2018年01月05日
芦田昌太郎の「どっちのインプレショー」 第2回 サドル編
自転車アイテムは選択肢が多く、時には重大な決断を強いられることも。アイテムが豊富になってきて喜ばしい反面、我々サイクリストの悩みは増えるばかり。この連載は似て非なるものや対極に位置するものをピックアップして、インプレッションを実施。私の独断と偏見で、どちらかのアイテムを選んでしまおうというものです。
さて、連載2回目のテーマはサドル。「穴なしサドル」と「穴あきサドル」を比べてみます。今回は穴の有無のみを比較するためにセラ イタリアの「SLRチームエディション」と「SLRチームエディションフロー」をインプレッション!
ちなみに約1年前の2016年11月10日のWEEKLY FUNRiDEのアンケートでは66%の方が「穴あきサドル」を使用しているとのことでした。
今の気分はDotch?
それでは両アイテムをインプレッションしていきます。まずはスタンダードな穴なしサドルである「SLRチームエディション」。
良いルックスです。スッキリしていてスマート。座り心地も良いですね。どこにも無駄がない王道のロードサドルといったところでしょうか。またチタンレールなので安心感もあります。10kmほど乗ってみると、サドルのベース部分に適度な「しなり」を感じ、ペダリングが楽でした。パッドは肉厚なので冬場のロング走でも重宝しそうです。
パッド量はレーシングサドルとしては多め。レースからロングライドまで幅広く使うことができそう
一方、穴あきタイプの「SLRチームエディションフロー」。
中央の穴以外はまったく同じ形状。走行中の印象もほとんど変わりません。むむむ。これは難しいジャッジになりました……。
値段で言えば、穴のあいている「SLRチームエディションフロー」の方が1,300円ほどお高い。使う材料は少ないのに価格が高いのは製造の手間や技術料なのかしら? もしかして強度を保つために細かく厚みを変えているとか……。長袖シャツと半袖シャツが同額というのと同じくらい、文系人間の私はモヤモヤを感じてしまいます。
値段は1,300円お高い穴あきモデル。使う素材は少ないのに……笑
実際の数値も気になったので重量も見ていきましょう。カタログ値で穴なしの「SLRチームエディション」が175g、穴あきの「SLRチームエディションフロー」が170g。穴の分だけ軽く仕上がっているようですね。疑い深い私はキッチンスケールで自分でも測ってみました。すると、両モデルともまさかの175g! 5gの誤差なんて許せる範囲ですが、これでますます判断が難しくなってしまいました…。
ウンウン悩んでいても始まらないので、日を改めてさらに走行距離を伸ばしてみました。
50kmほど乗ると、両者の間には差が。穴あきサドルの方が僅かに柔らかいというか「しなり」が大きいように感じます。
そして70kmを超えると、スタンダードな穴なしサドルではちょっと当たるというか、少し圧迫されるようにも感じ始めました(慣れない新品のサドルでまだ馴染んでもいないので、このくらいは想定内といったところですが)。
一方、穴あきタイプの「SLRチームエディションフロー」は終始良い感じです。ピタっとフィットしてくれますし、不安要素もありません。
結局100km楽しく走ってしまいました。
両方のインプレッションが終わったところでジャッジのお時間となりました。
人生は右か左かつねに岐路に立ち選択を迫られているもの。選べるのはふたつにひとつ。私が選んだのは……
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穴あきサドル!
何と言っても怖くない! 穴があいている「SLRチームエディションフロー」なら、痛くなるかもという不安に襲われることなく、思い切り乗れました。メンズにとっては大事なところが圧迫されるサドル。長距離・長時間のライドをするのなら、ここは譲れないポイントです。私は身体が硬く、骨盤を前傾させて乗るので、大事なところにアタリが出てしまうのです。もっとちゃんとライディング・ポジションが取れれば良いのですが、この柔軟性の無さだけはどうにもならなくて……。大概のサドルは気にならないのですが、刺激され続けるとトイレ時の最初のチョロっていうのが痛いんです……。それを経験して以来、今でもトラウマ。ということで私は、穴あきサドルを選びます!
ただ、人によっては穴あきのほうが痛さを感じる方もいらっしゃるようで。それぞれのライディングポジションや体つきによって、好みが分かれるのかもしれませんね。さてさて、みなさんはDotchを選びますか?
今回比較した商品
セラ イタリア SLR チームエディション
価格:18,500円(税別)
サイズ:131×275mm
重量:175g
カラー:ブラック/レッド
レール:Ti316 チューブ φ7mm
セラ イタリア SLR チームエディション フロー
価格:19,800円(税別)
サイズ:131×275mm
重量:170g
カラー:ブラック/レッド、ブラック/ホワイト、ブラック/イエロー
レール:Ti316 チューブ φ7mm
問:深谷産業 http://www.fukaya-sangyo.co.jp/
(写真/小野口健太)
著者プロフィール
芦田 昌太郎あしだ しょうたろう
俳優。富士ヒル90分切りの中級クライマー。表紙の女性モデルに惹かれ初めて買った自転車雑誌がfunride。以来、大会MCを務めるなど縁が続く。