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2015年11月14日

パリ・ブレスト・パリ ランドヌール2015 VOL.7 三船雅彦×矢野大介&ファンライド 鼎談

スーパーエンデュランスに長ける民族に

伝統を守率づけたフランス勢は敗北した。その能力とは?

パリ・ブレスト・パリへの好奇心は

編:こうしてトップの走りをリアルに伝えることができたことで、また新たな展開が日本でも起こりえますね。

矢野:そうでしょうね。これ面白いんじゃないの?って思ってくれる人はいると思います。想像よりも遥かに難しいことですけど、ツール・ド・フランスに出るというような想像として異次元のことではない。4年後までにトレーニングを積んでおけば不可能ではない世界ですから。とはいえ、やってみればわかりますが、すごく大変なことなんですけど。

三船:帰国してからレース会場に足を運んだら労いの言葉を多くかけてもらって。その日は監督だったんですけど(笑)。しかもあの安原さん(※安原昌弘氏 マトリックス・パワータグ監督)がネットでチェックしてくれていたんですよね。

矢野:なんらかの大きな大会で、日本人がトップで走るなんてエキサイティングなことですよね。まさかって感じの興奮状態で、毎朝チェックするような。

編:前半は静観していた人たちも、三船さんすごいぞ!って。今は情報が溢れているので雪だるま式に知った人が増えましたよね。

矢野:まさに時代ですね。SNSがポジティブに活かされた結果でしたね。

編:これがない時代だったら、ひっそりと終わっていた可能性ありますから。

矢野:フランスからFAXしたかも(笑)

三船:まさに夜ゴールするのと同じ(笑)。だれも見てない状態。とくにPBPがレースではないにしろ、リザルトを見たときに外国人(フランス人以外)がほとんどいない。今回のスロベニア人にフランス人が置いていかれたというのは稀で、この偉大なイベントでフランス人がトップでなければならないというナショナリズムを感じました。そこに外国人が入って行くのって、扉を開けるような感覚がありましたね。

矢野:ドイツ登録のスロベニア人だったんですが、それもなんとなく、マスキングというか、だまし合いの1つなのかな。登録国は自由に選べるのかな?

三船:ストラバでやり取りをしているステファン・エティエンヌという人もフランス人の名前だけどカリフォルニアから来たといっていた。でも思い切りフランス勢のなかで写真に入っていたし。わからないことがまだあるかも。

矢野:途中でフランス勢のサポートの1人と話をしていて、トップの選手の名前がどう見てもドイツ人ではなくて調べたらスロベニア人ということがわかった。そしたらRAAMで2位になっている人だったんですよね。そしてフレッシュではないですが24時間で何キロ走れるか、という記録保持者だった。いわゆるスーパーエンデュランスアスリートだったんですよね。コイツは1人でスゴイ独走できるって、それを見たフランスは諦めたんですよね。スロベニアは聞いたところによるとエンデュランス系のスポーツが非常に強いお国柄だそうですね。

三船:国家レベルでそういう耐えることに慣れているのかな(笑)。

矢野:学校などで超超距離の、そういう教育をするとも聞きましたね。

三船:そういえばスロベニア人はドイツに住んでいるっぽいね。通勤と思われる記録をストラバにせっせと上げてましたね。

編:地道ですね。

矢野:距離は短いんだね。一日300km通勤のアメリカ人じゃなくて?

三船:そのアメリカ人は毎日300km走っているんだよね。いまイギリス人とアメリカ人とが競っているよ。

矢野:この人は何をしようとしているかというと、1年間で走行新記録を破ろうとしているんだよね。さらに、PBPに自走で400km走って来て、走行して自走で帰った(笑)。

編:それは…

三船:なにがおかしいって、その人の記録にモーニングライドとあって距離は350km、移動に12時間って、もう朝じゃなくなっているよね。


(写真/海上浩幸)

 

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