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2016年02月22日

バラ♥サイ VOL.3(前編)赤松綾さん

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バラ♥サイ 第三回は、女だてらに炎を操り鉄パイプを溶接する!
フレームビルダーのタマゴ、赤松綾さんの登場です。ちゅなどんは関西弁ネイティブ。関西出身のアヤとの会話はついつい関西弁に。ということで、今回は特別にオール関西弁でお届けします。

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小学校から大学までテニス漬けの日々。プロテニスプレイヤーを目指すかのような厳しい練習と部活だからこそともいえる上下関係、試合のたびに背負う名門校の看板、そのプレッシャーに負けた……。積み上げたキャリアを捨てテニスから背を向けたとき、目に入ったのが自転車だった。

アヤ:大学はスポーツ推薦で入学していたので転校はできなかったんです。でも部活をやめたい、って学校に相談したら、とりあえずユルい方のクラスで部活は続けろということになりました。最初に在籍した強化クラスだと寮生活でしたが、自宅に戻れることになったことと、また部活は週4日に減りまして。これが大学2年生に上がったころ。そこでバイトに時間を使うことにしました。そこで、どんなバイトしようかなぁ、って探して見つけたのが某自転車量販店やったんです。

子供のころからテニススクールに通うために20インチの折りたたみ自転車に乗って40分くらいかけて行ってたんです。そこで時間ができてクロスバイクが欲しいな、バイト代を貯めて買おうって気持ちになって。でも実際は大学の授業のために週1、2回働けるかどうかだったんですけど。それでも実家住まいでお金も貯められたし、貯金もあったから、バイト始めて半年後の夏に、働いている店じゃないところで自転車を買いました!

ちゅなどん:えー(笑)。なんでバイト先で買わへんかったん?

アヤ:カジカジって知ってますか? 関西のファッション雑誌なんですけど、姫路の特集があり、お洒落な自転車屋さんが載っている記事を読んだんです。

ちゅなどん:そこはスポーツバイクの専門店?

アヤ:そうです。プロショップですね。そこでロードバイク買ったんです。

ちゅなどん:ハッ? クロスバイク買うつもりでお金を貯めて、行ったお店でロード買ったんや。

アヤ:お店の人に「20~30km走るんです」って相談したら、「それやったら絶対ロードにしとき」って言われて。予算10万円だったんですけど、結局20万円くらい払いましたね。

ちゅなどん:学生やのに、ようそんなお金あったなぁ。

アヤ:10万円しか予算はなかったのですが、お店の人がめっちゃええ人で、あと(残り)はゆっくりでええで、って言うてくれはったんです。学生で、女の子やったからやと思うんですけど……。

ちゅなどん:めっちゃええひと。普通ありえへんでそれ。で、そのロードで通学もしてたん?

アヤ:学校へは通学するには少し遠かったんですよ。片道50kmくらいあったので。夏休みに買って、1ヶ月くらいは乗ったんですけど、そのあと半年くらい授業が忙しくて放置してしまいました。その後、大学3年生になって、授業が減って時間ができたときに、ふらふらと自転車に乗ってショップを巡ってたら、とあるショップでライドに誘われたので参加してみたんです。最初はなんもわからんと、わたし蕎麦食べられへんのに誘われるまま蕎麦ライドに行ったり。往復50kmくらいのライドやったんですけど、お尻がめっちゃ痛かったですね。その後、教えてもらってレーパンを買いました。そこからですね。いろんなイベントに誘ってもらって出るようになったんです。

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(Photo:Haruo Kotera

 

練習せんでも勝てる?

ちゅなどん:どんなイベントに出たん? レース?

アヤ:いちばん最初はトライアスロンでしたね。ヒルクライムもやりました。鈴鹿ロードレースにも出ましたよ。自転車は楽しかったんです。テニスの時みたいに感じたプレッシャーとか、学校を背負う感じとかそういうのがなくて。レースは確かに勝負の世界なんですけど、私にキャリアはないし、気にすることがまったくなかったです。誘ってくれるおっちゃんらはみんな可愛がってくれるし、レース行くときはクルマにも乗っけてってくれるし、MTBを持っていない、って言ったら貸してくれるし(笑)。それにレース行ったら結果、なんか取る(入賞する)じゃないですか。ヒルクライムも、トライアスロンも優勝しました。シクロクロスは毎回表彰台に上れて……。

ちゅなどん:そら周りも盛り上がって喜ぶわな。アヤにとってみたら、自転車チョロいわ~ってとこやったんかな(笑)。

アヤ:練習せんでも遊びでやってるのに勝てるっていうのがね。とはいえ当時はもっと女性が少なくて、特に同年代なんていなかったし。あ、でも、謎なことがあって、自転車のレースって年齢が上になるほど速いんですよね。若い方のカテゴリーで優勝しても、総合では年上の人に負けたりして。なんで??って思ってました。意味わからへん、って。

ちゅなどん:確かに自転車は若いイコール強い、ってならへんねぇ。今はそれも普通のことやと思ってるけど、他のスポーツには当てはまらんところやね。

アヤ:そうこうしているうちに当時出入りしてたショップで「そんなに興味あるんやったら働く?」って言われて……。自転車量販店でのバイトもしてたんですけど、そこのショップでもバイトするようになったんです。何でもやるお店でしたね。BMX、MTB、シクロクロス……。

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ニッポンの女性が選べるフレームが少ない? だったら作ってみればいいじゃない。

ちゅなどん:大学から進路決める時にこの学校(東京サイクルデザイン専門学校)に行こうって決めてたん?

アヤ:大学3年生の終わり頃には決めてましたね。

ちゅなどん:確かに自転車は乗って楽しいし、レースも楽しい、2つ掛け持ちしてるバイトはどっちも自転車屋さん。普通の人より濃く自転車には関わってたとはいえ、その興味が『フレームビルダー』に向いたのはなんでなん?

アヤ:最初に買ったバイクはサイズが合ってなかったんです。カタログ上にはあるけど店に在庫がないから、って。自分も最初はレースやるつもりはなくて、街乗りのつもりやったから、ステム短くして乗れるんやったらええか、と。でもレース出るようになって、別のお店で聞いたら「レースやるんやったらサイズは絶対合ったのに乗らなあかん」って言われて、いろいろ知りました。当時、女性が乗れるフレームはトレックかアンカーしかない、と言われてました。自分が乗れる気に入った自転車がないな、でも日本人の女性はわたしより背が低いひとめっちゃおるやん、みんなどうしてるんやろ、って。そこからいろいろ調べていったら辿り着いたんです。“自転車の作り方を教えてくれる学校がある”って。

ちゅなどん:もともと、物を作るのが好きやった、とかそういうわけではなかったん?

アヤ:まったくそういうわけではないです。女性用のフレームが少ない、じゃあ、作ってみればいいじゃない? って思ったんです。

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(後編へ続く)


(写真/編集部、協力/学校法人 水野学園 東京サイクルデザイン専門学校)

※注:本来、火を入れる作業ではマスクをちゃんと着けるのです。今回は撮影のために特別に外していただきました

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