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2018年05月11日

芦田昌太郎の「どっちのインプレショー」 第7回 チェーンオイル編

自転車アイテムは選択肢が多く、時には重大な決断を強いられることも。アイテムが豊富になってきて喜ばしい反面、我々サイクリストの悩みは増えるばかり。この連載は似て非なるものや対極に位置するものをピックアップしてお届けいたします。

今回も、「TOKYOエンデューロ2018 in 彩湖」の会場ブースから探してきたアイテムを比べてみます。前号で比較した「R×L」の武田レッグウェアーと並んで、一際存在感を示している「WAKO’S」。みなさん御存知のケミカルのワコーズ、自転車乗りなら誰もがお世話になっているであろうビッグブランド。今回はずっと気になっていたチェーンオイルの違いについて、じっくりとインプレッションしていきたいと思います。

サラサラ系の「チェーンルブ」としっとり系の「メンテルーブ」。人生は右か左か常に岐路に立ち選択を迫られているもの。選べるのはふたつにひとつ。さぁ、今の気分はDotch?

 

当然サラサラ系のオイルでしょう

きっとほとんどの方が選ぶように私もサラサラ系のオイルを選びますし、実際に他メーカーでは「ドライ・タイプ」と言われているものを使っています。耐久性が低くともチェーンの抵抗が少ない方を使いたいですよね。どうせ雨の日は乗らないですし。あれ?ではどうして「ウェット系」や「しっとり系」のオイルも充実しているのだろうか……。耐久性や乳化しにくいというのは分かるのですが、他にも理由があるはず。この期に確かめてみたいと思います。

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イベントブースは、専門家に質問できる良い機会。ケミカルに関するいろいろな疑問に答えていただきました

 

チェーン洗浄はマスト!

と、その前に。
注油する前には「チェーンの洗浄」が何よりも大事だとワコーズのメカニックの方もおっしゃっていました。チェーン内部の汚れを落としてからオイルを差すのが重要だそうで、しっかりと洗浄→注油することにより、かなりフリクション低減を得られるとのこと。 私は普段から駆動系はもちろんフレームも綺麗にしているつもりだったのですが、ワコーズ・ブースに持っていくと、チェーン内部にはずいぶん汚れが残っているとのこと。そこで、まずは「チェーンクリーナー」でドライブラインの洗浄を。これはパーツクリーナーのようにすぐ乾燥するものとは違い、水みたいにしっかりと内部まで染み込んでいきます。この作業が終わると次は「フォーミングマルチクリーナー」。これがすごい! マットの塗装面もサドルもチェーンも本皮以外なら何でも大丈夫。軽く吹き付けるとモコモコの泡に変わり、あとは拭くだけ。水で流す必要もありません。そして注油。今回比較するどちらのオイルも水置換性なので洗車後にそのまま注油するだけ。作業にかかる時間は15分くらい。大袈裟ではなく新車の時より綺麗かも……。さて、突然ですがここで「プチ・どっちのインプレショー」を。

注油前にちゃんと洗浄するの o rしないの、Dotch?

はい、します。これからは面倒臭がらずにちゃんとやります。洗浄→注油で15分くらいですもの。パワーロスも減って、しかも簡単! お陰さまで、富士ヒル対策がまたひとつ増えました。さて、ここからは本題のオイルを比べていきましょう。

 

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チェーンクリーナーとフォーミングマルチクリーナーで洗浄してもらったあとの走りの軽さに驚き!

 

ケイデンス重視のライダーにはこちら

まずはサラサラ系の「チェーンルブ」を。しっかりと洗浄された後なのですごく気持ち良くチェーンが流れていき、チェーン音もほとんどしません。全体的に薄く覆ってくれて滑らか。タイプとしてはハーフウェットですが、ドライ系と同じような使用感で耐久性もなかなかのもの。体重が軽くてパワーの無い私はトルクを掛けてガシガシ行くよりも回転重視でスルスル進むタイプなので、まさにこのサラサラ系オイルはぴったりです。ちなみに化粧水や日焼け止めもサラサラなのが好きです。トレンディドラマ世代としては、吉田栄作さんのように白シャツにサラサラの髪が憧れです。

全天候型でパワーライダー向け

一方、しっとり系の「メンテルーブ」。再び前述の洗浄をしてから注油。あ……違いますね。はっきりとオイルの差が感じられます。実はこの記事を書く前は、微妙なオイルの差が判りうるのか不安もあったのですが、脚に伝わる質感が違います。洗浄をきちんとしていることもあり、どちらもチェーンは心地よく流れてくれますが、チェーンルブを「スルスル」と表現するのならば、こちらのメンテルーブは「ピタッ」とギアを噛んでパワーを伝えてくれると言えるでしょう。1コマ1コマに力が伝わっていくので、踏む感覚が好きなライダーやパワー系ライダーにはこちらの方がしっくり来るでしょう。因みに、実走で感じたオイルの差ですが、ローラー台では分かり難かったです……。

さて、両方のインプレッションが終わったところでラストジャッジのお時間となりました。私が選んだのは……

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しっとり系の「メンテルーブ」!
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まさかメンテルーブを選ぶとは!

この結果に自分でも驚いています。脚に伝わる抵抗感が平地と山岳ではまったく逆になったのです。平地ではサラサラ系オイルのスムースさが気持ち良いですし、本当によくクランクが回ってくれます。しかし、山岳に入ると立場は逆転。しっとり系のメンテルーブの方が抵抗が少なく感じられるのです。登坂は平地よりケイデンスも下がりますし、トルクも大きく掛かります。とくにダンシングを多用する私には「しっとり系」が向いているようです。要は、平地と山岳のどちらにウェイトを置くのかということなのですが、耐久性も加味するとすれば、私はメンテルーブを選びます。

最後にワコーズのメカニックさんに教わった裏技をひとつ。注油ノズルの先端を少し「くの字」に曲げると注油しやすくなるとのこと。私も早速やってみたところ、これはオススメです! ステンレスなので手で簡単に曲げるられますよ。

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ちゃんと比較できるか心配だったチェーンオイル。いざ比べてみると、明らかに走行感が違いました。みなさんもぜひ比べてみてください!


今回比較したチェーンオイル

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メンテルーブ(写真左)
価格:1,600円(税別)
容量:220ml

チェーンルブ(写真右)
価格:1,600円(税別)
容量:180ml

 

チェーン洗浄にはこちら!

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フォーミングマルチクリーナー(写真左)
価格:1,000円(税別)
容量:380ml

チェーンクリーナー(写真右)
価格:1,500円(税別)
容量:330ml

問:和光ケミカル   http://www.wako-chemical.co.jp/

(写真/小野口健太)

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