2018年09月04日
最新自転車パーツの現在地 【キャットアイ】ライト編
ロードバイクに個性やインテリジェントを与えるのは、フレームやグループセットよりもアクセサリー遣いである。
ハンドル周りに大画面の高性能サイクルコンピュータや高照度ライトが付いていれば、きっとオーナーはトレーニング好きかブルベなどのロングライドに参加するヘビーユーザーだろう。
ファッション同様、小物遣いは重要なのだ。道交法では昼間だけなら前照灯の装着義務はない(※1)が、最近は安全性を考慮してデイタイムでも点ける人は多い。
※1.トンネル内(照明が暗く50m先まで明瞭に見えないトンネル)その他、濃霧の中など、50m先まで明瞭に見えない暗い場所は点灯が必要
クルマ同様、暗いライトはバイクを古く、チープな感じにみせてしまう。
逆に、ちょっといいライトはバイクやオーナーの品格を上げてくれるともいえる。
今回は日本を代表するアクセサリーメーカーのキャットアイの塚本賢さんと高浦克樹さんに、最新のライト事情をうかがってみた。
マーケティング部課長の塚本賢さん(左)とマーケティング部副主任の高浦克樹さん(右)
PHOTO:CAT EYE
フレームやホイールだけでなく、アクセサリーに気遣いを。
ライトに対する意識に変化が
菊地 ライトに対する意識が変わってきましたね。
塚本 はい。昼間でもライトが必要という意識が高まりつつあります。走っている人数が違うのですが、自転車事故の78%は昼間に起きているんです。しかも、事故原因の87%は「発見の遅れ」だと言われています。
菊地 昼間なのに、存在を意識されていないってことですか。
塚本 だから、自分が「見る」だけでなく、他者から「見られる」重要性に気がつく人たちが増えているんです。私どもの製品にしても、デイタイムハイパーコンスタント・デイタイムハイパーフラッシュという昼間用の推奨モードをつけています。
菊地 強そうなモードですね。
塚本 光を制御し様々な場所に配光する技術を用いた製品化をしています。
菊地 気づいてもらうことは重要ですもんね。
塚本 ええ。走行中に後ろから自動車に衝突される事故の致死率は、他の事故と比べて圧倒的に高いんです。だから、リアライトを付けて「私はここにいます」と自分の存在をアピールしてもらいたい。そのためにヘルメットに装着して、前後方向に自分をアピールできるヘルメット用ライトを“VOLT”シリーズに作りました。
このように従来の自転車のフレーム以外にも取付けられるアイテムを増やしています。高い位置への装着により、視認性を高めるヘッド・テール一体式ヘルメットライトの「デュプレックスシリーズ」と、バックなどに取付けたまま移動でき自転車から離れても周囲にアピールができる「ウェアラブル エックス」を作りました。
菊地 VOLT400デュプレックスですね。
VOLT400デュプレックス 9000円(税別)PHOTO:CAT EYE
塚本 ええ。おかげさまで関西では、ヘルメットライトの普及も進んできました。
菊地 便利そうで気になっているのですが、眩しさが対抗する人やクルマに迷惑をかけそうで……。
塚本 日本人の国民性だと思うのですが、対向する人たちのことを心配して、ライトを下に向けて使っている人が多い。
菊地 やはり気になりますね。
塚本 対向者に配慮したモデルもあり、今後も充実させようと取り組んでいます。
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。