2024年06月11日
篠さんの日本縦断ギネス世界記録挑戦記 <本編・0日目〜3日目>
どうも、篠です。
先日日本縦断ギネス世界記録に挑戦して、無事完走しました。
5月21日7:00に佐多岬から出発し、5月27日11:48に宗谷岬に到着。
記録は148時間48分(6日4時間48分)※睡眠休憩込みのグロス計測
総距離2536km、獲得標高15641m
現在WUCAにギネス世界記録申請中で、無事認定されれば女子記録更新になります。
長かったようで体感では一瞬だった濃厚な一週間。
今回の記事では走行記録とともにチャレンジ本番を振り返ります。
INDEX
0日目+1日目/鹿児島県佐多岬~北九州市門司港
2日目/北九州市門司港~岡山県備前市
3日目/岡山県備前市~石川県白山市
0日目 現地入りまで
たまたま移動日が東京九州フェリーの運休日だったため、今回の現地入りは自宅からサポートカーのハイエースで佐多岬まで1500km大移動。
19日の昼過ぎから移動開始して佐多岬の民宿に到着したのは20日の18時過ぎ。
九州区間のサポートメンバー牧瀬さん、百家さん、全行程帯同するカメラマンNobさんとは宿泊先で合流します。
そこでサポートカーとキャンピングハイエースの荷物の詰め替えたり、スポンサーロゴやレギュレーション規定の低速車マークを車につける作業を行い、シャワーを浴びて夕飯を摂り、なんだかんだで就寝が22時に。
今回一番悔やまれるのは、九州最南端の佐多岬は関東よりずっと気温も湿度も高く、蚊の動きが活発なのを失念していたことです。
荷物詰め替えている間に20箇所ほど刺され、寝てる間も部屋に入り込んだ蚊に魘され、大事なチャレンジ前夜に途切れ途切れの4時間ほどしか眠れていません(苦笑)。
5時半起床、宿で朝食を取り6時半に車で佐多岬へ移動。「蚊で寝不足」というアクシデントを除けばすべて予定どおり。
今回の日本縦断ギネス世界記録チャレンジは、自分にとっては「チャレンジ」でありつつ、「いつも通り」でないと。
初日の九州区間を除き、全行程毎日5時~6時起床、24時前後就寝のルーティンでスケジュールを組んでいるのはそのためです。
関門海峡を渡るまではガンガン行こう
「佐多岬」の看板が取り付けられている大樹前でデジタル時計と一緒に写真を撮って、7:01スタート(朝早くから見送りに来てくださった皆さん、ありがとうございました!)。
今回引いたルートは全行程2543km(GPSログでは2536kmで完走)
・現女子記録保持者の遠藤杏奈さんの記録180時間18分(338km/日)
・元男子記録保持者の高岡亮寛さんの記録157時間28分(387km/日)
・現男子記録保持者の落合祐介さんの記録136時間30分(445km/日)
・2022年に男子記録に挑んだ桑野雅利さんの記録155時間11分(393km/日)
以上を参考に、現時点自分が遂行できるであろうペースから割り出した今回の目標タイムは151時間31分(402km/日)。
※今回は高岡さん承認の元、ハムスタースピンの福田さんから過去の貴重なデータを参考にさせて頂いたおかげで、分単位で進行のシミュレーションができました。
毎日平均402kmの予定とはいえ、均等に振り分ける必要はないので、補給や休憩場所の確保、体力マネージメントやメンタル面を考慮して、ルートを日ごとに区切りました。
1日目 鹿児島県佐多岬~北九州市門司港
サポートメンバー:牧瀬、百家、しょっとこ
走行距離/436km
獲得標高/3765m
グロス平均速度/23.5km/h
経過時間/18時間33分
走行時間/16時間34分
活動時間/7:00~25:33
睡眠休憩/4時間27分
1日目の着用ウェア
【天候】 晴れ/気温 17~32℃/湿度 77%
【ASSOS】
UMA GT DRYLITE LS JERSEY
UMA GTV BIB SHORTS C2 EVO
SEEME VEST P1
SUMMER NS SKINLAYER P1
RS GLOVES TARGA
RS SUPERLEGER SOCKS S11
JINGO RS HELMET
152時間切り完走を目指していくには、初日に関門海峡を渡るのが必須条件です。門司から下関に渡る関門トンネル人道の通行可能時間は6:00~22:00。
22時までに渡る予定で行くと、何かしらのトラブルで間に合わなかった場合は朝6時まで待機する羽目になるのと、佐多岬の出発が深夜0時頃になってしまう。
6時の早朝オープンに合わせて行くなら、早めに着きすぎても待つ時間が勿体ないので、ちょうどいい時間を狙っていくのがミソです。
あくまで『いつもどおりのロングライド感覚』で行きたいので、関門トンネル人道を朝6時に渡ると決めて、そこからスタート時間を逆算して、今回のチャレンジは佐多岬朝7時発になりました。
初日の九州区間の行程がもっとも距離が長く、要求Ave.(平均スピード)も一番高いです。
「ロングライドは序盤抑えめで後半に体力残した方がいい」とよく言われますが、一週間も続くウルトラロングライドで、毎日400kmもこなし続けるとなると、話は変わってくると自分は思います。
どんなに抑えて走っても、400km分の疲労は翌日に引き継がれていくので、初日に過度に抑えたところで期待した効果が生まれない可能性があります。
したがって、一番元気な初日は無理し過ぎない程度に『ガンガン行こう』が正解かな(持論)。
初日の前半はORBEA ORCAを使用。※バイクは2台体制。機材編を参照
鹿児島県の南側は信号も交通量も少なく、ほぼエアロバーを持って巡航できて、かなり快適に走行できました。
海沿いの道を走ってて、桜島がドンっと目の前に現れた時は思わず『うひょおおお』と声が漏れてしまいました。
『ここから長い旅が始まるんだっ!』と。
今回走行するルートはすべて初見なので、観たことない景色を観に行く楽しみも大きな原動力です。
100km~200km区間は一旦、市街地を通過して小さなアップダウンの繰り返し。
正午の時間帯を回り早朝スタートしたときは17℃前後だった気温もいつの間にか31℃を超え、九州らしい蒸し暑さも相まっています。
頭に熱が籠っている気がしたので、少しだけペースを弛めて調整。2回目の小停止を行うコンビニまでは2回ボトルを補充しました。
200km以降は気分転換も兼ねて、LAPIERRE XELIUSに乗り換え。
17時の通勤時間帯に市街地抜けた際は多少交通量は増えたものの、300kmまではのどかな田舎道が続きます。
道中で熊本の木村くんとスライドしたり、道端の畑に立派な角が生えた鹿を目撃したり、沿道の応援の方が増えたりと……情報量の多い区間でした。
306km地点のコンビニで日没を迎えて、初めての夜が訪れます。
初めてのサポートカー&ダイレクトフォロー
日本縦断ギネス世界記録チャレンジの新ルールが適応されてから、全行程サポートカーはライダーを目視できる範囲で後方を追従しないといけない決まりがあります。
※サポートは周りの交通に最大限に配慮した上で行います。道路が混雑している際は先回りしてライダーに合流するリープフロッグ形式を採用。
さらに、日没後はライダーが街灯のない道路を走行する際、サポートカーは車輌のライトでライダーの前方を照らし続けるダイレクトフォローが必須です。
暗い田舎道では、サポートカーのおかげで前方が見やすくなるのはとても有り難かったですが、サポートカーだと頭で理解していても、丸一日自分の真後ろから車のエンジン音が聴こえ続けることが未体験で、想像以上に大きなストレスになっていました。
300km~400km区間は風向きが変わり、強い向かい風と市街地区間のダブルパンチでペースが落ちますが、焦らずにマイペースで進み続けます。
実は朝から当初の予定より1時間20~30分の貯金がある状態で進んでいるため、心の余裕はあります。
予想外のことといえば、門司までのラスト20kmが深夜の時間帯にも関わらず東京都内並に信号が多かったぐらいですかね(笑)。
結局初日は25時32分に終了。
予定より1時間22分早い到着になりました。
早めに終わったぶん、休憩に回すことにして、この日は時間短縮のためシャワーはなしでタオルで軽く体を拭くだけ。
キャンピングハイエースの中で午前5時40分まで睡眠を取りました。
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。