2019年09月20日
【富士チャレンジ200】富士チャレを走ったバイクをチェック!(レジェンドライダー・サポートライダー編)
「FUNRiDE presents 富士チャレンジ 200」(2019年9月7日開催)を盛り上げてサポートしてくれたレジェンドライダー、サポートライダー、そして熱いレースを制した各カテゴリーのチャンピオンのバイクを一挙ご紹介!
今回はレジェンド・サポートライダーが駆ったバイクをご紹介します。
大石一夫さん(シクロオオイシラブニール)/LOOK 795ライト
まずはレジェンドライダーのバイクを紹介。3年連続の富士チャレ登場となった大石一夫さんは、現役時代はつねに積極的な走りで「逃げの大石」の異名をとり、1986年ツール・ド・ラヴニール日本代表、1990、1993年全日本選手権ロード優勝など国内外で活躍。現在はサイクリストにとって最高の環境を誇る長野県安曇野市でショップ「シクロオオイシ ラヴニール」を構える。
ずっとルック(LOOK)を乗り継いでいるという大石さんの愛車はLOOK 795ライト。ステムとトップチューブが一直線になったデザインが、目を引く1台だ。
「デザインがオリジナルティがあって好きで、走りの性能的にも気に入っています。エアロフレームなのでハンドルもエアロ形状にして、ホイールも空力重視のロルフ・プリマを使っています。このコースには、持って来いですね」
この日はショップのジャージを着たサイクリストもコース上で見られた。
「うちのクラブからもソロとチームで9~10人ぐらい参加しています。この大会は、1年間の中でみんなで目標にしてがんばろうという位置づけできています。私自身は、今年はお店の改築や育児などで忙しくて、あまり乗れていないですが、その中でできるだけ乗る時間を確保して頑張っています」
三船雅彦さん(マッサエンタープライズ)/エディメルクス サンレモ76
三船雅彦さんは1994年からヨーロッパでプロロードレーサーとして活動し、クラシック最高峰のツール・ド・フランドルに2回、リエージュ~バストーニュ~リエージュに3回出場。2004年ツアー・オブ・サウスチャイナシー、2008年ツアー・オブ・タイランドではステージ優勝も挙げている。
愛車はエディメルクスのサンレモ76。エディ・メルクスのミラノ~サンレモ最多勝記録をその名前の由来とする。コンポーネントはカンパニョーロのレコードだ。
「こだわりは特にないです。現役の選手ではないので、楽しく走ってトラブルがなければいいかなと。こういうイベントのときはカーボンホイールを使うけど、普段は使ってませんから。サーキットを走る機会は少ないので、今日は選手時代を思い出して懐かしいし、楽しいです。ロードレースは人と競うのも楽しみのひとつなので、若い人も僕らぐらいの年の人もこういうところで一緒に走るのはいいことだなと思います」
現役引退後はブルベにも数多く参加され、この8月にはブルベの最高峰と言われるフランスのパリ~ブレスト~パリに自身3度目の参加をしてきたばかり。
「ブルベでもパリ~ブレスト~パリは特殊で、今日と同じようなペースで1200km走るわけですが、普段のブルベはそんな速くない。いろんなところに行けるし、長時間走れば天気やコンディションも変わるし、そういうのも含めて乗り越えていくのが楽しいです。行ってないところに行くのが楽しくて、景色が目まぐるしく変わるような山の中が好きです。10月には九州一周のブルべに参加します」
阿部良之さん(AVENOVA)/東洋フレーム ハイブリッドロード
2年連続富士チャレ参加の阿部良之さんは、1997年に日本人史上唯一のジャパンカップ制覇、2000年シドニー五輪代表、全日本選手権はロードレースで3度、タイムトライアルで2度制したレジェンドだ。愛車は東洋フレームのハイブリッドロード。
「後三角とヘッドチューブがクロモリで、トップチューブ、ダウンチューブ、フォークがカーボンのハイブリッドフレームです。うちの店でもお勧めしていて、ハンドメイドなので一人一人に合わせられるのがメリットで、みなさんに喜んでいただいています。私のは最近では珍しい手組のホイールで、32穴のステンレススポーク、ハブは105ですがシマノなのでしっかりしています。
ローターの楕円クランクも踏んだ感じが気持ちいいです。そんなに軽くはないけど、乗り心地はいい。ハンドメイドのフレームらしく精度が高くて、ホイールの性能も十分に発揮できます。スピードの変化が大きいクリテリウムやロードレース向きではないですが、こういうサーキットレースなら、気持ちよく乗れると思います。
今日は去年より天気がよくて、すごく走りやすかったです。みなさんの走り方もレベルアップしていて、落車も減っている印象でした」
2017年には大阪阿倍野区に西日本最大級の広さを誇るサイクルショップ”ABENOVA”をオープンした阿部さん。
「新しいお店も軌道に乗り始めて、徐々に私も乗り始めてこういうイベントに出始めています。去年はUCIグランフォンド世界選手権に参加したんですが、今年はタイミング悪くて行けませんでした。先日はシマノ鈴鹿にも出たし、ツール・ド・おきなわも市民140kmに出る予定で、どんどんいろんなレースに参加してみたい。お店もモノを売るよりもみなさんと一緒に乗って、長く自転車を楽しんでもらえる店づくりしたい。ライドイベントも毎週といわず、毎日でも小さいものからやっていきたいですね」
西谷泰治さん(愛三工業レーシング)/キューブ ライトニングC68
現在は、愛三工業レーシングチームでテクニカルディレクターを務める西谷泰治さん。
現役時代は2009年全日本選手権ロードを制したほか、ツアー・オブ・ジャパンでは日本人歴代最多のステージ3勝、2010年ツール・ド・ランカウイ(UCI HC)第4ステージ優勝など、UCIアジアツアーで多くの勝利を獲得してきた。愛車は昨年、愛三工業レーシングチームが使っていたキューブのハイエンドモデル、ライトニングC68。
「ハンドルはリッチーのネオクラシック、サドルはフィジーク・アリアンテと自分の好きなものに変えています。引退して5年になるんですが、去年ぐらいから体形が気になりだして、12月からちょっとずつ乗り始めています。目標がないと頑張れないので、チームの遠征とかぶらないように春先からマスターズのレースにも出ています。自転車は継続して乗っていきたいですね」
この日は、他の参加者と一緒に200kmを走破。
「最近は忙しくて乗れてなかったんですけど、今日はきっちり200km走りました。150km、4時間超えたぐらいから辛くなりましたね。集団走行も久しぶりだったので、最初はビビりました。中には慣れてない人もいるので気を遣いながら走りましたが、コースも広いので大きな落車もなかったと思います。乗れるチャンスもそうそうないので、こういう走る機会はうれしいですね。チームはこの秋も大きなレースが待っているので、応援してもらえるとうれしいです」
紺野元汰さん(SBC Vertex Racing Team)/スペシャライズド Sワークス・ヴェンジ・ディスク
昨年、ホビーレーサーの甲子園と呼ばれるツール・ド・おきなわ市民210kmを制覇した紺野元汰さん。この日は、サポートライダーとしてイベントを支えた。愛車はスペシャライズドのSワークス・ヴェンジ・ディスクだ。
「こういうサーキットのような流れるコースでは、脚を使わずに進んでいくポテンシャルを持っているバイクで、有利にレースを進められます。踏み心地も気に入っていて、自分の脚質に合っています。去年のおきなわ市民210kmもこのバイクで勝って、相性もいいし愛着があります」
自分なりのカスタマイズも施している。
「僕の体格だと49サイズでギリギリポジションを出せるけど、純正のハンドル、ステムは使えないので、ハンドルはデダのZero 100シャロ―を気に入って使っています。カーボンドライジャパンのビッグプーリーも巡行するときスムーズですし、ギアが1、2枚軽く感じます」
「富士チャレは一昨年初めて200kmに出て、今年で3年連続です。サーキットコースは好きなので、毎年楽しませてもらっています。今年はサポートライダーで走らせてもらってるんですが、運営側でも楽しいですね。コースが広いので、どんな人にもチャンスがあるし、一般の人も走りやすいし、成績を狙いやすいレース展開が生まれやすいかなと思います」
富士チャレの前週には、ポーランドで開催されたUCIグランフォンド世界選手権に出場し、3位表彰台を獲得したばかり。
「今年はこの大会にすべてをかけて優勝を目指していたので、反省点はいろいろありますね。周りにはがんばったと評価してもらってるけど、勝てるレースだったので悔しいです。でも、世界のトップアマと対等に戦っての3位だったので、アマチュアの日本代表として誇れるレースはできたかなと思います。最終的に8人でのスプリントになったんですが、僕以外の7人は元シマノレーシングの小橋勇利さんのように全員元プロかトッププロチームの下部組織にいたような人で、彼ら相手に互角の戦いをできたのは大きな経験で、今後につながるんじゃないかなと思います。これからはツール・ド・おきなわの連覇を目指して頑張りたいです」
高岡亮寛さん(Roppongi Express)/スペシャライズド Sワークス・ヴェンジ・ディスク
ツール・ド・おきなわ市民210km(2010年まで200km)通算5勝、富士チャレ200(ソロ200km男子)通算3勝とホビーレーサーのトップとして長年活躍している高岡亮寛さんもサポートライダーとして参加。愛車はスペシャライズドのSワークス・ヴェンジ・ディスク。
「エアロな形状で速いです。ディスクブレーキのメリットもありますし。多くのプロチームに供給しているブランドなので、完成度が高いですね。ディスクブレーキはここ1年ぐらいで普及したと思います。今日、走っていて見たところは2割ぐらいというイメージですが、この2~3年でガラッと入れ替わるんじゃないかと思います。今日は逃げの後ろのメイン集団にいたんですが、変な挙動や危ないこともなかったし、自分の周りでは落車もなかった。参加しているみなさんも、うまく安全に走れていたなと思います」
高岡さんも前週のUCIグランフォンド世界選手権に出場し、40-44歳カテゴリで3位表彰台を獲得した。
「2年前のUCIグランフォンド世界選手権では2位で、今年も表彰台に乗るのが目標だったので満足しています。今回のポーランドのコースはまったく上りがなくて、自分にとっては得意じゃない中で一定の成績を残せたのはよかったです。でも、いつかは表彰台の真ん中に立ちたい。来年のカナダは結構上りがあるコースで自分に向いていると思うので、来年こそはという思いを強くしました。今年はツール・ド・おきなわでいい形でシーズン締めくくれるように頑張りたい。今日も走っている紺野さん、井上(亮)さんがライバルになると思います」
写真:小野口健太
関連URL:富士チャレンジ200 http://www.fujichallenge.jp/
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。