2017年05月31日
【CLIMB JAPAN レベル別攻略法/中級編】山の神 森本誠氏に訊くヒルクライム心得
編:あまりフィニッシュタイムを気にしないのですか?
森本さん:そうなんです。あざみラインのレースなどは、タイムトライアル要素が強いのでゴールタイムなどを気にしますが、Mt.富士ヒルクライムにしても、乗鞍にしても勝負になるとどうしても牽制になるので、いたし方ないかなって。
ちょっとコースタイムを狙える時期は過ぎ去ったのかなって気はしますしね。走力が頭一個くらいとびぬけてると、自分のペースでパーッと行ければいいんですけど、今は展開を考えていかないと。パーッと前走っているだけでは後ろにつかれて、ゴール前で差されてしまうでしょう。
編:また新たな強豪の選手も増えてきた印象がありますね。
森本さん:ありますね。特に清宮さんとか……。あの人の場合は昔から強くて、ヒルクライムに出ていなかっただけなんですけど。若い選手も何人かやっぱり出てきているので、それは当たり前ですよね。どんどんそうじゃないとおかしいので、これからは接接戦になっていくんじゃないかなとは思います。富士ヒルは連覇したいですけど、この大会は本当にわからないですね。どうなるのか。
機材のこだわり
編:機材のこだわりがあったら教えてください。
森本さん:GOKISOは置いといて(笑)、今年はフレームを変えようかと思いまして。軽いといって周囲が注目しているんですけど、ヨネックスのフレームに乗ってみようと。
編:田崎さんが乗っていましたね?
森本さん:そうですね。田崎さんが使ってますね。強豪でいえば乗鞍で今年5位、2016年には太魯閣にも来ていて年代別1位だった大久保さんもそうですね。美ヶ原もたぶん一桁だったと思いますね。
編:とても軽量なフレームですが、やっぱり軽さは大事ですか?
森本さん:できればトータルとしては軽い方がいいと思います。それは間違いないですね。ヒルクライムですから。
編:フレームとホイール以外に何か、重要視してるパーツとかってありますか?
森本さん:ウエアですね。これまでも軽量なワンピースを作ってもらっていましたが、ちょっとまたさらにもう一段軽いものを。
編:ご自身の体重は軽ければ軽いほどいいってわけでもなく?
森本さん:いや、難しいですね。ただ僕レベルの体重コントロールレベルの人間はもっと頑張れるはずです。兼松さんとか大阪の矢部さんは、あり得ないところまで絞ってくるんですよね。ああいうところに行きたいなって願望はあるので、毎年今年こそはと思います。とはいえ、さっき述べた疲労との兼ね合いもあるんです。どうしてもダイエットしていくと疲労が取れにくくなりますから、そこのせめぎあいなんですよね。回復しないとトレーニングできないし、あの人たちはどうやってるのかなって思っています。
レースの調整方法は?
編:レース前の調整とかはどうしていますか? 体調や、練習の量を落としたり?
森本さん:それはやっぱり、1週間くらい前まではかなりハードにやって、レースまでの残り1週間はだいぶ抜くような王道的なやり方ですね。レース前の2日くらいはほぼ乗らない。または流すだけっていう感じです。去年のツール・ド・沖縄は大失敗をしまして。よくわからないくらいダメだったので、なかなか難しいなぁとは思ってるんですけどね。
編:コンディションの波は激しいほうなのですか?
森本さん:人と比べると、どちらかというと波はあまりないなと思ってたんです。狙った大会は外したことないんですよね、そんな大きくは……。ホント、去年の沖縄がもうなんだこれ? ってくらい外した。2回目の普久川ダムから、上って下って高江の上りがあります。あそこで脚を攣ってしまって。自分でもワケがわからないまま終わったんですけど、それを除けば基本的に狙ったレースで全然ダメだったり、完走できないってことは基本的にはないので。ただ単に僕の場合はやりすぎてないだけだと思うんです。どちらかというと疲労で動けないとか疲れて食欲も出ないだとか風邪ひくとかそういうところまではやらないので、僕が疲労いっぱいギリギリっていってるのも、ここからまだやれるでしょ? って人もいますしね。ちょっとそういう余裕を残しているのは事実ですね。
2017年の目標は?
編:2017年の初戦は決まっているんですか?
森本さん:初戦は“狙う”って意味でいえばMt.富士ヒルクライムですかね。6月に富士ヒルへ行って、全日本選手権へ繋げる。
編:全日本は青森ですね。
森本さん:ちょっと遠いんですけどコースが面白いらしいので、ほとんど平坦がないらしいですね。
編:じゃあ6月ですね。そして沖縄へリベンジですか?
森本さん:そうですね。その前に乗鞍に行って、ジャパンカップオープンっていうのも1回出てみたいなって思って。それを加えて沖縄、太魯閣が楽しみですね。
写真と文:編集部 ※2017年2月取材記事
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。