2019年10月31日
【ユンボ・ヴィスマ ショートインタビュー】前編 / リチャード・プルッヘGM「オーガナイズされた日本のレースに感銘を受けた」
ジャパンカップ出場のために来日を果たしたチームユンボ・ヴィスマは今回チームのGMであるリチャード・プルッヘが率いています。そしてレース終了直後にショートインタビューを行いました。
リチャード・プルッヘGM
日本のレースに対してどういったイメージですか?
日本人らしくレースの準備がすべて整っていて、走りやすいです
ヨーロッパとは違う?
ツール・ド・フランスなどは非常にオーガナイズされているので、レースによっても違うのですが、あえて1点から10点で評価をするならジャパンカップは9点ですね。
9点の意図は?
減点! というわけではなく、“10点”といういわゆる満点のレースは存在はしません。日本のこのレースに不満はありませんが、今大会以上によいオーガナイズやレース環境へと、高みを目指していって欲しいという意味を込めた9点なのです(笑)
なるほど、勝負師らしいコメントですね!
ジャパンカップを開いた宇都宮でも災害に見舞われてしまいました。
台風の影響を受けてから、日が浅いにも関わらず、これほどオーガナイズされた大会を開いてくれたことに、感銘を受けています。
宇都宮で歓迎をしてくれた皆さんの中には大変な思いをしている方もいますね。私たちは感謝をこめて日本語で「ありがとうございます」と感謝の意を伝えたいと思います。
ビアンキとの良好な協力関係がうかがえますが、どのようなフィードバックをしていますか?
ライダーだけではなく、エンジニア全員の意見をビアンキは聞き入れています。単にライダーが“こう思っている”というだけでなく、エンジニアなどの知恵を集めて築きあげていきます。
タイムトライアル能力が非常に高いチーム構成でした。どんなアイデアを持っているのか
色々な要素がありますが、選手はもちろんTT適正があること、機材、エアロダイナミクスの追求は特に力を入れています。その内訳としてはヘルメットとエアロスーツ、ハンドルバーなどが挙げられますね。
ログリッチを引き合いに出してみますが、彼の場合は長さや角度を調整したスペシャルエアロバーを製作して、およそ7ワットのパワーセーブに成功しています。さきほどのヘルメットやエアロスーツなどを組み合わせると10ワット、20ワットのパワーをセーブすることができました。
機材についてもう少し。プロトンにリムブレーキとディスクブレーキが混在していることについてGMのご意見は?
UCIルールの6.8kgに見合うディスクブレーキのバイクが市場に存在していないためレースでは使っていないというのが現状でしょうか。
バイクに求める要素として、“軽さ、エアロダイナミクス、信頼性、剛性”という4つがあります。その4つの要素が満たされたディスクブレーキのバイクがリリースされたときには私たちも使うと思います。今の機材でもログリッチは、雨の日のディスクブレーキはいいよねと言っていますね。
東京オリンピックについて。ツールドフランスとの開催期間が近いがどのようなマネジメントを?
コースレイアウトは非常に厳しいな、という感想をもっています。
そしてツール・ド・フランスとオリンピックの両方を狙っていくというのは現実的ではありません。ナショナルフェデレーションがチューズしている選抜する選手のリストがあって、そのリストを元に出場する候補選手について現在話し合いを進めているところです。
写真:編集部
後編 / ライダー編はこちら
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得