2017年12月11日
芦田昌太郎の「どっちのインプレショー」 第1回 アイウェア編
自転車アイテムは選択肢が多く、時には重大な決断を強いられることも。アイテムが豊富になってきて喜ばしい反面、我々サイクリストの悩みは増えるばかり。この連載は似て非なるものや対極に位置するものをピックアップして比較してみようというもの。どうぞ長い目でお付き合いください。
記念すべき第1回目の対決はアイウエア。今回はフランスのアイウエアメーカー、ボレーのアイテムをお借りして「最近流行りの一眼レンズタイプ」と「顔立ちを選ばない二眼レンズタイプ」を比べてみます。アイウエアといえば、「夏」のイメージがあるかもしれませんが、これからの時期の低温や乾燥から目を守るためという意味でも重要なアイテムです。
人生は右か左か常に岐路に立ち選択を迫られているもの。選べるのはふたつにひとつ。さぁ、今の気分はDotch?
先ずは実際にインプレッションする前の第一印象だけで判断すると、選ぶのは「二眼レンズ」!
やっぱりアイウエアは似合わなくちゃ! 外見は非常に大事なのです。もちろん一眼レンズの良さは想像できるのですが、果たして海外のプロ選手のように格好良くなれるだろうか……だって、わたし日本人ですもん。完全にチョンマゲの似合う顔ですし……。そもそもレンズ自体の性能はどちらも良いはず。ならば似合うものをチョイスしたいというのが人情です。
それではここからは実際にインプレッションしていきましょう!
まずは第一印象で選んだ「二眼レンズ」のBOLTから。もう言葉は要りません。しっくりきます。やはり慣れているものは良いですね。しかも、このボレーのBOLTは視界良好。レンズの性能の良さがハッキリと分かります。一眼レンズのAEROMAXのようなサイドシールドは無いものの、全体のカーブが強めでフィット感が良く、気になる風の巻き込みも防いでくれています。レンズの交換も簡単で、シーンによって使い分けることも可能です。それに、二眼レンズタイプは一眼レンズに比べて汎用性があるように思えます。私は山でも海でも運転中でも使いたいですし、草野球では外野手なのでアイウェアは必需品です(アイウェアをして落球すると言い訳がきかないのですが……)。といったように、私はお気に入りのモデルを自転車だけでなく様々なシチュエーションで使いたいのです。
一方、「一眼レンズ」のAEROMAX。格好良いです。この夏のツールドフランスでもこのタイプを着けている選手をよく見かけました。プロ選手が使うものはどうしてこうも素敵に映るのでしょうか。それにプロが使っていると速そうに感じます。
それでは、いざ装着。最初に驚くのは視界の広さ。それに軽い。ん? ヘルメットを被ってジャージになると結構似合うかも。すみません。ただの独り言です、気にしないで下さい。それはさておき、自転車のアイウエアはヘルメット込みで考えたほうが良いみたいですね。今回使用したボレーのAEROMAXはサイドシールドのおかげで風の巻き込みも少ないですし、深い前傾姿勢を取っても視野が広いまま。B-MAXテクノロジーというサイクリング専用設計の全方位視野補正レンズにより前方だけでなく走行中チラッと横目で周囲を見てもハッキリと視認できます。また調光レンズというのも有難い。ロード練習に出ると、日差しや天候の変化もありますし、終始ストレスを感じないでライド出来るのは嬉しいです。
また、どちらのモデルにも共通している点ですが、ボレーのアイウエアはアンチフォグ(曇り止め)機能がとっても優秀。これからの時期はネックウォーマー等で顔周りを覆う機会も増え、安物のアイウエアだとレンズが曇りっぱなしなんてこともありますが、今回の2モデルは、つねに視界良好でした。
両方のインプレッションが終わったところでラストジャッジのお時間となりました。
私が選んだのは……
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一眼レンズのアイウェア!
やはり何と言っても「視界の広さ」がいちばんのポイント。「自転車専用設計レンズ」の凄さに惹かれました。どの角度を見ても歪みが無いのです! 目の保護、眩しさ、チラつきを抑えるのはどちらも一緒なのですが、下ハンを持った時、そしていちばん速度の出る下りでの一眼レンズの視界の広さはまさしくストレスフリー。これは流行るはずです。自転車は高速で走る中で路面や周囲の状況を判断しなければならず、ともすれば危険と隣り合わせのスポーツです。安全に自転車を楽しむためには、的確な視覚情報を得ることが非常に大切だということに改めて気付かされました。
それから、手前味噌ですがヘルメットを被れば和風の顔でも一眼レンズが意外と似合いました。なので、他のスポーツとは一線を画し、「専用アイウエア」を買う勇気を持つことにします。ただ、だからといって今回試した二眼レンズのBOLTが劣るわけではありません。しっかりと視界は確保されていますし、お値段ではこちらに軍配が上がります。
短時間で終わるライドやヒルクライムレースなどでは二眼タイプを使うような気がします。余裕があるのならシチュエーション別に使い分けるというのが理想かも知れませんね。
しかし、今連載のように「選べるのはふたつにひとつ」なら、私は一眼レンズのアイウエアを選びます!
さて、あなたの選択はDotch?
AERO MAX
価格:27,500円(税抜)
カラー:Matte White/Mint Modulator Brown Emerald oleo AF
※ Matte White/Orange TNS Fireカラーは26,000円(税抜)
BOLT
価格:25,000円(税別)
カラー:Shiny White Modulator V3 Golf oleo AF
※記事中着用ヘルメット
THE ONE BASE
価格:19,800円(税別)
カラー:Black/Yellow
問:フタバ商店 https://www.e-ftb.co.jp/
愛三工業レーシングチーム テクニカルディレクター 西谷泰治さんもBolleを愛用
Bolleのアイウェアは2008年から愛用していますので、来年で10年目です。
使い始めたきっかけは、なんといってもかけやすさ。それまで使っていた物は顔にフィットしなかったことで耳の付根が痛くなるほどでした。
Bolleはその点、ツルとノーズパッドが微調整できるところがいいですね。レンズも丈夫で飛石が当たっても傷つくことがほとんどありません。
(写真/小野口健太)
著者プロフィール
芦田 昌太郎あしだ しょうたろう
俳優。富士ヒル90分切りの中級クライマー。表紙の女性モデルに惹かれ初めて買った自転車雑誌がfunride。以来、大会MCを務めるなど縁が続く。