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2018年05月16日

布袋田沙織のRide on the Earth[第4回]Single Track 6 挑戦記 その2

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自然、トレイル、そこから見える「大絶景」に胸を焦がしてMTBを始めた私が、やってみたい事のひとつ「海外のトレイルに挑戦する事」、「自分の想像もつかないような大自然での冒険をする事」を叶えるべく挑戦した「Single Track 6」(以下ST6)というレースの奮闘記を引き続きお届けします。前回は準備編という事でエントリー、宿泊や移動について紹介しました。いよいよ今回からはレースレポートです。

ST6はカナダ西部を中心に6日間に渡って行われるステージレースです。毎日スタート地点もゴール地点も変わり、スタートに遅れないという当たり前のことにも細心の注意を払いつつ、試走もないのでどんなコースを走れるのか緊張と不安と高揚感で心臓には忙しすぎるものの最高な6日間でした。

 

Day 1

舞台はRosslandという小さいけれどMTBが盛んで、トレイルが無数にあるトレイル天国のような町です。宿泊しているホテルから1kmくらい先の広場がDay1のスタート地点だったので、スタート1時間前に自走で向かうことに。さぁ、スタート地点に到着! と思ったけど早すぎてまだ誰もいません(笑)。日陰を探してのんびりストレッチをして待っているうちに徐々に他のライダー達が集まってきます。初めてのレースでは恒例ですが、みんな速そうに見える……。完全に雰囲気に飲まれていました(笑)。

なるべく雰囲気に飲まれないために自分の世界に入り込むようにさらに入念にストレッチを……と、思えば思うほど緊張します。もう緊張のスパイラル! 特効薬は知り合いと雑談……って、知り合いもいない……緊張のスパイラルを抜け出せず(涙)。

そんな私を救ってくれたのは日本で何度か一緒に走ったことのある自転車友達でアメリカ在住の遠藤さん。はるばる国境を越えてカナダに来てくれました!日本人の友人に会えたことで少し緊張もほぐれてきて、しかもオニギリの差し入れまで!もう嬉しすぎて、後光が見えました(笑)。遠藤さんに背中を押されるようにレーススタート。いよいよ私の6日間の冒険が幕を開けました。この日の目標は「まずはDay1! やってみよう! 走りきろう!」。

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オニギリまで差し入れをしてくれた遠藤さん! ね、後光が見えるでしょ(笑)。世界中どこにいても友達の存在は大きいですね! 遠藤さん、ありがとうございました!!!

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スタート直後の写真です! まだ緊張した顔つきですね、完全に雰囲気にのまれています……

スタート直後のオンロードを越えるとダブルトラックの林道の上りを越えて本格的にシングルトラックに。他のライダーの様子を見ながら焦らず攻めすぎずダブルトラックを走ります。続いて木陰のシングルトラックの上りではタイヤのグリップも良く効き最高です! が、テクニカルなセクションも多く、ライダー達が詰まってしまいなかなか思うようにスピードを上げることが出来ません。ここで初めて我に帰ります。「大丈夫だ!私もキツイところは他のライダーもキツイし、速そうにみえるのは気のせい」。気持ちを切り替えてCP1で食べようと思っていた遠藤さんから頂いたオニギリを走りながら早速ひとつ食べつつ、脚を残すように走ります。

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ピークを迎えると大絶景が広がっています! こんな景色、環境の中で走れるということに喜びが溢れるのと同時にもっとMTBが好きになった感覚は今でも忘れられません!  ©John Gibson Pictures

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大会名に相応しく極上のシングルトラックを堪能できます。走りながら何度「最高だー!!」と叫んだか(笑) ©John Gibson Pictures

シングルトラックを抜けるとひたすら続くジープロードに入ります。このあたりから今まであまり気にならなかった暑さが厳しくなってきました。気温37度、湿度4%。加えて日が高くなってきて日陰もまばらです。日差しは強いですが湿気がないので走りやすいと錯覚しますが、この炎天下でのレースは今まで経験したことがないくらいに体から水分が飛んでいきます。ひたすら続く灼熱のジープロード……砂漠のように感じました。

CP2を越えると、一緒に走ってくれていたメカニックが「全身攣る」という聞いたこともない悲劇に見舞われます。一緒に走ることは難しそうなので、ここからは単独で走ることに。レース後に聞くと「自転車にしがみつき立つのも精一杯。一歩一歩進むしかなく、地獄のようだった」とのこと……。恐るべし「全身攣る」、恐るべし脱水。

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CP(チェックポイント)ではスタッフが頭から水をかけてくれます。これが気持ち良い!!灼熱のジープロードに現れるオアシスです! ©John Gibson Pictures

コースの全体感は、灼熱ジープロードを上り、テクニカルなシングルトラックを上り、気持ちのよいシングルトラックを下り、超テクニカルな下り、という感じで走っていきます。 ST6の面白いところのひとつにタイムドセッションがあります。これは決められた下り区間にてその区間のタイムを競うというもの。競うぐらいですからもちろん超テクニカルな下りが選ばれています。これを狙いに上りを全部押してでもダウンヒルバイクで参加する選手もいました(笑)。

メカニックと別れて単独で走る私に突如ライバルが現れました。ショートカットで肩がムキムキのお姉さん。明らかにお互い意識しつつ、抜いたり抜かされたり。テクニカルな箇所でバイクから降りてしまうと向こうは気合いで走りきるほど、ギリギリのところだけど絶対に負けたくないという気持ちがビシバシ伝わり、もちろん私も同じ気持ちで必死に食らいつくように負けず嫌い魂をビシバシ送ります。ギリギリだけど譲れない……、キツすぎるけど集中力が研ぎ澄まされて忘れられない時間でした。

結局Day1はそのままムキムキお姉さんと一緒にゴール。ゴール後には健闘を讃え合い、握手と抱擁。カナダまで来て最高のトレイルを舞台に走れる喜びもあるけど、こうして他国のライダーと競い合い、讃え合ったことでMTBの楽しさを再認識しました。疲労と暑さでバタンキュー状態ですが、興奮と高揚感で翌日のDay2が早くも楽しみになってきました!

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国や性別を超えて競い合い、励まし合い、讃え合えるのは本当に素晴らしい経験でした。この写真はロードバイクのトレーニングがてら応援してくれた方とのハイタッチです!左側のお姉さん、下りが男子以上に速いです ©John Gibson Pictures

さてここで、今回のレースの装備を紹介します。今回使用したバイクはSANTA CRUZの女性ブランドJulianaのJoplinで、ダブルサスペンションですが重さを感じるよりも取り回しやすさや走りの滑らかさが気に入っています。ホイールはDo Corsa Nove (http://www.paz-wheel.com)に軽くて丈夫なものを……という無理難題をオーダーさせていただきました。

ST6はクロスカントリーレースですが下りはハードなダウンヒルなのでハードテイルで走るライダーは見かけませんでした。3Lのリュックにはナトリウムを意識したサプリメントを入れた水とパンクツールや最低限の工具を。補給食はオニギリを梅干しで包んだものをサランラップに入れ、ポケットに忍ばせて走りながら口に入れました。

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6日間一緒に駆け抜けた相棒です。あーだのこーだのとわがままを聞いてくれて最高の1台に仕上がるように関わってくださった皆様、本当にありがとうございました! そしてリュックには家族や友人がくれたお守りがたくさんついてます!めちゃくちゃ力もらいました!!

(写真/John Gibson Pictures、本人)

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