2018年03月15日
【2018 NEWプロダクツVOL.12】COLNAGO C64
Cシリーズが誕生してから30年、2018年モデルとしてC64が登場した。伝統のカーボンラグはもちろんこのC64にも引き継がれており、そのジオメトリーやスペックも健在である。Cシリーズのコンセプトはまぎれもなくレーシングパフォーマンスを発揮することだ。これは「ロードバイクだからこそ」ともいえるコンセプトで、Cシリーズは30年ブレることなくレースで勝利することだけに注力して開発されている。
前作以上のスペックを追求するのは、レーシングバイクの定めともいえるだろう。この新型フレームはC60よりもはるかに軽い186gの軽量化を実現し、約900g(500Sサイズ、未塗装)という軽さ。ラグドフレームのネックであった重量面の問題を克服している。さらに姉妹モデルのコンセプト、V2−Rでの風洞実験から得られたデータを元に、さらなるエアロ効果を生み出す形状をフレームに施している。
フレームとフォークをつなぎとめるヘッドセットにも工夫がある。カーボン、ナイロン、エラストマーを融合させた特殊化合物から作られたヘッドセットによって、優れた振動吸収性を生み出し、ライダーのストレスを軽減するという。
また、BBはC60から受け継いだスレッドフィット82.5を採用。BB圧入をアダプターに行うことで、フレームへの負荷を最小限に留める独自の構造だ。そしてリアハンガーとカーボンモノコックのドロップアウトは、フレームの内側から脱着する構造となる。従来のアルミ製よりも、軽さ、強度、耐久性のすべてにおいて上回っている。
リムブレーキはもちろん、ディスクブレーキ仕様もあり、こちらは前後12mmスルーアクスルを採用している。
ワールドツアーチームのUAEチーム・エミレーツや女子ワールドツアーチームのウィグル・ハイファイブ プロサイクリングチームへの供給もあり、トッププロのレースシーンでC64の走りをみられるだろう。30年目のCシリーズはいくつの勝利をもたらすのだろうか。
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SPEC
- Frame
CARBON TUBE + LUG - Frame Material HHM-HM CARBON
- Fork C64 CARBON
- BB BB86
- Seatpost Size ORIGINAL
- Electric ○
- PRICE
FRAME SET
¥650,000(税抜)
¥680,000(税抜) Disc仕様
¥698,000(税抜) アートデコール(BFBL,BFWH)
¥728,000(税抜) Disc仕様・アートデコール(BFBL,BFWH)
FRAME SIZE
420S / 450S / 480S / 500S / 520S / 540S / 560S / 580S / 600S
- COLOR
BFBL(アズーロ) / BFWH(ビアンコ) / PKBK(マットブラック) / PKRD(レッド) / PKSL(シルバー) / PKWH(ホワイト)
※専用コルナゴヘッドセットシステム、専用シートポスト付属。受注生産。
生産国イタリア。※塗装はイタリア、パマペイント社にて施される。
フレーム重量900g(500Sサイズ、未塗装)
装着可能BB(シマノ)SM-BB92-41B / SM-BB72-41B
装着可能BB(カンパニョーロ)ULTRA TORQUE OS-FIT 86.5×41 / POWER TORQUE OF-FIT 86.5×41
GEOMETORY
フレームサイズはスローピングモデルのみとなる。ヘッドチューブを長めに設計した”HIGH”sizeを2018年10月末より生産予定。
DETAIL
新型フォーク。リムブレーキタイプはダイレクトマウントを採用した。タイヤ幅は28mmまで対応する
シームレスなデザインのシート集合部。シート固定金具を内蔵しているのだ。サドル高調節はシート集合部の下から見えるボルトで行う。走行時シートポストに重量が加わることにより固定力はさらに高まる
専用シートポストはD型シェイプタイプ。径はφ27.2mm相当だ。背面に目盛がある。またポスト前面には滑り止めが施されている
ダウンチューブはボトルケージが取り付けられる場所をくぼませている。ボトルをダウンチューブにより接近させることで、空気抵抗を低くすることができる。姉妹モデルのエアロフレームで培った技術によって生み出された形状だ
軽量化に貢献する高分子ポリマー素材のパーツを採用。スムースなケーブルの取り回しを実現する。もちろん電動コンポにも対応する
ヘッドチューブはC60を受け継ぐパワフルさを予感させる大口径形状
スレッドフィット82.5は継続する。圧入BBをアダプターに挿入し、アダプターは一般的なBBと同じようにネジ切りタイプとなる。まさにフレームへの負荷を最小限にする独自の機構だ
ラグとシートチューブは一体成型されており、軽量かつ剛性を高めることに成功した
左右非対称のチェーンステイを採用。駆動伝達効率と剛性バランスを最適化する。リアセクションはリアハンガー以外はカーボン一体成型となる
IMPRESSION
すべてにおいて「軽い」♣︎山本健一
まさに軽快という言葉がぴったりのバイクだ。C35の試乗はリアルタイムではないので省くが、C40から時代背景とともにコルナゴのカーボンバイクには乗る機会があった。その時代ごとに、コルナゴに乗るたびにカーボンの優位性をひしひしと感じさせる。現在のカーボンフレームは非常に硬く作ることができているが、それだけではない「良さ」をCシリーズは有している。このバイクにまたがった瞬間に感じた「安堵」という感情がC64のすべてを物語る。このシリーズに一貫して感じるのは適度なウィップ感だ。もちろんこのC64にも受け継がれており、ペダリングに合わせてフレームがリズムを取ってくれるようだ。踏み出しの反応も鋭く、重量の軽さも手伝って加速感はトップクラスといっていいだろう。さらにカムテールを採用するなどエアロダイナミクスの領域にも踏み込んできた。C64に乗ると一見懐古主義のカーボンラグ構造も、施工者によって大きく変わるものだと考えさせられる。ちなみにこのシマノのカーボンホイールとの相性も抜群。気分は世界チャンピオン、そんな爽快な走りを楽しめるバイクだろう。
全体的なバランスがとれた洗練のC ♣︎菊地武洋
コルナゴの歴史を彩ってきた銘柄の中でも“マスター”と“C”は特別な存在である。エンスーを自認するなら、1台は車歴に加えておきたい銘柄の1つ。C64は剛性が低くなった感じがしないのに、前作で気になった剛性過多な感じが洗練され、スムーズで乗りやすくなった。こうした進化は、素材や製造法などに成長の余地があるカーボンフレームの特徴であり、現状に満足していても乗れば物欲を刺激される。実はC60が好みではなかったのであまり期待していなかったが、見事に予想が裏切られた。デュラエースのホイールとのマッチングもよく、加速は軽快で振動の減衰も素早く文句がない。他のホイールでは振動の収まりが悪かったのでアッセンブルの妙もあっただろうが、ブレーキ性能も制動感が向上しており、全般に扱いやすく、それでいて速い。快適性やハンドリングはエンデュランスモデルのような安楽志向ではなく、レスポンスがよくスポーティーにまとまっている。このあたりのテイストはさすがにコルナゴだし、Cを冠するに相応しいまとまりである。
このバイクは……
Cの名に恥じないオールマイティなバイク。
関連URL:エヌビーエス http://www.colnago.co.jp/2018/product/c64/
写真:和田やずか
文:菊池武洋、山本健一
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得