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2024年06月19日

別府匠さんの富士ヒルインサイド レポート その1

 こんにちは。別府匠です。

今回は第20回Mt.富士ヒルクライムに参加した時の話です。過去に3回招待選手として(2004、2005、2007)、1回は選手の帯同で(2022)、そして1回はメディアとして(2023)富士ヒルクライムに参加しました。そして第20回大会は、大会レポーターとして運営側のスタッフとして参加することになりました。大会本戦の裏側で、いったいどんなことをしていたかをお伝えします。

パレードライド with 仮装大賞「ウェルカムなパレード!」

大会前日に、第20回大会を記念して富士吉田市役所から富士北麓公園まで6.2kmを走るパレードライドwith仮装大賞が行われました。もともとはパレードだけを行うつもりだったのですが、どうせなら仮装をしたらどうか? ということで仮装大賞も同時に行うことになったそうです。

事前にコースを調べていたら市役所から北麓公園までの6.2kmの道のりは、最初の500mこそ平坦ですが、あとは平均勾配4%くらいで上り続ける思いのほか厳しいコースだったので、下りながら「仮装をしながら上るのはちょっと厳しいのでは?」と心配になりました。スタート前に下見を兼ねて北麓公園からコースを逆走して市役所に向かっていきました。

道中で富士山にかかっている雲が晴れて富士山の頭が見えてきたので、パレード中にも金鳥居から見えるくらいになっていたら最高の景色だなと思いながらスタート地点へ。会場に着くとすでに仮装してスタンバっている人たちや仮装なしでもパレードライドを楽しみにしている人たち、中には参加を楽しんでいる台湾人のグループもあって、会場は大変賑わっていました。

自分もすぐに会場の様子を配信し始めました。が、最初の最初の配信だったので若干ドギマギしてしまい、探り探りの配信になってしまいました。ですが周りの状況を説明したり、皆さんのお話を聞いているうちに落ち着いてきて、なんとなくですが感触を掴んできました。

ちなみにパレードライドのスタート地点はとても広く男女の更衣室も準備されていて、地元の人たちの歓迎もあったりと、派手さはありませんでしたが非常に雰囲気のよい会場でした。ただ残念なことは富士山が見えなかったこと、そして皆さんのお話を聞いた最初の動画を残さずに削除してしまったことです。特に、動画の保存についてはライブ配信ということにこだわりすぎてしまい、アーカイブを残すということを意識していなかったことからの勘違いでした。そのおかげもあってか、2日目はだいぶ慣れて配信できたと思います。大きな代償を支払うことになりました……。

富士吉田市役所からスタート

そして、自分はライブ配信と同時に仮装大賞の審査員長も務めさせていただきました。皆さんとても個性的で凝った仮装をしていて正直新鮮な驚きと尊敬の念で一杯で、本当は皆さん全員に賞をあげたいくらいでした。

ですが、最終選考がだいぶ独断と偏見になってしまい大変申し訳ありませんでした。次回に向けて仮装とはなんたるかをもっと勉強して、より公平なジャッジができたらと思います。

そしてスタート時間になり、富士吉田市長の元気な挨拶を聞いて、みんなでオフィシャルな集合写真を撮影して、富士北麓公園に向けてスタートしました。
パレード中は反対車線の車は止められています。よくレースでもそういう場面が遭遇して、中には迷惑に思っている人もいるんですが、ここでは嫌そうな顔をする人はおらず、みんなパレードに向けて手を振ってくれていました。それに沿道にもたくさんの地元の人たちから観光で訪れている人が、パレードを見送ってくれました。

吹奏楽の演奏もあり、変な話ですが、なかなかここまでウェルカムなパレードは走ったことがありません。参加者の方々もとても楽しんでいて、なんというか言葉では表せない、こんなパレードだったら毎年やった方がいいのではと思うくらいの一体感がありました。

心配していたコースについては、通常仮装だと暑かったり動きにくかったりするのですが、走るようにちゃんとカスタマイズされており、それにみんなで一緒に走る楽しさがそれを上回っていたので心配には及びませんでした。やはり同じ意思を持ったエンゲージメントの高い集まりって雰囲気いいですよね!

パレードライドの様子(写真をクリックするとinstagramのリール動画が開きます)

パレード中は残念ながら富士山は顔を出してくれませんでした。たくさんの富士山モチーフの仮装が向かってくるので、ちょっと恥ずかしくなってしまったのかな。そんなこんなで、あっという間に北麓公園に到着する素晴らしいパレードライドになりました。そして到着後はみんなでステージ前に集合して再び記念撮影。EXPO会場に来ていた多くの参加者の方々にも見てもらえて、とても楽しい貴重なひとときになりました。また参加したいですかと言われたら、今度はぜひ仮装して参加したいです!

メインステージで仮装大賞にノミネートされた皆さんと

大会当日「人・人・人!」

大会当日は、雨予報で北麓公園周辺は濃い霧がかかっていました。ちょうど自分が初めて参加した2004年に行われた第1回大会もそんな感じの天気だったことを覚えています。しかし山頂からのレポートによると山頂は晴れているという情報。山の天気は本当にわかりません……。6時から配信を始めるため会場に入ると人・人・人!

参加人数約8300人は本当にすごい。おそらくこの時点の自転車人口密度は富士北麓公園が世界一だったといっても過言ではないくらいの人がスタート地点に待機していました。大会は6時30分に主催者選抜男子・女子の順でスタートして、その後第1スタートから第7スタートまで9時10分まで2時間50分かけて全員がスタートしていきます。ということは9時10分までこんな感じで人の流れが途切れない状態が続くということ。まさに圧巻のスタート地点でした。

自分は第3スタートの最後でスタートして、途中ところどころで止まってライブ配信をする予定でスタートしました。

そのところどころの様子はインスタグラムの@funridejpアカウントで見ることができます。

スタートして北麓公園から料金所に向かっていると、とてもゆっくり走っている人たちがたくさん。あれ?トラブル?と思いましたが、どう見ても誰かを待っているような……。今まではスタートするグループを参加者で選んでスタートできていたのですが、今年からは混雑や偏りを避けるためにスタートするグループが固定されたことで、チームメイトやトレインの仲間たちと離れてしまった人たちが合流するためにゆっくり走っていたようでした。これだけ人数がいるとスタートに関することも色々難しいですね。

そして胎内洞窟入り口の交差点を左折して、いざ富士スバルラインへ。曲がって300mほどでタイム計測地点へ。その昔はここから全開TT走だったなぁと思い出しながら通過。試走会やEXPOのステージイベントでも何度も説明しましたが、ここの勾配が地味にキツい。でもまだ元気なので頑張ってしまう魔のスポット。自分も例外ではないのであまり無理をしないように料金所まで行きました。そしてそこで一度止まってライブ配信。自転車レースで料金所のゲートを通過するレースはアジアには結構あって、高速道路をレースで使う中国や韓国、台湾のレースでも通過することがありますが、普通のイベントでそんなレアな経験をできるのも富士ヒルならでは。ここでしばらく配信したのち次は一合目下駐車場に向かいました。

走っていると後ろから勢いのあるトレインがたくさんやってきます。見た目にもそこまで速く感じなかったので、自分にもついていけそうでこれはチャンスと思い、一度トレインに乗っからせていただきました。しかしここで思ってもみないことが。トレインについたはいいのですが、あまりドラフティングが得意でない人が多いようで、勾配が変化するときに前走者と間があいてしまい、それを埋めるたびに加速をするので、後ろの方にいるとエシュロンの後ろにいる時のようにどんどんとスピードが上がる激しいインターバルが発生。そして前にいる人たちは一定のパワーウェイトレシオをキープするために、勾配が緩くなるところで一気に数値を戻すので、加速がキツくなり前走者との間が空いて……(繰り返し)で、あっという間に体力を削られてトレインから離脱してしまいました。

限界まで追い込む前に離脱したので、そこからは余裕を持ってマイペースで一合目下駐車場を目指しました。料金所から一合目下駐車場までは約3kmほどですが、そんなことがありかなり長く感じました。一度苦しくなるととても長く感じるので、やはりほどほどでこなすのが良いのです。

ここから富士スバルラインが始まる

一合目下駐車場に着くと、アーム・レッグ・ネックウォーマーを外しました。スタートからそんなに追い込む予定ではなかったのでつけていましたが、先ほどのトレインでのインターバルで完全にオーバーヒート気味になってしまいました。そして話せるくらいに息を整えてから配信を開始。

ここでは地元の方々が応援してくれていて、序盤の急勾配で苦しんだ選手の皆さんを励ましてくれていました。ここから先はまだ20km以上あると思うと先が思いやられました。ここに来るまでは道にいっぱい選手たちが走っている状態でしたが、ここまでの急勾配で実力差がでてばらけたので、ここからはトレインと個人の区別がつくくらいペースの差が分かれてきていました。

ただ海外から参加している人は右側通行の国から来た人もいて、あまり左側に寄れずにセンターライン側をキープしている人も見受けられたので、そういう人たちに向けてスタート前に右を開けて走ることを啓発するのも大事ですね。

四合目では太陽が

そして次は四合目の大沢駐車場まで行って配信をしようとマイペースで上っていました。するとスタートから10km地点の手前でそれまで霧に包まれていたのに突然日差しが現れて路面が乾いている。太陽だ!嬉しくなってその状況を配信をすることにしました。しかしモバイルの電波が弱かったので、少しづつ場所を変えて電波を探りながら、電波の入るところで止まってライブ配信を開始しました。後から見返すと流石に電波が弱かったので画像はボヤボヤで動画もところどころ飛んでいますが、なかなか見ることができないコースの途中で太陽を見れた喜びを共有できたのはよかったかなと思います。そこでしばらく配信をして、再び四合目大沢駐車場を目指しました。

晴れ間が見えた!


四合目大沢駐車場に近づいていくと、どうやらまた雲の中に入ったようでまた霧が出始めて気温が低くなりました。そして風が南から強い風が吹いていました。大沢駐車場といえば給水所と太鼓の演奏です。今年も地元の方からの給水と元気一番堂太鼓会の皆さんの力強い演奏が選手の皆さんを勇気づけていました。

ここから五合目までは残り7kmくらい。本格的なラストスパートが始まります。配信のアーカイブで霧の状態と太鼓の演奏を聞くことができるので、こちらも見てみてください。気温が8度しかなく、風が強かったので身体がすぐに冷えてきてしまいました。冷え切らないように再び走り出すと、最初の下山グループが下ってきました。最初の方に上って行った皆さんは常連の方が多いので、みなさんしっかりと着込んで下っていました。

元気一番堂太鼓会のみなさん(写真をクリックするとInstagramのリール動画が開きます)

再スタートをしてしばらくしたら、JCL TEAM UKYOの全日本チャンピオンの山本大喜選手と石橋学選手がペーサーを務めるグループが上ってきました。このグループにもしばらくつかせてもらいましたが、さすがプロの牽引だけあって落ち着いたフォームで終始安定したペースで走っていました。そのグループは人気があり結構な人がついていたので、場所を譲って再びマイペースで走り始めます。

そして最後の難関の奥庭自然公園前の駐車場で再び撮影を開始しようとしましたが、電波の状況が悪く配信を始めることができなかったので、もう少し先の平坦区間の途中、御庭入り口駐車場の前に止まって配信を開始しました。先ほど止まろうとした奥庭自然公園の時点で雲の中を抜けたようで、すでに青空が広がっていて富士山の山頂を見ることができました。

ここの平坦区間は標高が高く空気抵抗が低いので、みなさん自己ベストに向かって一気にラストスパートしていました。今までタイヤのグリップが「ジョリジョリジョリ」といっていたのが「ゴーゴーゴー」と轟音を響かせていました。

富士山山頂も拝めました

後編に続く!

写真と文:別府匠

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別府匠さんの富士ヒルインサイド レポート その2

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