記事の文字サイズを変更する

記事をシェアする