2015年10月30日
パリ・ブレスト・パリ ランドヌール2015 VOL.1 三船雅彦×矢野大介&ファンライド 鼎談
先頭集団で43時間を戦い抜いた二人がパリ・ブレスト・パリの知られざる姿を語る。
フランスという地で行なわれた世界最古のレースは日本人サイクリストにどう映ったのか。
帰国して数日後に異変が……
(本文)
矢野:三船さん、帰ってきてからどうでした?
三船:体重が7キロ落ちた。帰ってきてから3日目くらいしたら体調が悪くなってきて、それからどんどん。
矢野:食べられるの?
三船:食欲はあるけど、食べ出すとあまり食べられないね。
矢野:頭の中と実際に受け付けられる食べ物が違うんだろうね。だって終わった直後はステーキが食べたいとか言っていたし(笑)。絶対無理やろって。
三船: 帰ってきてから焼き肉食ったし、カレーにソバに、ラーメン。食べ出してから急に具合悪くなって。どういうペースで体重が落ちたのかもわからない、ふと自分 の脚を見たら血管が浮き出ていて、いつも見ているふくらはぎとは違っていたから体重計に乗ったら…。壊れているのかなと思った。
矢野:……僕は、お茶漬けだったな。
三船:帰国初日は朝もぜんぜん眠くなくて、昼はこのまま“まんま亭”に行ってカレーかな、と思っていたけど、欲望はラーメンに向かって。やっぱりラーメン食ってからカレーでと(笑)
矢野:頭は起きているけど脳みそは半分寝ているというか。意識はしっかりしているけど、身体は寝ようとしている。それが帰国後も数日続いていた。夜はしっかり寝ているけど、日中はそんな感じだから、一週間くらい自転車に乗っても脚はすごく重くて。
編集部(以下編):だいたい日本から走りにいっただけでハンディというか。
矢野:そうですね。リーダー連中はみんなヨーロッパ勢なので、たいした時差ではないよね。
編:帰路もダメージがあったんじゃないですか?
矢野:走ってすぐに帰ってきたからね……。帰りの飛行機は離陸前に寝て、起きたらあと2時間。すごく短く感じた(笑)。
三船:機内では3〜4時間しか寝られなかったな。……そういえば矢野くん、PBP当日の朝にランニングへ行っていたよね。
矢野: 僕は海外出張に行くとランニングをするんですけど、かさばらないし、運動が出来るから。ラファの仕事で、ロンドンなどに行ったら自転車に乗ってもビジネス パークの3〜4kmの周回しか走れない。そこでランニングすると結構面白いので。そんな感じでスタートの日の早朝にベルサイユ宮殿のなかの池を走ったらす ごく大きくて1時間以上かかって、そのダメージが……。階段降りるのとか辛くて(笑)。オレも辛いんだよ〜と。大失敗ですね(笑)。
ラファジャパン代表、矢野氏が三船雅彦氏を応援するわけ
編:さて、内容が壮大すぎて……。どこから聞けば……。では、矢野さんがPBPに関わるきっかけから。
矢野: 三船さんにしてみれば、大変なことだったんですが。前回のPBPのときに、ラファがPBPの特集をすることになったんです。ラファの社員からスーパーエン デュランスに強い人間がおり、2人チャレンジすることになったんです。ドキュメントするからサポートを入れられるよ、というので三船という人が行くのでサ ポートをよろしくね、ということになったんですが、寸前になって無理になったと。で、三船さんが現地に行ったら誰も居なかったということになって、あとは どうなったか話以降は三船さん自身が話されていますが、400km地点でエネルギー切れになり、自分で食べて寝てということをしたんですが、結局ずっと引 きずってしまって。それが申し訳ないという想いもあり、今回も出るということだったので、では僕が個人的に行きますということにしたんです。フランスにも ラファの人間はいますが、私もPBPに興味がありましたし、埋め合わせもしないと、ということで。
編:4年前のエピソードは三船さん自身から伺っていまして、そのときは面白おかしく話をされていましたが、現実では…。
矢野: もちろんふざけんじゃねーよ、って感じだったと思います。当然あると思います。実際に行っていて、ちゃんとサポートが出来ていたとして、クリティカルな場 面で居なかっただけでも“なんで居らんねん”となるだろうに、最初から居なかったという絶望感は計り知れないです。そんな事を考えたら当然…。その経緯が ありながらも今回も走ってくれたので、メイクアップする機会が訪れた。これは行かなければいけないと。
(VOL.2へつづく)
(写真/海上浩幸 取材/編集部)
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。