2017年05月18日
芦田昌太郎の「脱・使わず嫌いインプレッション」第1回 スポーツマスク
数ある自転車アイテムの中で、みなさんはどうやって要不要をチョイスされていますか。
想像だけで要らないと決めつけてはいませんか。食わず嫌いと同じで、使ってみないとその真価は分かりません。そこで、我々サイクリストの感性を悩ますアイテムを実際に試して、使わず嫌いを克服しようというのがこの連載。
ちなみに私の食わず嫌いなものはピータンです。
さて、記念すべき第1回は「スポーツ用マスク」です。冬が終わり待望の自転車シーズン……と思ったら花粉症。山間部に入ればまわりにはスギ、スギ、スギ。先日走った奥多摩なんて見渡す限りスギとヒノキばかり。上りではお鼻がズビズバ、下りではクシャミ連発。危うく落車しかけたくらいです。しかし普通に売っている白いマスクだと「暑い・苦しい・曇る」の三重苦。
そこで今回、使わず嫌い克服のために購入したのはNAROO MASK X5s。
結論から述べます。
花粉症のサイクリストにとって「スポーツ用マスク」は有効である
じつは私、そもそもスポーツ用マスクなんて不要だと思っていました。そこまでしなくても使い捨ての不織布マスクは安く購入できるし、息苦しいし暑くなってどうせ途中で取ってしまうし、5月半ばくらいまで我慢すれば花粉も収まるし……。それにマスクをしてスポーツをするなんてナンセンスだと思っていました。ところが、いざこのマスクを使ってみたら驚きの連続! 私が間違っていました。思い込みで要らないなんて決めつけてゴメンナサイ。
では、実際の使用感と普通のマスクとの違いを紹介していきます。先ずは機能性の検証。ちゃんと花粉をブロックできるのだろうか。もちろん答えはYes。しっかりと花粉の流入を阻止してくれます。このNAROO MASKは「1」から「9」までラインナップがあり、数字が大きいほど生地が厚くなっていきます。そして前面と後面で目の細かさが違うリバーシブル構造。目の粗いフィルターの方はあまり出番がない感じもしましたが、UVカット効果もあるので日焼け対策や冬場の防寒、これからの季節では排気ガス対策などにも有効かもしれません。
次にマスクの「三重苦」について確かめます。
マスク装着時の暑さ→△
マスク内部の蒸れ→〇
呼吸のしやすさ→〇
サングラスの曇り→〇
三重苦といいながら4項目になっていますが、このマスクはピッタリと顔にフィットするので上りでハァハァしても蒸れません。それに隙間ができないので息でサングラスが曇ることもなく、呼吸もまるでマスクを着けていないような快適さです。
もちろん何もしていないのに比べたら僅かに息苦しく暑いですし、締め付けられる感覚もありますが、気になるレベルではありません。なにせ憎き花粉を防いでくれるのですから、装着時のストレスなど許せます。
さらなる違いは洗濯できること。手洗いですが洗えるというのは汗をかくスポーツでは大切なことです。花粉も毎回しっかりと落としたいですしね。私はライド後のシャワーついでに心拍計ベルトと一緒に洗っています。
そして感動したのは耳が痛くならないこと。使ってみるまで想像すらしていなかったのですが、まったく痛くならないのです。ネックウォーマーの様に筒状になっているので耳に負荷がかかることもなく、イヤーループのおかげでずり落ちることもありません。
ここまではメリットを挙げてきましたが、気になる点もありました。ヘルメットとサングラスに加えてマスクまで装着すると、もう誰か分かりませんし、見た目が怪しい。もちろん普通のマスクでも同じですから、スポーツマスクだけのせいではないのですが……。ちなみにこのNAROO MASK X5sは5色展開なのでチームメンバーで各色を揃えたら花粉戦隊「カッフンジャー」のできあがりです(笑)。
あと、繊維がデリケートなのでファスナーなどで引っかけないように注意が必要。私は何度か雑に扱ってしまい購入早々に少し毛羽立たせてしまいました。高性能であるが故の繊細さということなのでしょう。マテリアルは丁寧に扱わなくてはいけませんね……。
ともあれ、1シーズン使ったら消耗品と諦めて新しいものを買い直すことになりそうな気がします。そうなると、値段とのバランスになるので安いか高いかは個人の感覚次第。
長所短所はありますが、実際に使ってみて驚かされることが多かったのも事実で、「たいして変わらない」や「どうせ使わなくなる」といった先入観は捨てるべきだと分かりました。自分の感覚という狭いレンジで物事を判断してはいけませんね。今度ピータンも食べてみようと思います。
ということで、連載初回から私の「使わず嫌い」がひとつ無くなりました。
NAROO MASK X5s
カラー:ホワイト、ブラック/イエロー、ブラック/レッド、ブラック/ブルー、ブラック
ポリエステル46% ナイロン42% ポリウレタン12%
サイズ:フリーサイズ 20cmX12cm
シーズン:主に秋から春先
洗濯:手洗い
価格:1,833円(税別)
HP:http://www.fukaya-sangyo.co.jp/brand/naroo_mask/
(写真/小野口健太)
著者プロフィール
芦田 昌太郎あしだ しょうたろう
俳優。富士ヒル90分切りの中級クライマー。表紙の女性モデルに惹かれ初めて買った自転車雑誌がfunride。以来、大会MCを務めるなど縁が続く。