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2019年01月22日

【Mt.富士ヒルクライムにむけて】レース編/トレーニングの積み重ね方

プロ選手は年間50〜100レースに出場する。そのため日頃から自身の競技レベルを上げながら、コンディション管理にも気を配る。そして、あらかじめ年に1〜2戦ほど目標とするレースを決めておき、そこに合わせてコンディションをピーク(最高の状態)にもっていく。この調整方法をピーキングと呼ぶ。
「コンディションがピークに入ると、身体が軽く動く&レスポンスが素早いので、持てる力を最大限発揮できるようになります。追い込んで心拍数が上がったときも苦しさをあまり感じず、苦しさを感じたとしても身体はしっかりと動くので、羽根が生えたように走れるとたとえる人もいます」。
今、ヒルクライムイベントは毎週全国各地で開催されている。ピーキングは時間をかける必要があるので、直近のレースでは無理かもしれないが、折を見て取り組んでみてはどうだろう。
「準備期間が長くなると気持ちが緩みやすいので、レースの3カ月前を目安に始めてみましょう。まず、1週間のうち3回は自転車に乗ってベースアップを図りながら、少しずつ強度の高いメニューもこなしていきます。強度の高いメニューは最初のころは5分程度でよく、慣れてきたら本数を増やすか、10分、20分と時間を伸ばします。これを2カ月間続けていきます」強度の高いメニューを取り入れると練習に波ができて身体に刺激が入る。そうするとコンディションが上向きになっていくそう。
「3カ月目は週ごとに過ごし方が変わります。1週間目はさらにハードなメニューを行って、2週間目は休養します。溜まっていた疲労を回復させましょう。そして、3週間目に練習を再開すると、これまで積み重ねてきたメニューによって走りがレベルアップ&身体はフレッシュな状態ですので、コンディションはピークを迎えます。あとはレースを待つだけです」ここで大切なのはレース前に一度疲労を抜くことだ。
ピーキングはトレーニングしつつ休養も入れる、そのバランスがポイント。自転車に乗り始めたころは、乗れば乗るほど身体が出来上がってトントン拍子に力がついていく。しかし、いつの日かただ乗っているだけでは頭打ちを迎える。そういった意味でも強度の高いメニューを取り入れるのはプラスになる。

 

ポイント1/練習日は週3日は確保したい

コンディションを上げるには継続的な運動を続けること。短い時間でもいいので乗る日をなるべく増やしたい。
目安は週3日(理想は週5日)。土日が休みの人なら、平日の2日に30分~45分の実走もしくはローラー台。週末に2~4時間程度の長距離走を取り入れる。長距離走の翌日は疲れを抜くために休養にあてる。

トレーニングはインドアトレーナーやローラー台でもOK。ヒルクライムレースが目標なら、前輪を持ち上げて疑似的に勾配をつけた状態で行う。

ポイント2/運動強度を高めるメニューの取り入れ方

練習中に強度を上げた5分走を取り入れる。強度は「このペースなら、がんばれば5分間維持できる」ぐらいが目安。慣れてきたら、この5分走を2本、3本と増やしていく。練習時間を長めに取れる日は10分走を1~2本。欲を言えば20分走にもトライしたい。上りのときに脚にジワジワと効いてくる疲れに対する耐性が上がる。

 

ポイント3/3週間前から最後の調整を

1カ月前はハードなメニューで追い込みを。1分間の全力走&5分間休憩のインターバルを3~5本行う。「この練習をしたとき、再び5分走もやってみてください。5分走が楽に感じるなら運動能力が上がっている証拠です」。3週間前は休養の週としてリカバリー走程度の練習で疲労回復に専念。2週間前から疲れをためない程度に5分走、10分走、20分走を行って軽く刺激を入れていく。

レース当日の朝の流れ
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ホビーレースの朝は早い。起床はスタートの4時間前。レース当日の食事は消化を考えて3時間前に済ませるのがセオリーだが、早朝のレースにあわせるとかなりの早い時間に起床しなければならなくなるので、あくまでも目安にしよう。また朝食を食べられない人は、レースの準備を進めながら少しずつ食べていくのがよい。
荷物を預けるときは念のためジャージのポケットにエネルギージェルを忍ばせておくのも手だ。空腹を感じたらジェルでスタートまでつなぐ。


 

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【アドバイザー】藤野 智一さん◆なるしまフレンド神宮店 店長
元プロロードレーサーの藤野さんは全日本ロードレース選手権2連覇、バルセロナオリンピック個人ロード21位など輝かしい成績を誇る。現在は老舗プロショップの、なるしまフレンド神宮店の店長を務めている。
なるしまフレンド HP:http://www.nalsimafrend.jp/
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3−35−2

TEL.03-3405-9614

 

写真:小野口健太
文:タナカダン、編集部

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