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2018年06月06日

【菊地武洋のバイク コネクティングを考える】つながり、進化し続ける…… Xplova

拡張性と連携が性能差を生む

今回はサイクルコンピュータの話をしよう。自転車のパーツが関連性をもってつながっていくバイク・コネクティングを考える上で、サイクルコンピュータは言うまでもなく進化の中心地である。どんなサイクルコンピュータを選ぶかによって、得られる情報や質も違ってくる。製品を選ぶ基準は人それぞれ。走行速度やケイデンスといった精度に問題を抱えている製品はなく、どれを選んでも大きな問題を抱えたり、失敗はない。それゆえ、かえってナニを選ぶかセンスを問われる。サイクルコンピュータに造詣の深いサイクリストたちから注目を集めているのが、PCメーカーの《acer》が作った《エクスプローバ》だ。
画面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《SPEC》
E5 evoスペック

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問い合わせ先:日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD) / エクスプローバ  

最上級モデルの《E5 Evo》はHDビデオカメラを搭載し、ハンドル周りをスッキリとまとめることができるのが大きな特徴だ。電動変速のサテライトスイッチ、ジャンクション&ケーブル、サイクルコンピュータのマウント、ヘッドライト、アクションカメラ……機能を増やせば、その分だけハンドル周りは煩雑になる。操作系が集中する場所なので、シンプルな方が使いやすいし、見た目もキレイだ。というわけで、2つを1つにできるのはありがたい。動画を SNSYouTubeにアップしたり、編集してPCに保存するようなマメさもない人でも、万が一のためのドライブレコーダー代わりとして動画撮影は便利だし、必要性を感じている人も多いだろう。

僕は動画に詳しくないので比較はできないけど、少なくとも僕は不満がない。そう思うのは、基本は動画も撮れるサイクルコンピュータである。動画はオプションだ。録画時間の短さを指摘する人もいるようだが、それよりも走行時の心拍数やワットを動画に簡単に埋め込める機能のほうが、僕のような動画弱者にはありがたい。エクスプローバのカメラは動画の魅力の扉を拓くモノと割り切るべきだと思う。

Video
録画した動画に走行データを簡単に挿入でき、Facebookなどに投稿しやすいのも好評。

エクスプローバのパッと見の特徴はカメラだが、じっくり付き合うと、それだけでないことがわかってくる。サイクルコンピュータの機能を大きく分けると、走行中のリアルタイムデータとログの2種類。ケイデンスやナビのデータは走行中に見たいものだし、パワーメーターや動画は家に帰ってから活躍するログデータだ。で、ここ数年で進化を遂げたのは後者のほうだ。通信を使ったファームウエアのアップデートによって、不具合はすぐに修正されるようになった。通信機能を持たない部品は右肩下がりで性能が劣化していくが、サイクルコンピュータは一定の時期までは性能が向上していく。また、パワーメーターなど他のサービスと連携して、機能も増していくのが最新サイクルコンピュータの面白みだろう。

ストラバトレーニングピークスといったトレーニングアプリ&サービスと連動するのを、エクスプローバの最大の魅力に挙げる人も多いと思う。ルートを作成したり、アクティビティの管理をするエクスプローバ・コネクトの出来も満足度が高いし、SNSと連動しやすい動画機能がいいという人もいるはずだ。どの機能も素晴らしく、文句のつけようがない……とまでは言わないが、バランスよく高いレベルにある。また、課題があったとしても、すぐにアップデートで改善されている可能性もある。ボタンが押しやすいとか、液晶がキレイといったインターフェイスが大切なのはもちろんだが、アップデートの頻度や他社との連携も製品選びの指針になる。

画面
誤操作を防ぐため物理スイッチを残して使いやすさも考慮している。画面の見やすさもユーザーから評価が高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海外マップ

 

多言語に対応するだけでなく、海外のライドのときも地図を別途購入することなくダウンロードして対応できる。

 

 

 

 

 

 

 

 
自転車用としての実績こそこれからだが、acerにはコンピュータメーカーとしての実績なら十分にある。カメラと連携させたのも新鮮だし、無駄に豪華にするのではなく、価格を抑えつつ必要十分な機能を与えているのも秀逸である。他にもスマートフォンと連携するメーカーは出てきているし、評判もいい。サイクルコンピュータの勢力図は大きく書き換わりつつあり、目が離せない分野になりそうだ。

写真:和田やずか、日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD)

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