2018年02月09日
芦田昌太郎の「どっちのインプレショー」 第4回 ローラー台編
自転車アイテムは選択肢が多く、時には重大な決断を強いられることも。アイテムが豊富になってきて喜ばしい反面、我々サイクリストの悩みは増えるばかり。この連載は似て非なるものや対極に位置するものをピックアップしてお届けいたします。
先日は強烈な寒波と降雪に見舞われ、路面もカリカリで練習すらままならない状況。やっぱりシクロクロス車かファットバイクが欲しいなぁ。そうすれば走れるのに。なんて言い訳を考えながら日々惰眠を貪っております。これではいけない。そうだ、ローラーしよう! あれ? ローラー台が見当たらない……。そういえば家が手狭になって友人宅へ嫁がせたんでした。これは早急に何とかせねば。ということで、今回はローラー台対決です。ローラー台と言えば固定式と三本ローラー。今回使用するのはELITEの固定ローラー「QUBO FLUID(キューボ フルード」と三本ローラーの「ARION(アリオン)」。近年、ローラー台の進化は留まることを知らない状況ですが、今回はなるべく価格帯を揃え、且つ手の届きやすいモデルに絞って検討したいと思います。
人生は右か左か常に岐路に立ち選択を迫られているもの。選べるのはふたつにひとつ。さぁ、今の気分はDotch?
憧れの三本ローラー
今までは固定ローラーを使っていたので、やはり三本ローラーの「ARION」に興味があります。強い選手は三本ローラーを使っているイメージがありますし、実際TOKYOエンデューロや富士チャレンジの会場では三本ローラーでアップしながら出番を待っている強豪選手をよく見かけます。それに畳んだ状態がかさ張らないので収納もしやすそう。ただ、果たして私はちゃんと乗れるのだろうか……。不安に思っても仕方ないので、先ずは乗って見ましょう!
スキルアップとトレーニングする楽しさ
「ひゃ~っ!怖い!!」思わず声が出てしまいました。じつは私、今回が三本ローラーデビューなのです。壁をお友達と思えたのは、これがはじめて。怖いけれど……楽しいっ。走行感も実走に近いですし、アトラクションみたいで面白いですね。これなら飽きなさそうです。最初は力みでフラついていたのですが、次第に慣れてきてリラックスして乗れるようになりました。余計な力を抜くのは普段のライドと同じ。15分もすると壁から手が離れ、走行も安定。意外とすぐに乗れるようになるものですね。三本ローラーは、安定して走るために、ちゃんとしたライディングフォームを強いてくるので上達しそうです。本来のトレーニング効果はもちろんですが、体幹をしっかりと鍛え、さらにペダリングスキルの向上も望めるので、結果的に効率の良い正しい乗り方をマスターできそうです。
正しい乗り方(バランスの取り方)が自然と身につくのも三本ローラーのメリットだ
練習メニュー豊富な固定ローラー
一方、固定ローラーの「QUBO FLUID」。セッティングはとっても簡単。キューボは専用クイックに交換してローラー台に固定するだけ。面倒な調整がないのでどの自転車、どのタイヤでも簡単にスタートできます。安定感は抜群で、安心してトレーニングできますし、テレビを観ながらでも漕げます。インターバル系のトレーニングや高負荷・低回転のパワー系トレーニング、ゼロ負荷でのペダリング練習や片足ペダリングなど出来るバリエーションも豊富。ただし、フォームや身体の使い方をきちんと意識しないと怪我の原因にもなりますのでご注意を。ちなみに私は最高ケイデンスチャレンジをよくやっていました。反射系と神経系の練習でお尻が跳ねる限界までケイデンスをあげて最高値を狙うもので、私のマックスは226回転でした。また、ポジション出しをする時にも、漕いで確かめながら調整できる固定ローラー台は重宝します。
メニューに集中して、練習をこなしていくのであれば固定ローラーの方が適している
さて、両方のインプレッションが終わったところでラストジャッジのお時間となりました。
私が選んだのは……
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固定ローラー台のQUBO FLUID!
強度の高い練習に向く固定ローラー
まずお伝えしたいのは、どちらもとても静かだということ。これは賃貸マンションに住む身として重要なポイントなのです。専用マットを敷けば振動も気にならないレベル。ローラー台導入の第一関門は予めクリアされているので、これで心置きなく練習できます。さて、私が固定ローラーを選んだいちばんの理由は、短期間で仕上げなきゃならない状況が多いからです。公演や巡業などでライドができない期間が長く、レース前になんとか間に合わせるということが多いので、行う練習も必然的に高強度インターバルが主体に。やっぱり固定じゃなきゃ怖いですもん。もしもシーズンを通してしっかりと走り込めるのであれば三本ローラーも良いと思います。やはり走っている感覚があるのは楽しいですし、何よりスキルアップが見込めるのは素敵なことです。いつかは三本ローラーとは思うものの、今この瞬間に選ぶとしたら私は固定のローラー台。問題はちゃんと追い込めるかどうか……最近ココロが弱いからなぁ。がんばります。
ARION(アリオン)
価格:28,304円(税別)
スペック:つづみ型帯電防止ポリプロピレン製ローラー、折り畳んで自立収納可能、924~1144mmのホイールベースに対応
QUBO FLUID(キューボ フルード)
価格:39,420円(税別)
スペック:静粛性が高くタイヤの磨耗も軽減する直径 45 mmの大型エラストGELローラー、大型のファストフィキシングレバーでバイク着脱が容易、20 ~ 29インチホィール対応
(写真/小野口健太)
著者プロフィール
芦田 昌太郎あしだ しょうたろう
俳優。富士ヒル90分切りの中級クライマー。表紙の女性モデルに惹かれ初めて買った自転車雑誌がfunride。以来、大会MCを務めるなど縁が続く。