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2017年01月31日

【eBIKEの実力/その3 日本発、スポーツとしてのeBIKE】

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スポーツバイクの門戸を開くエバンジェリスト(伝道師)か、それともインベーダー(侵略者)なのか。電動アシスト自転車をどのように捉えるかは人それぞれだ。まがい物だと敵視している人は、実は身近に捉えている人たちだろう。逆に前向きに捉えている人は、スポーツバイクとは似ても似つかないと思っているのかもしれない。どちらが正解ということもないが、電動アシスト自転車が発売されてから約25年、四半世紀をかけて高級ママチャリのポジションを確立した。そして、その扉を拓いたヤマハが新しいコンセプトを掲げて発売したのがYPJシリーズである。

YPJはヤマハ・プロジェクトの略で、PASで築いた「実用的で便利な乗り物」から「乗り物を使って楽しむ」というコンセプトを掲げ、電動アシスト自転車を再定義するという。2013年にプロトタイプが東京モーターショーで公開され、2015年にロードバイクタイプのYPJ-Rを発売。翌年にはクロスバイク型のYPJ-Cが追加発売された。RとCは二卵性双生児のようなものだ。車種は違うがともにエントリー層をターゲットに作られているし、フレームの素材も同じアルミニウムだ。そして、採用されているパワーユニットも共通である。
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スポーツバイクに乗っている人にとって、電動アシスト自転車は距離感をつかみにくいアイテムだ。
「アレはお年寄りのモノでしょ?」
「坂道の多いエリアや子どもを乗せる主婦のための……」
「スポーツじゃないし……」

自分とは関係がないモノだと、最初はそう考える。
その一方で、とても気になる存在でもある。
ましてや、YPJシリーズは形がスポーツバイクそっくりだし、気にならないという人がいたら、そっちのほうが嘘っぽく聞こえるほどだ。

ロードバイクタイプのRはシマノ・105を採用して24万8000円。クロスバイク型のCはシマノ・ソラで19万9800円。アルミフレーム+シマノ・105+電動アシストユニットと考えると、Rはライバルメーカーが泣きを入れたくなるほどお買い得だ。同じように考えると、Cはクロスバイクとしては高級バイクとなる。材料費からすれば、同じようなセグメントに落ち着きそうだが、感覚的に20万のクロスバイクは100万近いロードバイクと同等と言える。

YPJシリーズの魅力は一緒に走る仲間を一気に増やせるポテンシャルだろう。彼女や奥さん、親や子どもといった親しい人と「一緒に走れたらいいのに……」と思ったことがあるだろう。そういう家人や友人にスポーツサイクルを体験してもらうに、これほど適した自転車は少ない。RもCも、スポーツバイクとして“ほどほど”なところが美点だ。走り出しや上りなど、スキルや体力が求められるところで程よくアシストしてくれる。それだけならPASだってと思うだろうが、走行感がまったく違う。ロードバイクやクロスバイクが持つ軽快感を得るため、YPJシリーズはPASシリーズよりも圧倒的に軽い。スポーツバイクにとって軽量は唯一無二の正義と言っていい。商品企画を担当した鹿嶋泰広さんも「重量を軽くすることで、PASよりも小さな出力でもアシスト感を得られるようにした」という。ハンドリングやブレーキ性能、フレーム剛性といった走行性能は、初心者が使う範囲で不満を感じることはないだろう。さらに向上する余地はあるが、はじめて本格的なスポーツ車としては力作だし、見事な完成度である。
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なかでも、補助動力の制御技術は世界一と言っても過言ではない。RとCは同じパワーユニットで、出力も一緒だ。しかし、トルクの立ち上がる応答速度に違いがあるようで、Cのほうが低速域でのアシスト感が強い。それも機械的な不自然さはなく、体力が向上したかのような感覚であり、押されるのではなく、手を添えられる感じだ。Rで感心するのはアシストが切れる速度域での質感だ。いつの間にかアシストがなくなり、平地なら時速26~27㎞まではノーマルロードと差を感じない。

エールを込めて言うならば、次の課題はもっと軽く、もっと予備バッテリーの価格を下げることだろう。これ以上パワーはいらないし、アシスト領域も現状のままで十分。
道交法の改正ウンヌン言う前に、高くてもイイものを。例えば完成車で50万円、重量8㎏ぐらいを目標にしてもらいたい。

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“もっと気軽にスポーツ自転車の走りを楽しみたい”というニーズに応え、ロードバイクの性能に快適性と扱いやすさを組み合わせたのがクロスバイクタイプの《YPJ-C》だ。アルミニウムを液圧成形したフレームはMとXSの2サイズ展開。メインコンポはシマノ・SORA。タイヤは700×28C。車重は16㎏(XSサイズ)。19万9,800円 問:ヤマハ発動機 https://www.yamaha-motor.co.jp/pas/ypj/

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走る楽しみを追求したニュースポーツモビリティとして、2015年に発売されたYPJの旗艦モデル。ロードバイクの爽快感を具現化するため軽さとフリクションロスの低減、フレーム構造の見直しを図ったという。。サイズはMとXS。メインコンポはシマノ・105。タイヤは700×25C。車重は15.2㎏(XSサイズ)。28万8,400円。

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ハブの反フリー側にあるスピードセンサーはハブ内蔵タイプで、PASと比べると精度も向上しているという。ホイール交換によるチューンナップはホイールの組み替えという大がかりなものになる。

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2.4Ahの小型リチウムイオンバッテリーは重量540g。一般的な電動アシスト自転車用バッテリーと比べて容量は5分の1程度しかないが、充電時間は約1時間と短い。予備バッテリーは2万1,600円。

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ヨーロッパで主流のペダル合力タイプのパワーユニットPW型。PASに採用されているPA型(チェーン合力)よりもトルクでは劣るが、チェーンステーを短くすると同時に軽量性で優位に立つ。

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BBにパワーユニットがあるため変速用ケーブル、リアブレーキ用ケーブルはすべてトップチューブに内蔵される。

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左がスイッチユニットで電源のON/OFF、走行モード切替、バックライトボタン、セレクトボタン、USBポートがある。大型の液晶マルチファンクションディスプレイは視認性も高く、必要な情報がすべて分かりやすく表示される。

取材協力:千葉けいりん
写真:編集部

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