2018年12月06日
オフだからこそ学びたい、安全な集団走行を 「Roppongi Express × FUNRiDE オフシーズンに向けたトレーニングのススメ」
強豪クラブチームRoppongi ExpressとFUNRiDEのコラボイベント「オフシーズンに向けたトレーニングのススメ」が、11月24日、千葉県成田市の下総フレンドリーパークで開催された。高岡亮寛さんらRoppongi Expressのメンバーが、オフシーズンのレベルアップを目指すサイクリストのみなさんに模擬レースとセミナーで集団走行やバイクコントロールのテクニックを伝授した。
Roppongi Expresメンバーが実戦形式でアドバイス
この日の特別ゲストは、2017年グランフォンド世界選手権2位、ツール・ド・おきなわ市民210km(200km)通算5勝などの実績を持つ最強のホビーレーサー高岡亮寛さん、セミナーの講師はハムスタースピン代表の福田昌弘さん、そして2人も所属するRoppongi Expressのメンバーがサポートライダーを務めた。参加者約40名を2組に分けて、1時間の模擬レースとセミナーを交互に行った。
下総のコースは、1周1.5kmと短いながらもアップダウンやコーナーも多く、様々なレースのテクニックが試される。模擬レースでは実戦形式で集団内での安全で楽な走り方、ローテーションの仕方などを、Roppongi Expressのメンバーが走りながらマンツーマンでアドバイス。後半はペースアップし、自分がどこでちぎれたか、など弱点や苦手な展開を見つめ直して、今後のトレーニングの参考にするのも狙いだ。
Roppongi Expressのメンバーと一緒に走って、集団走行の極意を学ぶ
ゴールした後もチームメンバーと言葉を交わし、アドバイスを受ける
実戦で生きるバイクコントロールテクニックを学ぶ
公園内の広場では、福田さんによるセミナーが行われた。まずは体幹のチェック方法やトレーニング方法を学び、続いて片手運転、スラロームなどでバイクコントロールの向上を図る。またペダルをこがず、腕の使い方や重心の移動のみで、小さな坂を上る練習も行った。
福田さんは「バイクコントロールがうまくなれば、集団内で無駄な力を使わず安全に速く走れるようになる」とセミナーのポイントを説明していた。
体幹がうまく使えていれば、身体をまっすぐにしたまま前傾できる
体幹を意識するために胸骨に片手を添えて走るワークアウト。ハムスタースピン独特のメニューをこなす
基本的なスラロームだが、初めて練習するという参加者も多数いた
タイミングよくヒジを曲げて重心移動することで、ペダルをこがずに小さな坂を越える。この感覚を身につければ、レース中も力を温存できるという
高岡さんは「ロードレースに出る人が増えた分、クラブチームやショップチームでテクニックを学ぶことなく、いきなりレースに出る人が多くなりました。集団走行に慣れてない人に速いスピード域での走行に慣れてもらって、大きな大会でも落車が減るようになってほしい。冬だからこそ、スキルを磨いたり、経験値を積みやすいと思います。すぐに結果は出ないかもしれないけど、長い目で見てどれだけ成果が出るか期待したいです」と今回の練習会の意義を語っていた。
福田さんは「普段の室内のセミナーとは違い、実際に自転車で試せるので自分の弱点がすぐにわかるのが、今回のイベントの魅力。模擬レースも、逃げたときにどう走ると追いつかれるのか、どう追いかけるといいのかも実戦形式で練習できました。やってよかったし、もっとこういう機会を増やしたいですね」と振り返っていた。
<参加者の声>
これまでヒルクライム中心に出場していた谷口巨樹さん。今後は大磯クリテリウムなどにも出てみたいと、今回の練習会に参加。「模擬レースはこんなにガチに走るとは思っていなかったけど、集団走行では慣れている人にペースを合わせようとか、途中途中でアドバイスをいただいて、すぐに反映できたのがよかったです」
女性唯一の参加は、Roppongi Expressメンバーの髙橋誠さんの奥さんの髙橋瑞恵さん。「スラロームは普段やらないので、今日は自分ができなさ過ぎてびっくりしました。今は子どもが小さいので、合間を縫って短時間でも練習しようと思います」
2回目の模擬レースでは高岡さんらを抑え、最後のスプリントを制した越川翔輝さん。約15年前のアルミフレームに、105のコンパクトクランクと最先端のレース機材じゃなくても力強い走りを見せていた。「Roppongi Expressのメンバーは35~40~45km/hと徐々にペースアップし、逃げを追うのも一定のペースで走りやすかった。後ろで限界になってもメンバーのみなさんが前をひいてくれたおかげで、最後はスプリントできました。セミナーでもコーナーでの脚の使い方など、レースに使える練習ができて、参加してよかったです」
普段はエンデューロや、夏はヒルクライムに参加しているという宮田啓太郎さん。「模擬レースはもっとゆっくり走るのかと思ったら、結構ガチでいい方向に裏切られました(笑)。Roppongi Expressのローテーションや、集団の後ろで脚を温存するというレース展開が実際に学べました。スラロームは初めてやったけど、こんなにテクニックがないのかと気づけて、重心の意識の仕方など参考になりました。今度ここ下総でJCRCのレースがあるので、非常に役に立ちます」
Roppongi Express HP → http://roppongi.express/
(文・写真/光石達哉)
著者プロフィール
光石 達哉みついし たつや
スポーツライターとしてモータースポーツ、プロ野球、自転車などを取材してきた。ロードバイク歴は約9年。たまにヒルクライムも走るけど、実力は並以下。最近は、いくら走っても体重が減らないのが悩み。佐賀県出身のミッドフォー(40代半ば)。