2020年03月12日
【IRC TIRE】ロード用チューブレスタイヤが第5世代へ。そのテーマとは
流行のチューブレスレディモデルも誕生
IRCタイヤがチューブレスタイヤの5世代目となるフォーミューラプロシリーズを発表した。
チューブレスタイヤは耐パンク性能が高く、もしパンクしてもバーストする可能性が極めて低い。峠の下りなどでパンクしても安全に止まることができるという絶対的な優位性がある。また、転がり抵抗がチューブラータイヤやクリンチャータイヤよりも、小さいのも魅力のひとつだ。
しかし、チューブレス対応のホイールが必要となるため、2008年にIRCタイヤがファーストモデルを発売して以降も普及に時間がかかった。一時はブームで終わってしまいそうな雰囲気もあったが、ディスクブレーキやタイヤ幅のワイド化といった流れとともに、現在は完成車メーカーの多くもチューブレスタイヤ対応ホイールが標準仕様になりつつあり、インナーチューブを用いないタイヤシステムはシェアを確実に伸ばしつつある。
新しくなったフォーミュラプロシリーズのラインナップはチューブレス、チューブレスレディのS-LIGHT、耐パンク性能を強化したX-GUARDの3種類。
ラインナップ
FORMULA PRO TUBELESS RBCC
サイズx幅(重量):700×25c(270g)、700×28c(315g)、700×30c(330g)FORMULA PRO TUBELESS READY S-LIGHT
サイズx幅(重量):700×23c(205g)、700×25c(220g)700×28c(250g)、700×30c(275g)FORMULA PRO TUBELESS X-GUARD
サイズx幅(重量):700×25c(300g)、700×28c(345g)、700×30c(370g)参考価格はいずれも¥7,600(税抜)となる。
4つの進化を遂げた第五世代
進化1.チューブレスレディの登場
4つの進化を遂げているというが、なかでも注目を集めるのはチューブレスレディの登場だろう。チューブレスタイヤは空気が抜けないように、タイヤの内面にチューブの代わりとなるゴムの層(インナーライナー)がある。一方でチューブレスレディにはインナーライナーが無いのが一般的で空気の保持性やタイヤの個体差によるバラつきがあるが、新型フォーミュラプロのチューブレスレディ S-LIGHTはタイヤ内面にナイロンメッシュを配置することで、空気の字保持性を向上させ、個体差によるバラつき問題を解消している。
進化2.新コンパウンド採用
2つの進化は新しくなったRBCC2コンパウンドだ。この新型コンパウンドの採用により性能が一気に向上している。
▷転がり抵抗 5%向上
▷耐磨耗性 280%向上
▷グリップ 15%向上
▷耐候性 230%向上
とりわけ、3倍近い性能アップを果たした耐摩耗性が目を引く。チューブレスの25Cで比較した場合、従来よりも50gも軽量化されているが、これは耐摩耗性の向上によってトレッド部を薄くした恩恵といえるだろう。
進化3.トレッドパターンの改良
そして、新型トレッドパターンの採用も進化の1つ。これはNIPPO VINI FANTINIからのフィードバックをもとに開発した4世代目の杉目パターンをさらに進化させたもので、最適化された杉目に加え、中央に縦溝のラインを追加した。回転方向に溝を切ることでタイヤの走行面を積極的に変形させ、しなやかに路面を捉えると同時に、空気圧を高めにセッティングしても乗り心地やハンドリングの乱れが少なく、空気圧設定の自由度が増し、転がり抵抗も軽減しているという。
進化4.ビードを改良し、組み付けやすさがアップ
IRCタイヤのアドバンテージはビードの精度の高さ。これにより軽量化はもとより組み付けやすさも評判が高い。
最後はビードの進化と最適化だ。これによって寸法精度が向上し、設計の中心値が見直され、組み付け作業がしやすくなった。さらにビード周りを補強し、強度と気密性がさらに向上しているという。
以上が新型フォーミューラプロシリーズの概要だ。ホイールに装着した感じでは、組み付け性能と精度が向上しているのが感じられる。試乗インプレと開発者インタビューについても、今後、掲載する予定だ。
関連URL:http://www.irc-tire.com/
写真:山本健一
著者プロフィール
菊地 武洋きくち たけひろ
自転車ジャーナリスト。80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。