2026年10月20日
【宇都宮ジャパンカップ2026】島崎将男、鎌田晃輝、世界を目指して走り続ける若手たち

国内最高峰の自転車ロードレース「宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース」。 10月18日、栃木県・宇都宮森林公園で行われたロードレースでアジア勢3位となった島崎将男(日本ナショナルチーム)、新城幸也のチームメイトとして経験を積む鎌田晃輝(ソリューションテック・NIPPO・ラーリ)、世界を目指す期待の若手2人のレースを振り返り、今後への意気込みを聞いた。
島崎将男、初めてのジャパンカップを27位完走
20歳の島崎将男は、昨年はUCIワールドチームの育成チームであるワンティ・NIPPO・リユーズに所属し、欧州で多くの経験を積んだ。今年は群馬マンモスレーシングチームでJプロツアーなどを走りながら、日本ナショナルチームのメンバーとして欧州遠征やツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・九州などに参戦。全日本選手権U23では2位表彰台を獲得するなど、日本期待のクライマーだ。

ジャパンカップは初参戦という島崎、強力な海外勢とのレースに意気は上がっていた。
「高校生の時に1回オープンレースを走ったことがあります。その時は、高岡(亮寛)さんとかいまして、かなりきついレースでした。結果は、確か7位です」
「ツール・ド・九州に続いて UCIワールドチームの選手と走れる日本のレースということで、とてもモチベーションがありましたし、ここで結果を残せれば世界につながる道が開けるので、本気でやろうという気持ちで挑みました」
レース中は自らの課題に苦しみながらも、集団に食らいついた。
「位置取りが苦手で、上りに入る前の位置取りが全然ダメでした。その後の上りはついていけるんですけど、下りのスピード域が速いので、どうしても前で中切れが起きて巻き込まれてしまったので、ちょっとやばいなと思ってたんです。終盤になって人数も減ってきて、下りでちぎれることもなくなったので、そこまで体が持ってくれてよかったです」

上位争いには加われなかったものの、後続の集団で粘り強く走り、27位でフィニッシュ。これは留目夕陽(愛三工業レーシングチーム)、谷順成(Astemo宇都宮ブリッツェン)に次ぐアジア勢3番手の成績で、U23の日本人では唯一の完走となった。
「まだ自分の実力的にはヨーロッパで戦えるようなレベルではないので、日本のこういったレースでチャンスをつかむこともそうですけど、着実に力をつけてヨーロッパで戦える技術も実力も含めて磨いていきたいなと思ってます」
海外勢の環境への対応力にも差を感じたという。
「彼らは長時間のフライトでジェットラグ(時差ボケ)とか環境的に厳しいはずなんですけど、それでも強かった。僕がヨーロッパに行った時は1週間ぐらいジェットラグがきついんで、そういう面でもまだまだかなわないなと思います」
一歩ずつ着実に力をつけていくことが、今自分がすべきことだと心に刻んでいる。
「来年も同じチームで活動する予定で、国内の(ジャパンカップなど)ヨーロッパに繋がるレースにはナショナルチームで出られればと思ってます」
鎌田晃輝、大先輩からの学びと困難を乗り越えたシーズン
2023年に全日本選手権U23で優勝、2025年にはアジア選手権U23も制した22歳の若手注目株、鎌田晃輝。今季は新城幸也が所属するプロチーム「ソリューションテック・NIPPO・ラーリ」の育成チーム「チームNIPPO・ヌオーヴァコマウト・オボール」に加入した。
ジャパンカップは、3度目の出場。集団がペースアップによりバラバラになった後も粘りを見せていたが、終盤にリタイアとなった。
「例年通り最初からきつい展開が予想されたのできつかったですけど、でも今年は10周ぐらいまでは走れたので、去年に比べたらマシだったのかなと思います」
今シーズン前半は、U23版ジロ・デ・イタリア「ジロ・デ・イタリア・ネクストジェン」に出場したほか、プロチームのメンバーに召集されツール・ド・台湾、コッピ・エ・バルタリ、ツアー・オブ・ハイナン、ツール・ド・熊野などにも参戦した。
「いろいろ上のレースで走らせてもらって、いい経験になりました。コッピ・エ・バルタリはイタリアの1クラスのレースだったんですけど、最終日に5人の逃げに乗って100km以上逃げて、自信につながったと思いました」
大先輩の新城と一緒に走るレースも多かった。
「直接、新城さんからご指導いただいて、自分の至らなかった点とか色々聞いてすぐに修正に繋げていけたんで、本当によかったなと思います。集団の牽引の仕方とか、ここの局面では前にいないとダメとか背中で見て教わりました」

しかし、8月に腸の病気で戦線離脱。先日のツール・ド・九州が復帰戦だった。
「体重が一時期50kg切りそうになって、自転車も2週間ぐらい乗れなくて、まさか今年中に復帰できると思ってなかったんです。でも、2週間乗れなかった割にはすぐに体調がよくなって、なんとか練習を再開することができました。本調子じゃないですけど、滑り込みで九州も出られて、最終日は20人ぐらいの先頭集団に残れて走れたんで、まあまあよかったです」
目標にしていたジャパンカップは100%の状態で走れなかった悔しさが残った。
「ジャパンカップも本調子で走れた試しがないんで、来年こそはちゃんとピークを持っていきたい。ワールドチーム、プロチームの選手がたくさん出る特別なレースなんで、ここで成績を残せるのは日本人にとって大事なことだと思います。いつかジャパンカップでいい成績を残していきたいです」

「世界で通用する選手になりたいというのが一番ですけど、今日は体調が悪いなりに自信につながる走りができたので、これからもっとコンディションを上げて来年につなげていければなと思いました」
現在、UCIプロチームに所属する日本人は、新城と小山智也(ブルゴス・ブルペレット・BH)の 2人のみで、最高峰のワールドチームには所属選手がいない。そんな寂しい状況にある日本の自転車ロードレース界。島崎、鎌田、そして彼らと同世代の若手たちが新たな扉を開いてくれることを、日本のロードレースファンは期待している。
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。





