2017年11月30日
【みんなのタイムトライアルジャパン 1St Stage】インサイドレポート
タイムトライアルジャパンが復活し、「みんなのタイムトライアルジャパン」として戻ってきました。「みんなの」という連体修飾語がつきました、サイクリストなら誰でも参加しやすく、という意味が込められているらしいです。とはいえ、単独走はつらいですね。ですが考え方を変えてみるとどうでしょう。そう、タイムトライアルは平地のヒルクライムみたいなもんです。ヒルクライムと思えば、ま…まあやってみようかなと前向きに考えられたりしませんか?
タイムトライアルというとタイムはもちろん重要だけど、作戦も大事です。機材に物を言わせてタイムを短縮するのもアリ。ライディングポジションも重要ですね。またコースによっても得手不得手が露骨に現れます。そんなわけでシンプルだけど、煮詰めていくと、とても奥が深い競技です。乱暴にいうなら一番最初にゴールしちゃえば苦しむ時間が短くて済むという話です。
ということで、インサイドレポートをお届けします。
運営側ということで、レースにはオープン参加。実際のところ新シリーズで初開催ではありますが、モチベーションは中くらい。設営の準備をしながら、企画の商品撮影やコースの撮影をしたりしているとすぐに時間が経ってしまいます。
運営は質素ながらテキパキと。手の行き届かないところや粗相もあったと思いますが、忌憚なき意見をぜひ運営本部までお伝えください。ブラッシュアップして皆さんをお出迎えいたしますので。
応募者は90名ほどと、想定よりもやや少なめ。大きな大会が重複していたり、翌日に控えていたりとなかなか集客には苦戦しました。同日開催のアレやコレへリピートしているのかなと想像しますが、そのうちみんなのTTJにもリピーターサイクリストで溢れるはずだ! と希望をもっております。
無駄なくコンパクトな会場設営で。軽快なトークと明朗なタイム情報でレースを盛り上げてくれた、MC・岡田拓海さん。次戦(1月27日)もGood Voiceが会場の雰囲気を明るくしてくれるでしょう。
さて、筆者はというと、9kmのクラシックの部へOPENにてエントリー。出走は12:34と、ちょうど暖かい時間帯でした。当日はとても良く晴れて、微風で気持ちのよいTT日和でした。コースは周回が1.5kmと短いため、コース滞留人数を絞って展開。周回違いの選手と交錯も少なく走りやすかったと思います。こういったコースの好環境は維持していきたいところですね。
およそ9kmのタイムトライアルで、1周の高低差は15m。15mといったら大したことないですが、勾配もそこそこ、回数を重ねるとけっこう脚にキます。さらにゴール前という設定もなかなか。コースも下りコーナーありのテクニカルなレイアウトですが、なんとかDHバーから手を離さずに走りきることができるだろう……、いやいや、やりきると試走時に誓いを立てます。コース試走はそこそこに、心拍をあげる本格的なウォームアップはシクロクロス車で。対極の自転車で、乗り味がまったく異なります(笑)。
下り基調のカーブは直線的なラインで。最後のコーナーを抜けるときアウト・イン・アウトのラインどりに。インを攻めるとコーナーがきつくなり、脚を止めざるをえなくなってしまいます
気候はよく寒くはないですが時間いっぱいまでアップを行います。レース距離が短いのでコースを走っているよりもずっと長くアップに時間を費やすことになりますが、およそ1時間ほどクロス車で巡航。ときどき脚を高回転に慣れさせるようにクルクルと。そんなこんなで出走10分前。出走するバイクに乗り換えて上りを反復していると、出走3分前に。
いよいよスタート。緊張はしていませんが、SHIMANOのスポーツカメラCM-2000のスイッチを入れ忘れるという失態を犯す。ステムにやることリストを書いておこう。とはいえハンドル周りにはデバイスだらけで、少し空気抵抗増だったかもしれません。おかげでデータが取れたと思います。ちなみにバイクのLOOK 795エアロライトにDHバーをつけた即席TTバイク。普段使っているTTバイクよりもポジションがアップライトなのですが、かえって足を上げやすくタイムがよかったような気が……。なにしろコンディションを整えているわけではないのに、いいタイムでしたから、ほかに要因を見つけられません。タイムトライアルバイクで最適なポジションを出せるのが理想ではありますが、ロードでもポジションさえだせれば、今回のような低い速度域ならなんとかなってしまうもの。チームTTや追い風などで巡航で48km/h以上とか、下りでハイスピードになったとき、DHバーを握って走る場合の安定性=ジオメトリーの恩恵はやっぱりタイムトライアル専用バイクにつきます。そのあたりの理解が必要かもしれませんね。
さて、走る前は、今回は高ケイデンスで行こうとテーマをもって。コーナーは直線的に。ラスト500mの野球場の大きくカーブするあたりはオーバースピードに注意。コースアウトしないように。上りもシッティングでクルクルと。短いので一気にダンシングで行きたいところですが、ここで大きく消耗すると考えました。考えるのは、ラップタイムとラップ出力。そしてアベレージスピード。これらを周回ごとにチェックしながら、ライバルとの差を計るというのが前提ですが、それ以上に全力を尽くすというのが一番ですね。1%くらい余裕があれば、首位との差なんていうのも考えますが、正直そんな余裕はありません(笑)。ひとまず普段だせる出力よりほんの上をキープするようなイメージで。今回はうまくいきました。2周目に2分を切っていますか、ペース配分はいささか問題かも……。次回までに修正するゾ(といった楽しみもあります)。
上位入賞者のラップの推移。上下動の激しい赤いグラフが筆者で、安定している青のグラフが優勝したウッド・アンディさん。2周目に上げたつもりはないのですがタイムが落ちるくらいなら、やや抑えるつもりでいかないとダメですね。
リザルトはこちらから
全体の2位という結果に、手応えとやや残念な気持ちが交錯します。しかし、優勝したアンディさんは強かった! ブログを読むと用意周到(楽しそうだし)で、頭が下がります。TT盟友の山倉さんとも再戦を誓います。データを解析してみるとラップごとの変動が大きくて、まだまだ改善する余地がありそう=タイム更新の余地あり、ということで希望的観測をしつつ次回への準備とモチベーションもあがるのでした。
というわけで年明け1月27日第2戦、下総フレンドリーパークでお待ちしております!!
写真:光石達哉(走り)、山本健一
文:山本健一
関連URL:http://www.timetrial.jp/
申し込みサイト:https://moshicom.com/12084/
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得