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2017年08月07日

バラ❤︎サイ VOL.8 唐見実世子さん「復帰させてもらえる、という環境を作ってもらえたことに感謝」

 

ちゅなどん:こちらのショップや弱虫ペダルサイクリングチームの拠点は筑波ですが、周辺は練習環境としてはいかがですか?

唐見さん:上りをやるなら筑波山、あと山の麓に畑の平坦路……。霞ヶ浦を1周するルートへ行けば、信号がなくずっと平坦で(飽きちゃうけど)すごくいい練習ができる環境です。

ちゅなどん:では唐見さんがトレーニングメニューを考えるときには、この立地、地形を生かしたメニューを作っていらっしゃる?

唐見さん:今はメインとなる選手がアップダウンをこなすのが得意な選手が多いので、山へ行くことが多いですが、またスピード練やりたいねって時期が来れば場所を移す感じです。練習メニューは近いレースの内容によって、変えていく感じです。週に何回かはチームみんなが集まって練習しています。これる人、こられない人はありますが(今日がその日だったらしく、3名の選手がショップにいらしていました)平坦も週に1回は必ず取り入れています。チーム練習の日はあらかじめ「この練習をするよ」ていうのは決めておきますね。あとは雨が降ったりしたら、内容を変更したり。

ちゅなどん:みんながそれぞれ目指すものが違う中で、それぞれが底上げされていく練習メニューを考えるのはたいへんじゃないですか?

唐見さん:基本的に強くなる方法って魔法があるわけでもなく、ひたすら練習しかないんですね。その練習の強度や組み合わせ、本数がかわる。やることが変わるわけではないのです。そんな中、男子と女子では、同じようなことをやっているように見えて、私の方が優しかったりします。

ちゅなどん:それは強くなるわけだ、と思うわけですが、今シーズンの戦績がすごいですね。21勝。これは連勝ですか?

唐見さん:そんなことないかな、前半は2、3回負けた。3着が3回くらい。あとは全部勝っています。

ちゅなどん:すごいですねぇ。言葉になりません。

唐見さん:正直、負けたら嫌だから、すべてのレースは勝つつもりで走っています。ですが、実業団のレースではこれだけ勝っていても、先日の全日本選手権では大きく負けてしまいましたね。彼女(與那嶺恵理選手)は世界でも一流の選手だと言っていいと思うのですが、その世界を舞台に戦う彼女との差がとても大きかったことを目の前で見せられて……。そうなってしまってからは勝つことよりも、自分の持ち味をちゃんと出せるレースができるか、ということに切り替えて走りました。

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私が現役でやっていた頃よりは、今の若い選手は強くなっていると思います。例えば、同じレースを走った與那嶺選手と、萩原選手は上ですね。

ちゅなどん:やはりそのお2人は名前があがりますか?

唐見さん:そうですね。その他の方は若いから、これから強くなればいい。

ちゅなどん:では、若手の女子選手たちにかける言葉はありますか?

唐見さん:自分がどうなりたいか、っていうことをしっかりイメージすればいいと思います。例えばヨーロッパで走りたいっていうことなら、私たちの時代は走れる環境じゃなかった。それが難しかった時代だったけれども、強くなることを一番に考えて練習していました。今はヨーロッパに行きたいっていえば比較的簡単に行けるし、簡単にチームにも入れちゃう。

ちゅなどん:それは唐見さんをはじめとする先人が切り開いた道があってこそ、ですよね?

唐見さん:私に限らず、日本人がたびたび海外に行くことで、日本人を受け入れる体制が整ってきたっていうのはあるかなと思います。若い人たち、まだ上を目指す人たちには、そこをちゃんとイメージして、じゃあヨーロッパのレースを走るのに何が必要か、具体的に考えて行くと自ずと何をしなきゃいけないかっていうのが、見えてくるんじゃないかと。もちろん、その辺りをよく考えている若い選手もいますが。
とはいえ、結局は練習なんですよね。あとは、レースはハードですけど、はっきり言って練習の方がもっときついですよね。レースも練習も、続けていくうちに何をしたらレースで結果が出るのか、わかってくるはずです。

ちゅなどん:その「わかってきたこと」に対して、忠実にそれをやれるか、ってところですか?

唐見さん:そうですね。やるかやらないか。自分の思い、気持ちなんでしょうね。「なりたい、やりたい」と思ったら何としてもやるでしょうし。

ちゅなどん:今の唐見さんのレースでの強さは、そのまんま、想いの強さでもあるようですね。8V3W6792

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