2016年01月27日
バラ♥サイ VOL.2(中編)今井美穂さん
とにかく楽しく! 練習はしない! レースは狙わない!?
みぽりん:練習として、週のうちに決めて乗る時間を割いたり練習メニューを考えたり、ってことはまったくしていないです。シーズンに入ると毎週末レースになるので、レース=練習って感じですね。レースにしても、クラブ自体がなにかに縛られているわけでもないので、いつもみんなでワイワイ楽しく乗っているだけ。たぶん、今は競技じゃないから楽しいんだとおもう。陸上は競技でやっていたから苦しさもあるし、結果を出さなきゃいけないし。でも今は、結果なんてあとからついてくるものだと思えるようになった。
ちゅなどん:その違いは大きいよね。背負って狙って行く結果、と、あとからついてくる結果。
みぽりん:よし、勝つぞ!と狙って臨んだレースは負けるし……、よし、楽しもう! と走ったレースは勝つ……。チームのみんなにも言われたんです。結果としてはぜんぜんダメだった全日本選手権のときも「そんなにピリピリしやがって」って。前週の野辺山でのレースで調子が良かったから、自分でもこれはチャンスがあるかもしれない、と気負っていたんですね。勝ちに行って、ダメでした。あのときは、知らない人にも「がんばってください!いけますよ!」なんて声かけられて。
ちゅなどん:毎週末レースがあって、毎週表彰台に乗って、名前と顔がメディアに載っていたら、多くの人がみぽりんのことを知るだろうし、応援してくれる人もたくさん、中には声をかけてくる人もいるでしょうね。
みぽりん:きっと諸々そういうことも含めて、負けたんだなぁ。勝負にはこだわりつつ、楽しく走る! を大事にしたいですね。
ちゅなどん:シクロクロスのレースはどういうところが楽しいですか?
みぽりん:レースをやっている40分間は純粋に“競技”になるわけで、その間は自分自身の闘いのスイッチが入るところ。そして、コースに対して“このセクションがうまくいった”などの攻略の楽しみがある。あとぜんぜん違うかもしれないのだけど、“人”ですね。走っていると、コース中ずっと応援の声が聞こえてくる。あのハッピーな雰囲気や、みんながワーっと盛り上がっている中で走れることが楽しくて。そして現在、順位を争える位置にいることももちろん楽しさに繋がっています。自分の人生からこれがもし無くなっちゃったら、わたし一体どうなっちゃうんだろう……って思うくらい楽しんでます。
“今井美穂”としての日常は
ちゅなどん:アスリートしての食事管理について聞きたいのですが。気を遣っている点はありますか?
みぽりん:気にしてないです(きっぱり!)。食べたいものを食べたいだけ食べています。
ちゅなどん:あんまり節制しているイメージがないみぽりんですね。とっても健康的! 普段のお仕事が体育の先生だからね。活動量が普通にお仕事してる人とは段違いだよね。
みぽりん:休み時間に生徒たちと鬼ごっこ、サッカー、ドッジボール……と、1日の中でそこがいちばん重要! こどもと一緒なんです。いま、学校では小学校4年生を受け持っていて、子供たちは全力で向かってくるんですが、私もさらに上をいく全力で受け止めて。負けませんよ! シクロクロスのレースの翌日、学校で子供たちと鬼ごっこして、レースでは転ばなかったのに、鬼ごっこで派手に転んじゃったりとか。そんなことがしょっちゅうです。
ちゅなどん:仕事との両立についての苦労は?
みぽりん:ないです。週末のために5日間がんばるのがモチベーションかな。
ちゅなどん:さすが。1週間を7日でちゃんと生きてる正しい回答に返す言葉がありません。(ちゅなどんは同行の編集部ヤマケンともに、1週間を正しく7日で生きていないことをここで露呈します)
自転車しか趣味がないのが悩み??
ちゅなどん:ちょうど年も明けたばかりですし、2016年の抱負を聞かせてもらいましょう。
みぽりん:私……、自転車以外の趣味がないので、自転車以外の趣味を見つけたいですね。何をしようかなぁ。何か作る。あ! 帽子とか!?
ちゅなどん:帽子なら作り方教えるで(笑)。
※編集部 注:ちゅなどんはサイクルキャップのハンドメイドしているのです。https://chunadon.stores.jp/
みぽりん:でも私、本当に……なにをやってるんだろ。自宅に帰って、ごはん作って、お風呂入って、寝てる。それだけ。
ちゅなどん:え?(ここで6時半に帰宅してから11時に寝るまでの時間割を聞き出すことに成功)
みぽりん:そうだ! お風呂は長いんです。2時間も。
ちゅなどん:私も長風呂派! わかった! みぽりんの趣味はお風呂だ!
思わぬ共通点、携帯をお風呂に持ち込むノウハウなどでひとしきり盛り上がるふたりであった。
-閑話休題-
ちゅなどん:みぽりんは自転車以外に趣味がない、ということですが、「自・転・車」と漢字三文字の単語ひとつに表される中に、いろんな要素を詰め込んでいるよね。いわゆるレースの人はレースと練習ばっかり、って方も多いだろうし、サイクリングを楽しむ方はレースはやらないって人も多い。みぽりんはそこをどちらも楽しんで、しかもクラブライドに至っては、ライドのアレンジやアテンドまで。そこには人との出会いや繋がりの広がりが常にあるだろうし、ひとつの趣味しかない、というには、はばかられるほど多様な要素が含まれているのではないかと思いますよ。
みぽりん:おおー! そういうことにしておきましょう!
(後編へ続く)
(写真:編集部)
著者プロフィール
ちゅなどんちゅなどん
自転車好きが高じて一時期飽きるほど自転車に乗り、とうとう自転車に"乗る理由"がなくなってハンドメイドサイクルキャップを制作販売、自走納品する『自作自演型サイクリスト』 その傍ら、あるときはサイクリングイベント会社で、あるときは自ら企画するイベントでアテンドライドしています。持ち味はよく通る声と年の功からにじみ出る安定感。 ハマっ子歴19年。関西弁ネイティブ。