2019年09月17日
参加者すべてがチャレンジャー。「富士チャレンジ200」の熱い一日
9月7日(土曜日)、サイクイストにとってグッと身近な存在となった、富士スピードウェイ。もはや説明の必要はないが、来年の東京五輪ロードレースで勝者を迎え入れる最終地点だ。
そのコースを贅沢にも使えるのが、富士チャレンジ200。併催したタイムトライアルジャパンでは、もはやコースを貸し切り状態で、全力疾走できる! こんな機会は少ないはず。
キッズたちも広大なホームストレートを疾走でき、良い思い出になったら、幸いなことです。
さて、当日は気持ち良いくらいに晴れ渡り、「オイ、晴れすぎじゃないのか?」という真夏日。まだ9月の初旬、残暑というよりも猛暑。2019年の日本列島の夏は記録的な暑さで、さすがに、サイクリストのみなさんは慣れている様子でしたが、やっぱり暑いものは暑い。じりじりとした日差しの中、1600名の参加者が距離に挑戦しました。
さてレースは暑さにも距離にも強い、一番アツいサイクリストが頂点に輝きました。
全カテゴリー表彰台を一挙紹介!
富士山がでんと構える青空の下で行われた「FUNRiDE presents 富士チャレンジ 200」(2019年9月7日)。このレポートでは各カテゴリーの表彰台の模様や、会場で見つけた様々なサイクリストの表情をご紹介!
ソロ200km 男子
レベルの高い争いが繰り広げられたソロ200km男子は、井上亮さん(Magellan)が前半の10周目すぎから単独で抜け出し、そのまま独走。5周ごとの周回賞も20周目以降すべて独占し、終盤にはライバルたちを周回遅れにする圧倒的な走りで初優勝を飾った。2位は2014年のチャンピオン高橋誠さん(Roppongi Express)、3位には大塚潤さん(TEAM YOUCAN)が入った。
?優勝:井上亮さん(Magellan)4時間48分47秒.144
「20kmぐらいで何回か抜け出そうとして、2回目の周回賞(10周目)の後、3、4人で抜け出しました。今週は体調が悪くて、今朝も大阪から来たのであまり寝れてなくて、100kmまでおとなしくしようと思ってたので、最初に逃げてしまってやっちまったと思いました。でも、体調不良で練習を休めていた分、回復していたのかもしれませんね。これからはツール・ド・おきなわがメイン。しっかりトレーニング積んで勝負したいです」
?2位:高橋誠さん(Roppongi Express)4時間53分39秒.144 +0:04:52.000
「井上さんが強すぎて勝負にならなかったです。チームメイトの高岡(亮寛)さんにしっかりついていけと言われたんですが、ついたあげくに引きちぎられましたから。後ろの集団から自分も独走になったんですが、きつかったです。また修業します」
?3位:大塚潤さん(TEAM YOUCAN)4時間55分22秒.261 +0:06:35.117
「暑くてきつかったです。ついていくだけでも精いっぱい。最後は井上さんにラップされてびっくりしました。」
レジェンドライダーが選出する敢闘賞も井上さんに贈られた。大石一夫さんは「途中、後ろにつかせてもらって走りを見たけど、強力な引きでヒーヒーでした」、西谷泰治さんは「風が強くなったタイミングで絶妙に飛び出して、最後はメイン集団をラップしてすばらしかった」、阿部良之さんは「200km通して前に前に行く姿勢にウルッと来ました」とチャンピオンの熱い走りに胸を動かされていた。
ソロ200km 女子
手塚悦子さん(IMEレーシング)が唯一の6時間切りで優勝! 2位は小川雅子さん(SBC)。3位の山根菜穂さん(サイクルショップ三井)はロードバイク歴2年ながら、仲間やペースメーカーのサポートを受けて、制限時間2分半前に感動の200km完走!
?優勝:手塚悦子さん(IMEレーシング)5時間54分33秒.132
「6時間切りが目標だったので、切れてうれしいです。毎日ローラーに乗って練習したおかげです。2連覇目指して頑張ります」
?2位:小川雅子さん(SBC)6時間53分24秒.075 +0:58:50.943
「去年、中止になったリベンジで、完走できてうれしいです」
?3位:山根菜穂さん(サイクルショップ三井)6時間57分26秒.191 +1:02:53.059
「完走できるか心配でしたが、同じチームの人にアドバイスもらったり、違うチームの人に引っ張ってもらったり、ペースメーカーの人に後ろにつかせてもらったり、みんなのおかげです!」
チーム200km 男子
?優勝:クラブ ロードロ 5時間09分47秒.626
「優勝は初めてなので、うれしかったです。グルメライドチームなので全然狙ってなかったです。次はツール・ド・おきなわに向けて頑張って仕上げたいです」
?2位:SN@しおかるびA 5時間10分19秒.335 +0:00:31.709
?3位:クラブウェルダンZ 5時間16分05秒.016 +0:06:17.390
チーム200km男女混成
?優勝:team ZERO 5時間23分00秒.989
「優勝できると思ってなかったので、よかったです。予想以上に暑かったので、脚つらないか心配でしたが、うまく他のチーム員に渡せてよかったです。来年はジャージをそろえて、連覇を目指します」
?2位:YSTC 5時間39分52秒.956 +0:16:51.967
?3位:バナナレーシング 6時間08分19秒.817 +0:45:18.828
ソロ100km 男子
序盤から激しいアタック合戦が繰り広げられたソロ100km男子。5周目の周回賞は鈴木岳志さん(WAPPA)、10周目は菊川実紀さん(Roppongi Express)、15周目の河野史瑛呂(チーム光)さんが獲得。レースは、200km勝者の井上さんと抜け出した河野さんが2位以下に3分近い差をつけて優勝、敢闘賞も受賞した。僅差の2位争いは菊川さんが制し、3位には鈴木さんが続いた。
?優勝:河野史瑛呂さん(チーム光)2時間19分07秒.452
「実感できていないです。前回は失速して悔しい思いをしたので、いいトレーニングが送れたのでうれしい。もちろん出るからには勝ちたかったんですが、いつ抜かれるんだろうと心臓によくなかったです。」
?2位:菊川実紀さん(Roppongi Express)2時間21分51秒.417 +0:02:43.965
「河野さんに追いつくのは無理かなと思って、2位を狙っていたんですが、10周目の周回賞※は獲れていないと思っていて、鈴木さんが2秒先行しているので3位だと思っていました。チームで動ける練習できたので、いい経験ができました」
※周回賞には-1秒のボーナスタイムが与えられた。
?3位:鈴木岳志さん(WAPPA)2時間21分52秒.929 +0:02:45.477
「スタートアタックで5周目の周回賞を獲って、捕まった後に菊川さんとまた飛び出したんですが10周目の周回賞では負けてしまいました。そのあと、河野さんが飛び出して2人での勝負になったんですが、スプリンターの菊川さんをクライマーの自分が最後の上りで突き放せなかったのが敗因です」
ソロ100km 女子
ソロ100km女子は、栗原春湖さん(FALSE)が貫録の独走勝利。2位は前島律子さん(チバポンズ)が続いた。3位の富田美穂さん(トムズサイクリング)は夫婦で100kmソロに参戦し、ご主人もシルバータオル(上位 6 ~ 15%)をゲット。
?優勝:栗原春湖さん(FALSE)2時間41分24秒.046
「一緒に走ったみなさんありがとうございました。練習嫌いでレースが練習です。次は山を登れるようにヒルクライム頑張りたい。赤城に出ます」
?2位:前島律子さん(チバポンズ)2時間58分19秒.523 +0:16:55.477
「1位の方はニセコクラシックで断トツ1位だったので、今日は2位狙いで目標をちゃんと達成できました。前半集団のペースが速くて、長く乗りすぎて後半は失速しちゃいました」
?3位:富田美穂さん(トムズサイクリング)3時間08分37秒.339 +0:27:13.293
「めっちゃきつくて70kmぐらいでやめようかと思ったんですけど、最後まで走ったら3位でびっくりしました」
チーム100km 男子
?優勝:まんまサイクル 2時間32分04秒.741
「朝練やっていたので、とってもうれしい。優勝は初めて。これから大学受験でしばらく自転車から離れるので、うれしいです。来年も優勝したい」
?2位:航空電子B 2時間35分25秒.941+0:03:21.200
?3位:風のチームA 2時間38分23秒.296
チーム100km 女子
?優勝:CSエンドウ開成店b 3時間33分54秒.657
?2位:CSエンドウ開成店H 3時間40分39秒.602 +0:06:44.945
?3位:CSエンドウ開成店a 4時間44分37秒.677 +1:10:43.020
神奈川県のサイクルショップエンドウのチームのみなさんが表彰台を独占!
「去年は土砂降りの中で走ったので、今日は天気がよくて富士山がすごくきれいで楽しかった。来年の目標は2連覇です」
チーム100km 男女混成
?優勝:花田家2時間40分27秒.405
みんなのタイムトライアルジャパン 3rd stageでクラシック男子3位に入った花田俊太さんが、奥様とのペアで優勝。「僕が行けるとこまで頑張って、後は妻が出し切ってくれたと思います」「主人が頑張ってくれたおかげです。今日は楽しかったので、また主人と出たいです」と絆の勝利。
?2位:遠足チーム 2時間41分57秒.864 +0:01:30.459
?3位:なるしまフレンド K 2時間44分14秒.843 +0:03:47.438
みんなのタイムトライアルジャパン 3rd stage
富士チャレンジ200を前に「みんなのタイムトライアルジャパン 3rd stage」も開催。第1戦・彩湖、第2戦・富士山に続く2019年シーズン最終戦で、年間チャンピオンも決定する。富士スピードウェイを独占気分で走れるのも醍醐味だ。
クラシック 男子
クラシック(2周・TT機材使用可)男子は、表彰台常連の香野祐一さん(リンク)が、2位に10秒差をつけて優勝を飾った。
?優勝:香野祐一さん(リンク)12分15秒.532
「最高にうれしいです。優勝は5回目ぐらいだと思います。TTは定期的に取り組むと、すごく力になる。たくさん参加してもらうと、盛り上がって楽しくなると思います。来年はトラックも始めてみたいので、これからも頑張っていきたいです」
?2位:山倉 幹丈さん(内房レーシング)12分25秒.934
「全然かなわないです。TTは脚の力で決まっちゃうところもあるので、スタートリストを見たときに、今日は2位か3位かなと思ってました(笑)」
?3位:花田俊太さん 12分48秒.390
「絶対的なパワーではまだ劣っていますが、今日は踏めたので表彰台に乗れました。目標であるツール・ド・おきなわに向けて結果が出て弾みになります」
クラシック女子
森出美樹さん 19分05秒.212
「去年は風が強かったですが、今日は暑いぐらいでした。上り坂が不得意なので、1コーナーと下りで頑張りました。TTは一人で走るのが苦しくて楽しい。やるとハマると思います。この先もずっと続けていきたいです」。
森出さんのバイクはトライアスリートに人気のクアンタナルー。FFWDのバトンホイール、ディスクホイールを前後に履く。「ポジションを決めるのが難しいので、10年に渡っていじり続けています」
クラシックU-18
熊谷陸さん 14分08秒.880
高校1年生で自転車競技部に所属する熊谷さん。「お父さんと一緒にツール・ド・フランスを観て興味を持ちました。今日はきつかったけど、楽しかったし、うれしいです」。愛車は前世界王者ペーター・サガンのカラーリングのスペシャライズド・ターマック。「軽くて上りが楽です。ホイールはお父さんから借りました」
セミクラシック 男子
セミクラシック(1周・ノーマルバイク)は湯澤貴久さん(クラブウェルダン)が、2位に8秒の大差をつけて優勝。
?1位:湯澤貴久さん(クラブウェルダン)6分04秒.551
「めちゃくちゃうれしいです。TTは2回目ですけど、狙ってました。富士スピードウェイは上りがあるので、ひたすら坂を上る練習しました。このあとは2人でチーム200kmに参戦します」
?2位:中尾峻さん(Team SHIDO)6分13秒.141
「勝てると思ったので、悔しいです。今回、沖縄から店長選手権に参加するために来たのですが、これから200kmを走って調子を上げていこうと思います」
?3位:須藤良太さん 6分16秒.692
「長距離が苦手なのでTTだけの参加でしたが、今回は上位の2人が速すぎました。彩湖と今回の2回のみの参戦なので、年間チャンピオンには届かなかったです」
セミクラシック U-18
優勝:細川健太さん(TEAMYOUCAN)6分30秒.540
U-18ながらセミクラシック男子でも5位に入る好タイムをたたき出した大学1年生の細川さん。「全体で優勝したかったけど、力不足だなと思いました。高校時代は水泳やサッカーをやっていて、大学で自転車始めました。強い選手になりたいし、できればプロになりたいです」。愛車はフォーカス・カヨ。「こだわりは特にないですが、ファストフードでバイトして貯めたお金で買いました」
年間チャンピオン
男子:森榮晃彦さん(1063pt) 女子:森出美樹さん(687pt)
1戦ごとの平均時速がポイントに換算されるポイントランキング。この日はロードバイクでの参戦ながら、クラシック男子4位に入った森榮さんが1063ptで男子の年間チャンピオンに輝いた。2位の山倉さん(1059pt)、3位の花田さん(1054pt)とは僅差の争いだった。「3回全部出たから参加賞みたいなものです。あまりTTは好きじゃないけど、嫌いだからこそ出ている部分もあります。TTは自分との戦いですが、人と競うのも好きなので、この後、ソロ100kmにも出ます」
女子はこの日のクラシック女子を制した森出さんが、年間タイトルも手に入れた「地道に3戦とも出たのがよかったです」と笑顔。
仲間と一緒にサーキット走行を楽しもう!
ソロ976人、チーム241組が出走した今年の富士チャレ。それぞれが全力を発揮し、仲間と助け合いながら貴重なサーキット走行の1日を楽しんでいた。完走者には上位 5%以内=ゴールド、上位 6~15%=シルバー、上位 16~30%=ブロンズ、それ以降=ブルーのタオルが記念品として贈られた。また参加賞として、補給に最適な「粉飴セット」と小山町のオリジナルバームクーヘン「ふじおやま金太郎バウム」もプレゼントされた。
東京都の消防署員のみなさんは、それぞれ100kmソロで参戦。「3時間切りの目標を達成できて、みんなブロンズタオルが獲得できました」。
「またたび」は、大学時代のアルティメット(フリスビーを使った競技)サークルの仲間のみなさん。現在は卒業してバラバラのところで働いているが、「体力がありあまっているので、チーム100kmに参戦しました。暑かったけど、楽しくて気持ちよかったです」。
静岡県の電子機器関連会社のチーム「FOMAX」のみなさん。「3人1組のチームとソロで2人参加しました。もうちょっとでブロンズだったので、頑張りたかったです」。
愛知県の会社「平松木型」の社員チームのみなさん。ソロ、チーム合わせて総勢8人で参戦。「チームは10年以上の歴史があります。今日は暑かったけど、走りは手ごたえありです」。
青山学院大学ブルべ自転車競技愛好会の現役学生のみなさん。「去年も参加して雨で走れなかったので、今年はシルバーが1チーム出てよかったです。いい経験になりました」。
先導車を務めた「トヨタ RAV4 ハイブリッド G」はパドックでも展示。日本市場に3年ぶりに登場したRAV4は、SUVらしい力強さと洗練さを融合したモデル。ラゲッジスペースも広くて、サイクリストにも使いやすい一台だ。
富士スピードウェイのお膝元「静岡県小山町」のブースでは、来年に迫った東京五輪・パラリンピックをPR。さらに須走口からの富士登山、町内に2つある道の駅などの観光情報もご案内。記念撮影用のパネルも人気。
おしゃれでユニークなサイクルジャージをプロデュースする「パンダーニ」のブースでは、最新のラインナップからネットショップよりもお得な掘り出し物も含めたセール品まで取り扱い。天使の羽のインスタスポットも。https://pandani.shop-pro.jp/
クランノートのブースでは、ベルギーのブランド「ビオレーサー」のカスタムサイクルジャージをご案内。ビオレーサーは、ベルギー、ドイツなど自転車強豪国のナショナルチームをはじめ、ヨーロッパを中心に数千チームのジャージを手掛ける。今年から日本でも愛三工業レーシングチームが使用。その豊富な経験値から自転車選手に満足できるフィッティングを誇り、富士チャレに参戦するサイクリストにも実物を見てもらってその高性能を伝えた。https://cyclingwear.jp/
「カーボンドライジャパン」のブースでは、話題のビッグプーリーを展示。歯数は12-15、12-17の2種類で、アウターローでもチェーンのねじれる角度が小さくなり、抵抗なくスムーズに回せるメリットがある。その他にも、カーボンフレームの超音波診断なども行っていた。https://carbondryjapan.com/
「WAKO’S」のブースでは変速調整などのメカニックサービスのほか、チェーンの洗浄・注油、日焼け止めとクレンジングのテストなどのサービスを提供。https://www.wako-chemical.co.jp/
公式ページ:富士チャレンジ200 http://www.fujichallenge.jp/
写真:小野口健太
文:光石達也、編集部
つづいて、勝者・レジェンドライダーが乗ったバイク・機材をご紹介します。
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。