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2019年10月16日

ホビーレーサー必読!「ロードレースのAtoZ」最終回「強くなるためのトレーニング基礎理論」

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強さ=速さの本質とはなんでしょうか。エンデューロやロードレースはコースや戦術によって運動能力だけでは測れない複雑なところがあります。それが自転車競技の魅力とはいえますが、速さ強さの本質を端的に表現するなら運動能力は高い強度で長時間運動をし続けることができる能力の高さです(1)。

目標のレースを決めたら、それに向けてトレーニングを行なっていきます。
もともと持っている能力値が、目標レベルのレースが要求している能力の値に到達しているか。またそれに到達するためにどれくらいのトレーニング量が必要なのか、そういった定量化を行う必要があります。

「OO峠のタイムの倍数がおよそMt.富士ヒルクライムのタイムと同義である」といった間接的な指標もつくることができます(ロードレースにおいては曖昧な部分はあります)。具体的な数値を上げていくために、具体的な強化方法が取れるトレーニングを行う必要があります。

指標となる数値はスピード、心拍数、パワーなどがありますが、今回はパワーを指標とします。つまりパワーメーターを用いたトレーニングメニューを紹介します。
また生理学、特に代謝の原理についても知見を深めることが重要です。筋肉が収縮して力を発揮するためには、ATPという化学物質が必要です。これは脂肪とグリコーゲンから作られ、運動強度によって各代謝系のATP生成比が変化します。
簡単にいうとトレーニングによってATPの生産能力を高めることで、長い時間運動を継続することができるのです。

 

強くなる→ラクに走ることができる→余裕ができる→リスクが減る
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運動能力が低い状態でレースやイベントに出ると、周りの速さに翻弄されてしまい、ついていくことに必死になり、注意力が落ちてしまいます。1秒が永遠の長さに感じ非常に辛い体験をします。ハンドリングミスなども起こしやすくなります。「競争」を行う舞台に立つなら、まずはトレーニングすることから始めましょう。

血中乳酸値濃度・LT値の測定

このLT値こそが、パワートレーニングの指標となります。ポピュラーなFTPやATなどの値もあり、トレーニングアプリなどで簡易的に算出することが可能です。LT値の優位点は血中に生成される乳酸の濃度変化から、代謝の変化点を測定しています(2)。より精密に測定するためには、専門的な測定器が必要になりますが、パワーメーターを用いることで、室内での測定が可能です。

インドアトレーナーに自転車をセットし、漸増負荷テストを行います。
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測定方法は100wで15分ほどのウォーミングアップから始めます。
3分間決められたパワーを維持し、3分後に40wずつ負荷を上げていきます
例:100w(15分間)→140w(3分間)→1分間休み→180w(3分間)→1分間休み→210w(3分間)→・・・・

graph©️自転車競技のためのフィロソフィー

3分間パワー値を維持したら、1分間、完全に脚を止めて休んでください(100w以下でパワー値を下げて軽く回す程度なら構いません)。ケイデンスはできる限り87〜93rpmの範囲で自分が心地よいと感じるペダリンケイデンス数を保ってください。
負荷が高くなるにつれ、パワーを維持するのがきつくなっていきます。パワーを維持できなくなった時点(あるいはケイデンスを維持できなくなった)でテストは終了です。オールアウトする必要はありません。
主観的運動強度(RPE)では、LT時に多くの選手がRPE評価で14の「ややきつい」〜「きつい」と感じ、このあたりがLT値に近い値と考えられます。
パワーメーターで強度を測定した場合はLTパワー値が求まり、スピードメーターでスピードを測定した場合は、LTスピード値が求まります。スピードは心拍数と組みわせて使うのがよいでしょう。スピードはローラー台で練習するのであれば正確な指標となります。

主観的運動強度(RPE)
運動時の主観的負担度を数字で表したもので,Borg Scaleが代表的である.Borg Scale は,数字を 10 倍するとほぼ心拍数になるように工夫されているが,年齢などにより差異があることに注意が必要である.13 が AT レベルと考えられる(3)。

©️自転車競技のためのフィロソフィー

 

強くなるには近道なし→トレーニングは「頻度(継続)」が重要
残念ながらパフォーマンスアップに近道はありません。本質的なトレーニングを地道にコツコツとこなしていく必要があります。いわゆる強く、速い人たちは、すべからく努力をしているということです。

 

次ページではLTパワー値に対する強度設定をした各基本単位メニューを紹介します。

 

 

引用
(1)
自転車競技のためのフィロソフィー 柿木克之著 p.13 

(2)自転車競技のためのフィロソフィー 柿木克之著 p.29 
(3)日本スポーツ協会 アスレティックトレーナーに必要な検査測定の方法

 

参考文献:自転車競技のためのフィロソフィー
柿木克之 著
ベースボールマガジン社
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次ページ 各基本単位メニュー

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