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2018年11月15日

芦田昌太郎の「どっちのインプレショー」 第11回 ブレーキ編

自転車アイテムは選択肢が多く、時には重大な決断を強いられることも。アイテムが豊富になってきて喜ばしい反面、我々サイクリストの悩みは増えるばかり。この連載は似て非なるものや対極に位置するものをピックアップしてお届けいたします。

この連載もいよいよ最終回! いま我々サイクリストを最も悩ませているであろうディスクブレーキ対リムブレーキを比較します。最終回に相応しくピナレロからリムブレーキの「プリンス」とディスクブレーキ仕様の「プリンス・ディスク」をお借りしました。ブレーキ台座の違いこそあれ、同じモデルでジャッジ。人生は右か左か常に岐路に立ち選択を迫られているもの。選べるのはふたつにひとつ。さぁ、今の気分はDotch?

 

名車復権!

と、その前に……プリンスのインプレッションを少々。いやはや、流石ですね。完成度が高い!「レースからロングライドまで」という謳い文句ですが、乗ってみるとその実、しっかりとしたレーシングバイクです。むしろ「“ロングライドも疲れない”レーシングバイク」という感覚です。フラッグシップモデルであるDOGMA F10 譲りの技術で反応も良いですし、ハンドリングも安定しています。とにかく無茶したところがないオールラウンダー。決して軽いとは言えない足回りなのに、上りも軽快にこなします。特徴的なのは、ボトル装着時に空力的に最適な形状になるというダウンチューブとフロントフォーク。フォークフラップは猫が香箱座りしているみたいで可愛く感じますが、フレーム形状と相まってエアロ効果は大きそうですね。これぞPRINCE!名車復活です。

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ダウンチューブのボトルケージ周辺を少し横に張り出し、コンケーヴ(凹型)状のリブを持たせている。ボトル装着時のエアフローが最適になるそう

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特徴的なフォーク形状。先端にフィン「フォークフラップ」を設けることで整流効果が期待できる

 

第一印象タイム!

恒例の第一印象ですが……やはりリムブレーキでしょう。だって、今のままでも何も困っていないですもん。リムブレーキは成熟の域に達していますし、重量面でも大きなアドバンテージがあります。弱点はウェットコンディションとホイールのリムに熱を持つことだけ。まぁこれを克服したのがディスクブレーキなのですが……。それにディスクブレーキにするということは、フレームも買い換えということ。手持ちのホイールは使えない、メンテナンスやパッド交換も難しそう、輪行での取り扱いも神経を使いそうです。ならば、リムブレーキで十分です。そう言えば昔、熱を持ったリムに太ももが当たって火傷したなぁ……しばらくリムの形に痕が残って以来、かなり気を付けるようになりました。

 

もはや最終形態か?

では、実際に試乗してみます。先ずはリムブレーキから。もう、みなさん御存知ですよね。世代交代する毎に良くなっています。引きもスムース、メンテナンスもいつも通り簡単。もう書くことが何もなくて困ります……。ただし、軽量ブレーキにはご注意を。ウェット×カーボンリム×軽量ブレーキだと本当に効きが悪くなります。軽量ブレーキにしていた時期もあったのですが、雨の下りはかなり恐ろしかった。もうあれは晴れた日のヒルクライム決戦用という感じですね。

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今回はアルテグラグレードがアッセンブルされていたが、セカンドグレードとは思えないブレーキの引きの軽さにテクノロジーの進化を感じた

 

新次元のブレーキ性能

さて、お待たせしました。いよいよ大眼目のディスクブレーキです。
うわ、すごい! 引きが軽いし、全然疲れない! いや、むしろブレーキングは疲れることだったのか? 気付かなかった。それにしてもこんなにも違いますかね……。どちらかと言えば、ディスクブレーキ否定派だったのですが、ちゃんと比べるとこんなにも良いものかと感心させられます。
「効きすぎる」ということもなく、細やかなタッチにもダイレクトに反応。もちろんウェットでも制動力は落ちないし、長い下りでも疲労感は残りません。それから都内の移動が驚くほど楽です。信号やら何やらと、いちばんブレーキを使うのは都市部ですからね。考えてみれば当たり前なのですが。
そして心配していた輪行や車載の手間ですが、やってみると大したことは無かったという結果に。ローター部分を覆ってブレーキパッドの間にスペーサーを挟むだけ。スルーアクスルの規格も、やっと足並みが揃ってきた感じですし、これで心置き無く普段からカーボンホイールが使えます。しかし、パッド交換や油圧式のオイル交換などランニングコストはやはりかかってしまいます。

気になる重量面はというと、実はあまり差を感じられませんでした。それよりもスルーアクスルによる恩恵が大きいです。足回りがよりしっかりしてくれるので、ダンシングした時のダイレクト感が心地良く、下りでバイクを倒し込んだ時も安定感があります。シューシュー鳴くブレーキ音も、高速で回る銀色の回転体にも、いつの間にやら慣れました。

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引きの軽さと制動力は圧倒的。ストップ&ゴーが続く都市部ではとくにメリットが大きいだろう

 

 

 

さて、両方のインプレッションが終わったところでラストジャッジのお時間となりました。私が選んだのは……

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ディスクブレーキ!

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安全に勝るものはなし

もう、ここまで進化してしまうと当然の結果ですね。ブレーキ制動力、疲労感の低減、ハンドリングの安定感というのは、すべて安全に繋がること。ロードバイクがホビーである以上、何よりも安全であって欲しい。でもなぁ、ディスクブレーキとなると1台丸ごと買い換えかぁ……。懐具合が心配すぎて発熱しそうです。今回のジャッジでユーザーをいちばん悩ませるのは、メリット・デメリットよりもコスト面かも知れません。なので今回の対決は、「買い換えるのならば」「はじめてロードバイクを買うのならば」と条件を足して考えてみた結果です。余裕があればトレーニング用にディスクブレーキ。レース車は思いきり軽量化させたリムブレーキ仕様。こんな2台持ちが出来たら幸せだなぁ!

さて、皆様にお付き合いいただきましたこの連載も、これにておしまい。どうもありがとうございました。さて、季節は冬へと移っていきます。来シーズンに向けてしっかりと乗りこんでおきたいところですね。どうぞ皆様も安全で怪我のない、そして笑顔あふれるバイクライフを!!

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さまざまなテクノロジーや新製品が続々と登場し、自転車アイテムの選択には頭を悩ませてしまいますが、それもまた楽しい時間。  みなさんも試乗会やイベントブースを利用して「どっちのインプレ」をしてみてくださいね! それではまた!!

 


今回インプレッションしたアイテム

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PRINCE(写真左)
価格:275,000円(フレームセット・税別)
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、62
カラー(在庫カラー):715/CARBON RED(シャイニー)、716/BOB(マット/シャイニー)、717/WHITE ORANGE(シャイニー)
※完成車販売もあり

PRINCE DISK(写真右)
価格:295,000円(フレームセット・税別)
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5、62
カラー:718/CARBON RED(シャイニー)
※完成車販売もあり

問:ピナレロ http://www.riogrande.co.jp/pinarello_opera/

 

 

(写真/小野口健太)

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