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2017年12月19日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 5-6) カラダがヤバイ!どうする!?

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第5章:ゴキゲン! 「カラダ」と「バイク」のメンテ技術!

5-6)カラダがヤバイ!どうする!?

 

足が攣った!膝が痛い!ハンガーノックで動けない!ツーリング中の身体の異変は、その対処を間違えばゴールできないどころか、深刻なダメージを残すこともある。とくにビギナーはスポーツバイクの慣れない前傾姿勢や、普段使わない筋肉の酷使などにより、身体のあちこちに痛みや不具合が発生しやすい。身体のトラブル対処を考えてみるが、無理をしない事が最大の予防である。

 

<足の攣り>

日頃運動不足でツーリングに出た際などに、峠など上りで頑張ってしまうと足が攣ることがある。けいれんを起こすのは、ふくらはぎか太腿前部が多いが、どちらもとても痛い!とくにヒルクライムイベントなどでは、好タイムを目指して頑張りすぎて足が攣る人が多くなる。多くの汗をかくと脱水症状に近づき、水分と一緒に体内のミネラル分が失われ、体内の電解質のバランスが崩れると足が攣りやすくなる。過去に攣った経験があったり、足がピクピクしはじめたりして攣りそうだと感じた際には直ぐに下車し、ストレッチをして予防しよう。


==対処法==

  1. 走行中に足が攣ったら、速やかに安全な場所に移動して下車する。両足が攣るとその場で落車するリスクがあるため、クルマが来ても大丈夫な場所に避難する。酷い場合はペダルからビンディングシューズを外すのが困難になってしまう。

  2. ふくらはぎが攣ってしまった場合には座って膝を伸ばし、足首を強く折り曲げふくらはぎとアキレス腱をゆっくりと伸ばす。もしつま先に手が届かない場合は、タオルなどを足先にひっかけて伸ばす。足を引き上げた状態を8秒間ほど続けることを繰り返す。

  3. 太腿前部の場合は周りの人に手伝ってもらい、足首を曲げたまま手を膝裏に入れてもらい膝を折り曲げる、上に覆い被さってもらい、波状的に体重をかけて押してもらってももを伸ばす。

  4. ストレッチを繰り返し、症状が治まったらマッサージをする。

  5. スポーツ飲料等で水分と塩分を補給すると回復しやすい。

  6. 温めると回復を早め再発防止になる。

予防策としては、こまめな水分の補給をし、ミネラル豊富なバランスのとれた食事を心がける。アルコールの過剰摂取は足が攣る原因になるので、前日のお酒は控えよう。また、漢方薬の芍薬甘草湯は効果が高く、これを飲むと数分以内でほとんどの方が治るというから、攣りやすい人はおすすめだ。

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攣ってしまった場合は、仲間や周りの人に手伝ってもらうとしっかり伸ばすことができる

 

<ハンガーノック>

自転車は身体がエンジンであり、筋肉を動かす糖分がエネルギーとなる。そのため途中で十分なカロリー補給が無いと、クルマのガス欠と同じような状態になって動けなくなってしまう。その状態をハンガーノックという。つまり血液中の血糖値の低下などによって筋肉を動かすエネルギーが欠乏し、急に力が入らなくなってしまうのだ。ひどい場合には手足がしびれたり、頭がぼーっとしたり、めまいや目の前が真っ暗になったりもする。食料や水分の補給を十分に行わず、とくに長い上りなどで頑張ってしまった場合に起こりやすい。ハンガー(空腹)によるノックダウンでハンガーノックと言うのである。


==対処法==

  1. 少しでも身体に力が入らないと感じたら、すぐに休憩をとり、カロリーを摂取する

  2. 無理して動けなくなった場合には、早急なエネルギー補給が必要。カロリーの高い糖分などを多く含んだものをしっかりと摂取する。

  3. 一度ハンガーノックに陥ると簡単に回復して再出発というわけにはいかない。酷い場合にはカロリーをエネルギーに変換する体力すら奪われてしまい、摂取した食料が消化吸収され回復するのに1時間程度の時間が必要になってしまうといわれている。

  4. 決して無理して見切り発車をせずに、落ち着いてしっかりと回復するまで待つ。

ハンガーノックにならないためには、空腹を感じる前からこまめにカロリーを摂取する事が大切。スタート前には十分なエネルギーを補給し、走行中は一度に大量の食物をとるのではなく、こまめにエネルギー補給する。空腹を感じてからでは遅いのだ。補給食には携帯用エナジージェルやカロリメイトなど、少量で高カロリーなものが良い。手持ちの補給食がなくなれば、コンビニなどで必ず補給調達しよう。

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症状が深刻な場合は、無理に動かず安全な場所で横になり補給食を摂取し、回復を待つ

 

<熱中症>

自転車に熱中する自転車バカのことではない(まぁこれも病気かもしれないが???)。気温が高く日差しがきつくて、風が弱い時には、多くの汗をかき水分とともに塩分やミネラル(ナトリウムやカリウムなど)が排出されて失われていき、体の中の熱を外へ放出する機能が低下し体温調節ができなくなる。この状態を総称して熱中症と呼ぶ。

熱中症は主に日射病と熱射病があるが、日射病は脳の体温調節機能の障害で、軽い脱水で顔が赤く、息が荒くなったりする。熱射病は日射病よりも症状が重く、頭痛、吐き気、悪寒などに襲われ、高体温で顔は青ざめ冷や汗が出たりする。ひどい場合には昏睡状態に陥り死亡することもある怖い病気だ。サイクリング中に頭がぼーっとしたり、気だるくなったり、吐き気がするといった症状がでてくると、要注意である。


==対処法==

  1. まずは涼しいところへ移動する。日陰で休むのも良いが、できれば冷房があったほうが良い。コンビニでもスーパーでもパチンコ店でも、とにかく冷房の効いている場所に移動して、事情を話して休ませてもらい横になる。少しでも症状が出はじめたら、我慢せずにすぐに対処する。

  2. 衣服を緩めて風通しを良くし、楽な状態にする。

  3. 体に水をかけたり、冷たい濡れタオルを当てて体を冷やす。首、腋の下、足の付け根などの動脈部分を冷やすと効率的に体温が下がる。

  4. 水分と塩分を補給する。スポーツドリンクには「水分」と「塩分」が含まれているのでおすすめである。塩飴や塩タブレットを摂取するのも良い。

冷房施設のない場所では、近くに川や海、湖などがあれば水浴びなどをして身体を冷やす。とにかく異変を感じたらすぐに休み、体を冷やすことである。ちなみにヘルメットは空冷効果があるので、濡らしたバンダナなどで頭を覆った上から被って走れば予防効果がある。

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小まめな給水が熱中症の予防になる

 

<膝の痛み>

重いギアを踏みすぎていると起こりやすいのが膝の痛みである。サドルの高さや前後位置が適切でなかったりしても膝痛の要因になる。ケイデンスを確保したペダリング、自分にフィットしたポジショニングができていなければ、膝にかかる負担が増えるため、膝が痛くなりやすい。過去に膝を痛めたことがある場合、寒くなると再発しやすくなるので、これからの季節は要注意だ。


==対処法==

  1. 軽いギアでクルクル回し、90回転/分程度のケイデンスを意識する。

  2. サドル、ハンドルにてポジショニング調整を行う。

  3. 膝の前側が痛い場合は、サドルが低すぎたり前に出すぎている場合が多い。

  4. 膝の裏側が痛い場合は、サドルが高すぎたり後ろすぎたり、またアンクリング(ペダリングで踵が下がる)が起こっている場合が多い。

  5. O脚気味の場合親指側を高く、X脚気味の場合は小指側を高くするようにカント調整する。カント調整にはクリートの間にクリートウェッジを挟んで行う。もしくはフェルトやラバーシールをシューズのインソールの裏に何枚か重ねて貼る。

膝の痛みは重いギアを踏むことが最大の要因だが、とくに上りなどでペダルを踏み込み続けて負荷が多くなると起こりやすい。無理をして膝痛になれば、その後のサイクリングは苦痛になりかねない。軽いギアでかるーく回して予防しよう。

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ポジションを⾒直すことと、重いギアを踏みすぎないことで膝の痛みは緩和できるケースが多い

 

<首の痛み>

スポーツバイクの乗車スタイルは基本的に前傾姿勢となる。とくにロードバイクの場合は前傾が強くなる傾向にあり、前方確認のためにつねに首を起こさなくてはならず、首に痛みが発生する要因となる。下ハン(ドロップハンドルの下部を握る)は、過屈曲頚椎(曲がり過ぎる首)となりやすく、長時間続けていると首痛が起こりやすい。


==対処法==

  1. 下ハンは長時間続けず、ハンドル上部を持つようにする。

  2. ハンドルを高くする。

  3. 休憩や信号停車などの際に、こまめに肩と首をストレッチする。

  4. 前方確認に余裕のある場所では、安全を確保しながら首をラクにする。

スポーツバイクの経験を積めば、首を支える僧帽筋や胸鎖乳突筋、背筋などが鍛えられて行き、前傾姿勢をラクに続けられるようになる。一番の対処法は鍛えて慣れることだろう。

 

<手首・掌の痛み>

ロングライドなど長時間乗車した場合、手首や掌が痛くなることがある。体重分散が上手くできずに手にかかる負担が大きいと起こりやすい。ずっと同じ場所を持ち続けたりすると、神経が圧迫されてしびれや痛みが出ることもある。手や腕は路面からの振動が吸収できるように力を抜いてリラックスさせるのが基本だ。体重を支え続けすぎると荷重と振動から、手だけでなく肘や肩までも痛くなってくるので要注意だ。


==対処法==

  1. サドルが前に出すぎていたり高すぎたりすると、手にかかる負荷が増える。ハンドルを高くして、サドルを後方に下げ低めにするなどポジションを調整をすれば痛みは出にくい。やりすぎると尻が痛くなるので、適度に体重分散できるよう調整する。

  2. パッドが厚めのグローブを使えば掌への荷重を和らげ、振動を吸収する効果がある。ちなみに、百均などで売っている女性の化粧用品である、ファンデーションを塗るスポンジを手袋の中の掌部分にいれると同様の効果があり、状況に応じて使うことができる。

  3. クッション効果のあるバーテープが良いが、乗車中に替えるのは無理なので、応急処置としてはバンダナやハンカチなどをバーテープに巻く。滑らないように注意が必要。

  4. ドロップハンドルの握る位置は、バートップ、肩部分、ブラケット、ブラケットトップ、下ハン、エンドなどいろいろとあり、様々な状況に応じてこまめに握り換えることで手の痛みや疲労は軽減できる。

ライドの途中でできる対処以外に、手の痛みへの事前の予防をしておきたい。バーテープをクッション効果のある厚めのものに換えたり、ハンドルの高さや位置、サドルやブラケットの調整など、試行錯誤で自分にフィットするポジションを模索しておこう。

 

<他の身体各部の痛みと対策>

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第5章の第5項「予防する!身体のトラブル」→ http://funride.jp/serialization/jitensyalife38

 

<性器に影響する!?>

「自転車は性器に影響する!?」と言った都市伝説(?)が噂されている。男性はED(勃起障害)になるリスクが高まるという。女性も長時間のライドを続けると、性器の腫れやマヒなどの不快感が出ることがあるという。これは欧米の大学や研究所などで、自転車は男女ともに性器への影響が大きいとする報告があり、その情報をベースに日本性機能学会が、ED診療ガイドラインとして「自転車は注意が必要である」「乗車時間とEDの間には明らかな用量相関関係がある(乗車時間が増えるとリスクが高まる)とされる」としたことから噂が広まったと言われている。自転車との因果関係は疫学的に明確に立証されてはいないようなのだが、注意するに越した事はない。

米国労働安全衛生研究所(NIOSH)によると、とくにベースが狭くノーズが細いサドルの場合、細い部分に体重が集中して陰部を圧迫し、生殖器への血流が滞って性的能力に影響が出る可能性があるという。女性の場合でも同様に性器周辺に体重が集中することにより、血管や神経系が圧迫されるだけでなく、デリケートゾーンが擦れたり腫れたりして、不感症になるとの報告もある。陰部やデリケートゾーンへの体重集中は性器だけでなく、身体各所の痛みにもつながるので、体重分散を良く考慮したポジショニングを心がけたい。

 

身体のトラブルや痛みが乗車時以外にも続く場合には、早急に病院で診てもらうようにしたい。痛みを我慢して無理にライドを続けたり、その後も回復しない状態になってしまうと、自転車に乗りたく無くなるかもしれない。異変を感じたら我慢せず、無理せず、頑張らず、身体を労わってあげることが、いつまでも自転車を楽しみ続けるのに大切なことなのである。

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は1月2日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人、千葉達也)

 


第5章:ゴキゲン!「カラダ」と「バイク」のメンテ技術!

1)生活習慣病に、メタボ対策に、効果絶大!

2)ダイエット、シェイプアップに最適!

3)違和感なし!快適乗車で生涯サイクリストに!

4)カッコよく快適に!レイヤード術

5)予防する!身体のトラブル

6)カラダの異常!どうする!?

7)サイクリストの義務!自転車の健康管理

8)パンク!!! スマートな対処はカッコイイ

9)センシティブ!ディレーラー調整のコツ

10)命を預ける!?ブレーキのメンテナンス

 

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