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2017年08月15日

瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 4-6) ミニマイズ!事故を事前に回避する

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瀬戸圭祐の 「快適自転車ライフ宣言」 第4章:ジテツウで、毎日をヴィヴィッドに、豊かな楽しみを!

4-6) ミニマイズ!事故を事前に回避する

 

事故は疲れているときや油断しているときに起こしやすい。

自分で自分の身を守ることをしっかり意識し、つねに安全確保に注意してその集中力を持続しているかぎり、事故を事前に回避できる可能性が高まる。つまりクルマが不注意運転をしていたとしても、五感を働かせて前後左右のクルマの動きを認識し予測することにより、こちらが止まったり避けたりできれば事故には至らないのだ。

 

<クルマの動きを予測する>

事故のリスクが高いのが交通量の多い交差点である。交差点にかかる際にはうしろを振り返りつつ、前後左右のクルマに注意する。ウインカーは出ているか、直進か左折か右折か、信号で止まるかそのまま突っ込むか、などを認識しておきたい。とくに信号が黄色に変わった場合や赤になった場合でも突っ込んで来たり、強引に左折右折をしたりするクルマがいるので要注意だ。そんなクルマに青信号だからと強気で進んで行っても痛い目に合うのはこちらである。短気になって焦って走るよりリラックスしてゆっくりと走ったほうが事故の回避率は高まるのである。

交差点では緊張度を高くしていても、駐車場やガソリンスタンドの出入り口などは注意の度合いが低くなりがちである。意表をついてクルマが出てくることがあるので注意して目を凝らそう。出会い頭の事故が多いのは大きな交差点よりも、このような場所であり、とくに路地などでは子どもや犬猫などが思わぬところから飛び出してくることもある。

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細い路地では、歩行者の飛び出しなど、ぎりぎりまで気付きにくい。すぐに止まれるスピードで走行しよう

 

<停車中の車両に注意>

車道では停車しているクルマとの衝突リスクが高い。人が乗っていれば左右どちらであれ突然ドアが開くことがある。とくにタクシーは客の要求で急にドアを開けたり曲がったり止まったりするし、空のタクシーは客を見つけると無理やりそこへ行こうと強引な運転をしたりするので要注意だ。

バスも歩道側は乗客が突然降りてきたり乗り込んだりする。バスの後ろで待つのが最も安全であるが、時間がかかる場合はバスの左ウインカーが点滅しているかを確認し、後方に注意しながらバスの右側を通行する。追い越す時は後方のクルマに気をとられるが、停車していたクルマが急に動き出すこともある。クルマに人が乗っているかどうかを確認しておけば予防ができる。

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停車中のクルマを追い越す時は急にドアが開かないか注意しよう

 

<思いやり1.5m運動>

クルマ側に自転車を認識してもらう運動が世界的に起きている。下記のようなマグネットシートやステッカーをクルマの後背部に掲げて、他の道路利用者への注意を呼びかけるもので、自分の運転を再認識するとともに、追随するクルマに呼びかけることを企図している。「Baby in Car」などと同じく、マナーとモラルに訴えるためのもので、クルマを所有している人には是非貼っていただきたい。ドライバーの意識改革につなげる活動である。愛媛県や静岡県で「おもいやり1.5m運動」が始まっており日本中に拡げるべく、自転車活用推進研究会でもPRに努めている。

https://lolipop-cyclists.ssl-lolipop.jp/1m50/

ステッカー

 

<オートバイとは張り合わない>

同じレーンを走るオートバイはやっかい者になるケースがある。彼らにしてみればトロトロと走る自転車はうざったいのだろうが、むちゃな追い越しをしてくる場合が多々ある。これは対抗してもスピードではかなわないので、身の安全のためにも早めに道を空けよう。
また反対側車線から右折車が来る場合、こちら側車線の直進車の陰になって自転車が認識されにくい場合がある。とくに片側二車線以上の場合、右折車は加速してスピードが出ている場合があり、事故の際には被害は大きくなる。

 

<あくまで歩行者優先>

道路上の歩行者はクルマへの注意はあるものの自転車に対しての意識は非常に薄い。思わずベルを鳴らしてしまいそうだが、歩行者にしてみれば「じゃまだ、どけっ!」といわれているように感じる場合もありできるだけ避けたい。むやみにベルを鳴らすと道交法違反となり、2万円以下の罰金となることも覚えておきたい。ブレーキをカチカチ鳴らすなりして存在を知らせ、抜く時には「すみませーん」と一声かければお互い気持ちがいい。
団体が横並びで通せんぼ状態の場合はおしゃべりに夢中で自転車に気付かない、または無視されることもある。そんな相手にベルを鳴らすと逆ギレされることもあるので、声をかけて通してもらおう。

 

<自転車にも注意する>

車道を走行する他の自転車にも注意が必要だ。とくに子どもやご高齢の方は蛇行したりよそ見をしていたりして後方にも前方にも注意をしていないことがある。歩行者も、そしてそのような自転車も不規則な突然の動きをするので、常にブレーキには手をかけてすぐに対応できるようにしておこう。

残念ながら右側通行する自転車もよく見かける。接触や衝突、車道に膨らんでのクルマとの事故に繋がりかねない危険行為だ。右側通行している自転車には、「左側を走行してくださ~い」などと声をかけて欲しい。
歩道走行は禁止だ。車道で危険に直面した際の緊急避難対策として歩道に逃げる場合などだけが例外的に認められているが、それ以外は歩道を走行してはいけない。ジテツウするなら「自転車は車道」を必ず徹底しよう。

 

<ドライバーに自転車の存在を認知させる>

クルマを運転するドライバーの側から見た自転車は、車道を遅いスピードでフラフラと進み、時々予測不能な動きをする、一歩間違えば死傷事故に発展する危険極まりない存在である。が、全てのクルマが自転車をきちっと見ているとは限らず、中には話しに夢中になっていたり考え事をしていたり、更には違反であるスマホやTVを見ながら運転しているドライバーも多々いるのである。
大切なのはどんなケースでもハンドサインとアイコンタクトでしっかりと自転車の動きをPRすることだ。目立つウエアとヘルメットを身にまとい、大きなハンドサインでアピールすればクルマも気が付いてくれるし、ドライバーとアイコンタクトできれば互いに安心である。

 

<転倒のリスクはなくならない>

転倒は誰もがしたくない。しかし初心者ほど転倒しやすく、それによる怪我も多いのは事実である。経験を積めば、どういう状況で転倒しやすいかという危険箇所の認識や、早期発見ができるようになりそれに応じた対応方法が体得されていく。転倒は経験する必要はないが、転倒しそうな状況は何度か体験したほうが「転倒する!」と思った際にも持ちこたえられるのである。

それでも転倒のリスクを無くすことは不可能であり、どんなに慎重なベテランでも転倒することはある。転倒の際にどのように対処すれば怪我だけでなく、自転車も含めたダメージを少なく抑えられるかを知っておきたい。実際に転倒するのはとっさの出来事であり、その一瞬で対処できるかどうかはわからないが、少なくとも頭に入れておけば対処できる可能性が高まる。

 

<上手に転倒する>

転び方の基本はハンドルを握ったまま手を放さないことである。手を放してしまうと自転車そのものが二次的に凶器となって身体を襲うリスクが発生するだけでなく、自転車へのダメージも大きくなってしまう。路面への身体の衝突は1ヶ所よりも腕、肩、脚、身体の側面など面として何ヶ所にも分散させたほうが、それぞれのダメージが軽くなる。つまりハンドルを放さずに身体を小さく丸めるようにして回るように着地することにより、衝撃が緩和され怪我も最小限に抑えることができるのだ。

怪我が多い転び方が、手を放して路面についてしまう転倒だ。とくに片手で全体重と自転車を合わせた走行中の運動エネルギーを受け止めようとすると負荷は大きく、キズや打撲だけでなく手首や腕が骨折する場合も多くなる。不覚にもハンドルから手を放してしまったら、うつ伏せの状態になり両腕で柔道の前受け身のようにして、路面からの衝撃を吸収しながら回るように転倒する。

交通量のある道路の場合、どんな転倒でもできるだけ左側に倒れるように意識しておきたい。右側に倒れたり路上に放り出されたりした場合にはクルマに轢かれるリスクがあるからだ。そうなると単なる自転車での転倒では済まない事をしっかり認識しておきたい。

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転倒の際は、ハンドルを離さず身体を丸めることを意識したい

 

<自分の身体が最優先>

転倒した場合になによりも心配し、しっかりと対処しなければならないのは自分の身体である。例えどんなに高価な自転車であろうと、バッグから貴重品が散乱しようともまずは身体を思いやる。転倒直後には身体は大したダメージがないと思っても、後に大事に至ることがある。気が動転していて正常な判断ができず、また周囲からの視線や恥辱心から、そそくさと何事も無かったように立ち去ろうとしてその場を逃れたい衝動に駆られるが、実際には身体へのダメージが大きく、後になって大変な思いをする事にもなりかねない。特に頭を打った場合、ヘルメットが外れたり大きく損傷していたりしたらその場で動かずに安静にしてしばらく様子を見る。落ち着いて判断して大丈夫ならとりあえずは良いが、頭部は場合によっては救急処置が必要なこともあり、ヤバイと思ったら躊躇せず周りに助けを求めるなり救急車を呼ぶなりの対応が必要である。骨折してもやがてくっつくが、脳は再生しないのである。

 

<自転車のダメージ>

転倒の影響は身体だけでなく自転車もあちこちダメージを受けている可能性が高い。そのまま乗ってしまうとトラブルになりかねないのでしっかりチェックしておきたい。

表

<自転車の整備は事故を防ぐ>

安全で快適にジテツウするには、自転車そのものも安全で快適でなければならない。事故に直結するのがブレーキである。ブレーキがきちっとメンテナンスされていないと、停車する距離も伸びる。とくに濡れている路面の場合は時速16km/hから停車するのに、最大で3.5mも制動距離が伸びたという実験結果もある。
ブレーキシューが減りすぎて溝がなくなると効き具合は急に悪くなる。また、きちっとリムを均等にセンターで挟んでいないと、いわゆる片効きになり制動力は落ちる。レバーの引く遊びが大きいと効きの甘さにもつながるため、リーンに調整して遊びをミリ単位に抑えたい。
また、ワイヤーが錆びていたりすると引きが重くなり制動にも影響する。ケーブルにオイルを刺すか、新しいワイヤーにとりかえよう。
タイヤ空気圧も低すぎるとエネルギー効率が落ち、カーブも曲がりにくくなる。週に1度くらいは空気圧を確認し、カチカチにしておこう。変速機やポジションの調整もまめに対応しておきたい。

もし自分でのメンテナンスが不安なら、自転車安全整備士や自転車技師がいる信頼できるショップに定期的にチェックしてもらうといい。安価な自転車の場合は安全性に問題がある場合もある。JIS(日本工業規格)をベースにした、厳しい基準値・安全要件を備えている、BAAマークのある自転車を選ぶことをお勧めする。

BAA

さらにスポーツバイクは軽量でスピードが出やすいので、より高い品質と安全性が求められる。そこで一般社団法人自転車協会が、より厳しい「スポーツ用自転車安全基準」を制定した。この基準に適合した自転車の証明が、SBBA(SPORTS BICYCLE ASSOCIATION APPROVED) マークである。スポーツバイクを購入する際には、このSBBAマークが貼ってあるものを選びたい。

SBAA

 

 

(瀬戸圭祐さんの「快適自転車ライフ宣言」は隔週火曜日掲載です。次回は8月29日(火)に公開予定です。お楽しみに!)

(写真/本人)


第4章:ジテツウで、毎日をヴィヴィッドに、豊かな楽しみを!

1)自転車が毎日をイキイキさせる!

2)探究心に火が付く?ルート開拓

3)遠くてもあきらめない、ジテツウは楽しめる!

4)ジテツウ用バイクと必須アイテム

5)安全第一!市街地、幹線道路の走行テクニック

6)ミニマイズ!事故を事前に回避する

7)迅速に!交通事故での対応

8)確実に!盗難対策と自転車保険

9)自転車は社会を、未来を、地球を救う!

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