2016年05月07日
バラ♥サイ VOL.5(前編)高橋瑞恵さん
高校生の頃、ママチャリに乗ってはいたけれど、趣味としては免許を取ってモーターバイクの世界へ。自転車に乗るきっかけとなったのは、一緒にバイクを楽しんでいた彼がトレーニングの一環として自転車に乗り始めたことだという「みずちゃ」こと高橋瑞恵さん。そして、ご主人の誠さんと一緒に実業団登録選手として活動し、現在は妊娠・出産を経て、レースの世界に復帰しようとしています。
現在1歳8ヶ月になる息子さんを子育てしながらの生活の中に練習を取り入れる工夫やご主人の協力など、今日もセキララにお話を聞いてきましたよ! 新婚自転車カップルのみなさん、結婚や出産と両立したい女性サイクリスト必見です!
負けず嫌いをくすぐる彼の策略にまんまとハマって
みずちゃ:彼が本格的にロードバイクに乗り始めた頃、それまで乗っていた通勤用のクロスバイクを貸してくれて、最初はそれに乗ってたんです。荒サイ(荒川サイクリングロード)に行って、美味しいメロンパンを食べに行ったり、たい焼き屋さんへ行ったりしました。食べ物につられて30kmくらい走りましたね。それがだんだん距離が伸びていき、1ヶ月くらい経った頃、実家のあった三軒茶屋からヤビツ峠まで連れて行かれたんです。国道246号線をずーっと走って……。
ちゅなどん:三茶からヤビツって結構あるよねぇ。名古木(ながぬき=ヤビツ峠TTのスタート地点)の手前に善波峠(注1)とかあるし……。
みずちゃ:上り始めてはみたんだけど、自転車は重たいし、わたしは脚力がないし。でも彼は行っちゃったんですよね。私もその後ろを追いかけていったんですけど、蓑毛のバス停の急坂で脚を下ろしちゃって……。
ちゅなどん:フラペだったの?
みずちゃ:それが、ビンディングだったんですよ。SPDペダルで。でも、その急坂を見て心が折れて、確か5分〜10分くらいぼーっとしてたんですよね。でもここでずっと待ってるのも嫌だったから、また漕ぎ出したんです。そして、コンクリートの路面に丸いポコポコ(よく激坂のところにあるやつね)があるところで「もうだめだー!」と思って引き返したんです。バス停まで下って……体育座りして彼が下りてくるのを待ってました。
ちゅなどん:あの辺り、まだ序盤だからかなり待ったでしょう?
みずちゃ:そうなんです。バスから降りてくる人やハイキングの人たちの視線が痛くて……。
ちゅなどん:みずちゃのヤビツデビューは惨敗?(笑)
みずちゃ:そこで彼が「そんな自転車乗ってるから上れないんだよ」って言ったんです。
ちゅなどん:えー。それっておかしくない? みずちゃが乗ってた自転車って彼のクロスバイクでしょう?
みずちゃ:でもそこで私、カッチーン! ときちゃって……その数日後にもう乗っていなかったバイクを売って。
ちゅなどん:え? モーターバイクの方?
みずちゃ:大型バイクを持ってたんですけど、それを売ってロードバイクを買いました。
ちゅなどん:それはおそらく彼の作戦勝ちだね(笑)。
みずちゃ:最初の2~3年はやみくもに走ってたかなぁ。練習というよりも。練習っぽく走り始めたのは旦那さんと一緒にイナーメ信濃山形に入ったあたりからですね。
ちゅなどん:以前は同じチームの金子広美さん(注.2)とも時々一緒に走ってたよね。ご夫婦TTとか、前に少し話を聞いたことがあったよね。
みずちゃ:そうそう。広美さんご夫婦と私たち夫婦でやってましたねー。最初に広美さんの旦那さんがスタート、その後、私とひろみさんの二人がスタートして、最後に旦那さん。で、ゴール地点のハンバーガー屋さんまで逃げ切ったら勝ち! みたいな遊びをしてました。その時はゴール直前で広美さんと「やった! 逃げ切った!」って喜んでたらすぐ後ろに彼が居てズバっと抜かれて。そういうのをやり始めたのはその頃からで、練習もがんばるようになりましたね。
ーー実業団でのレースに参加するほかにもエンデューロ系レースイベントの表彰台常連となったみずちゃ。練習会でのスプリントの強さでご主人の誠さんやその練習仲間からも一目置かれる存在になる。ーーー
ちゅなどん:結婚してしばらく2人ともレースやってたじゃない? 2人の間ではあの頃って子供はまだ先だね、って感じだったの?
みずちゃ:自然に任せてた感じですね。直前まで大磯でクリテリウム走ってたくらいですから。あの頃は練習してても調子が悪くって、山も上れないし、どうしよう、って思ってたんです。で、レースの翌日に病院に行って妊娠がわかったんです。よくある調子の「波」というのが悪い時期に入ったのかな? またそのうち良くなるかな、って前向きに思っていたところが妊娠でした(笑)。そこからしばらく自転車はお休みになりました。
(後編へつづく)
注1:国道246号線、神奈川県秦野市、伊勢原市の境界にある新善波トンネルのことを指す。
注2:イナーメ信濃山形所属の女子自転車選手で、全日本強化指定選手。先日ベトナムで行なわれた国際レース、BIWASE CUP2016の総合優勝を果たす。
(写真/編集部)
著者プロフィール
ちゅなどんちゅなどん
自転車好きが高じて一時期飽きるほど自転車に乗り、とうとう自転車に"乗る理由"がなくなってハンドメイドサイクルキャップを制作販売、自走納品する『自作自演型サイクリスト』 その傍ら、あるときはサイクリングイベント会社で、あるときは自ら企画するイベントでアテンドライドしています。持ち味はよく通る声と年の功からにじみ出る安定感。 ハマっ子歴19年。関西弁ネイティブ。