2018年01月18日
芦田昌太郎の「どっちのインプレショー」 第3回 タイヤ編
自転車アイテムは選択肢が多く、時には重大な決断を強いられることも。アイテムが豊富になってきて喜ばしい反面、我々サイクリストの悩みは増えるばかり。この連載は似て非なるものや対極に位置するものをピックアップし、私芦田が、比較インプレションお届けいたします。
それにしても寒いですねぇ。みなさん自転車に乗ってますか? 私は仲間と待ち合わせしないと起きることもままならず、だらけた新年を迎えてしまいました。このままじゃシーズンに間に合わない……どうしよう。それはさておき冬場のトレーニング期間、乗り込みも大事ですが、マシンチェックやオーバーホールもとっても大切です。なかでも意外とダメージを受けているのがタイヤ。夏の暑さを越えてひび割れたり、使いすぎてすり減ったりしていませんか? 改めて見てみると私のタイヤには小さな亀裂があちこちにありました……。ということで、今回はタイヤ対決!「一般的な700×23c」と「近頃流行りの700×25c」。
同条件で比較するために、今回はVittoriaのRUBINO PRO SPEEDの23cモデルと25cモデルで比較インプレッション!
今回、RUBINOがモデルチェンジしてからはじめて使います。じつは以前のRUBINOにはあまり良いイメージがなく……。そこそこ重いし、グリップ性能もあと一歩という印象でした。しかし新型モデルは新素材GRAPHENEを採用し、大幅に性能がアップしたそうなので、興味津々です。ちょうどこの冬にタイヤを買い替えようと思っていたので、今回の結果をもとに次は23cにするか25cにするかも決めようと思っています。
人生は右か左かつねに岐路に立ち選択を迫られているもの。選べるのはふたつにひとつ。さぁ、今の気分はDotch?
たった2mmの差だが、実際にホイールにはめてみると太さの違いは明らかだ
普段使い慣れているのは23c
インプレッション前にどちらかを選ぶとしたら23cを選びます。私が普段履いているホイールはひと世代前の細めなリムですし、タイヤは細い方が軽いです。巷でよく聞く、太めのタイヤの方が転がり抵抗が少ないという話についてはロジックがあまり分からないので、実際に走ってみて比べたいと思います。何はともあれ、早速走ってみましょう!
190gというアドバンテージを持つ23c
まずは乗り慣れている「700×23c」から試していきます。大まかな感覚は、いつも使っている23cタイヤのイメージ通りです。ただ、新型RUBINOは重量が190gと軽いのでこのままレースもいけそうです。しなやかに路面を捕らえてくれて、耐久性もかなり良さそう。まさにオールシーズン、オールラウンドな1本と言えます。今までのRUBINOはどちらかというと通勤用というイメージでしたが、新型はかなりのバージョンアップされていますね。
余談ですが今回撮影用にお借りしたホイール、VittoriaのElusion Carbon、これも完成度が高い! パワーを逃がさない適度な硬さとしなやかさ、そして軽さ。バランスの良いホイールです。しかも、前後セットで12万円代とコスパも抜群!
カーボンクリンチャーで最近主流となりつつあるワイド化されたリム。これなら25cもアリかなと思いつつも23cタイヤの190gという軽さを十分に堪能させてもらいました。
安心感と転がりの良さの25c
一方、「700×25c」。ん~太い! ライディングポジションからフロントタイヤを見ると明らかにその太さを実感します。乗ってみて最初に感じるのは、安心感。23cタイヤですと都内を抜けるまでは結構神経を使うのが常でしたが、25cであればストレスなく快走できます。たかが2mm、されど2mmです! カタログスペックで重量が23cより15g重く、205gという点が気になっていましたが、走っているぶんには重量差は感じにくいです。これが転がり抵抗の良さということでしょうか。平坦路や緩いアップダウンにおいては外周部の重みも手伝って良く回るので、25cの方が良く進むように感じました。そしてワイドリムのホイールには25cが似合いますね!
両方のインプレッションが終わったところでラストジャッジのお時間となりました。
私が選んだのは……
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700×25c!!
冬場のリスクマネージメントにも最適
決定打はその安心感。これに尽きます。冬場のトレーニングはLSDが主体になってきますし、しっかりと地脚を鍛える時期ですからね。リスクは少しでも減らしておきたいものです。その点25cならオールシーズン、オールラウンドに加えてオールウェザー。冬場のガレた道もスリッピーな箇所も神経質にならずに一定ペースで走れました。この物理的アドバンテージがそのまま精神的アドバンテージとなります。
デメリットは少しだけ重くなることですが、どうせ冬は「おのぼりさん」できませんよね。あ、おのぼりさんで思い出しました。ヒルクライムレースなら間違いなく23cを使います。RUBINO PRO SPEED 23cはクリンチャーで190gですもん。それでいてパンクリスクも少ないとくれば言うことなし。
もうひとつ気がかりな点だったホイールとのマッチングですが、ワイドリムでないホイールでも25cタイヤなら許せる範囲でした。ちょっとマッチ棒みたいになりますが、走行や抵抗には思うほど影響はないようです。
ところでGRAPHENEとは何者なのでしょうか? VittoriaのHPでその凄さは理解できましたが、これという体感は出来ませんでした。いや、むしろこの転がりの良さやグリップの良さ、新生RUBINOのすべてがGRAPHENEのおかげなのかも知れません。
ということで、私はこの冬は700×25cタイヤで乗り込みます! みなさんも是非、この機会に新タイヤで2018年をスタートさせてみてはいかがですか?
シーズン前に新しいタイヤに慣れておけば、本番での大きなアドバンテージとなりそうだ
vittoria RUBINO PRO SPEED
価格:6,300円(税別)
サイズ:700×23c、700×25c
重量:190g(23c)、205g(25c)
TPI:220TPI
使用したホイール
vittoria Elusion Carbon
価格:127,000円(税別・前後ペア)
重量:1450g
リムハイト:30mm
※チューブレスレディ
問:vittoria japan http://www.vittoriajapan.co.jp/
(写真/小野口健太)
著者プロフィール
芦田 昌太郎あしだ しょうたろう
俳優。富士ヒル90分切りの中級クライマー。表紙の女性モデルに惹かれ初めて買った自転車雑誌がfunride。以来、大会MCを務めるなど縁が続く。