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2018年05月08日

【菊地武洋のバイク コネクティングを考える】欠かせないモノになるかも…… BONX

より速くよりも、より楽しく。いつの間にか、そんなパーツや自転車に惹かれるようになった。速く走るにはモノより人を鍛えるべきだというのもある。それに最近のフレームやコンポは実によくできているので、大きなハズレも本当に少ない。それはもちろん歓迎すべきことなのだが、ハズレがあるからアタリというのは嬉しい。というわけで、最近は新しめのジャンルの製品に好奇心が湧いている。

見た瞬間に一目惚れ。

BONXグリップはBluetoothとスマホ&アプリを介して会話できるイヤフォン型のコミュニケーションツールだ。簡単に言えば、最大10人まで会話ができる着用トランシーバーのようなもの。ただし、BONXはスマートフォンの3G&4G回線やWifi環境下であれば、距離に関係なくハンズフリーで会話を楽しむことができる点がトランシーバーとは大きく異なる。小型でハンズフリーで通話できるので、ワールドツアーチームの“LottoNL-Jumbo”は選手とチームカーのやり取りに使用しているという。S・クライスヴァイクやP・ログリッチェなどの強豪選手を擁するチームなので、彼らが使っているのを見たことのある人もいるだろう。

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カラーはブラック、ホワイト、ピンク、グリーンの4種類。販売は1個入りパッケージ(15,800円)のほか、2個入りパッケージ(29,800円)もある。
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カバーをめくるとパワースイッチと充電用のUSBポートが出てくる。その上にIDが記されている。

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アプリをダウンロードして、イヤフォンとスマホをペアリングする。ダウンロードから10分もあれば、セッティングは終了。アプリは扱いやすく、セッティングも簡単。

ハードウエアの細かい話はおいといて……
BONXの魅力は当たり前だが、話ながら走れること。人から自転車の楽しみについて聞かれると、僕は長らく「気持ちのいい景色の中を、サドルに座ったまま友達と話をしながら1日を過ごせる」ことと話してきた。そんなにユルいばかりじゃないし、孤独や静寂を楽しめるスポーツだとも思うけど、人に魅力を伝えるとしたら「話ながらできる」という点は欠かせないと思った。しかし、今や話をしながらどころか、並走するのもほぼ不可能である。2人で走りに出かけても、ほとんどの時間を行儀良く、前後になって静かに走る。そんなに話していたいの?と聞かれれば、「そうでもないけど」と答えるが、それは嘘だ。黙々と走るなら一人でいいし、一人のほうがいい。

最初にアタリハズレがないとつまらないと言っておきながら、言うのもなんだが……BONXについては、最初から「ほぼアタリ」だとわかっていた。というのも、取材撮影のときにクルマの有無やカメラマンのスタンバイ状況をトランシーバーで教えてもらうことがある。で、その便利さを思えば、答えはわかっている。通常、グループで走るときは手信号でコースや道路状況を後続に知らせるが、言葉なら先頭の人が声をかけるだけでいいし、情報も詳細だ。初心者で手信号に不安な人もいるだろうし、ハードウエアの評価は期待に添えるか否かである。

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イヤーパッドとイヤーキャップは汚れたり紛失したとき用に別売りもある。

フィット感は耳の外側を通すイヤーループが3種類、それと耳甲介にフィットさせるイヤーキャップが2種類。この5つを組み合わせて自分好みにする。僕にはピッタリとフィット感したが、ここがBONXの評価を大きく左右させるポイントだ。音に関しては外部の音も適度に入ってくるので走っていると、装着しているのを忘れてしまう。関心したのは風切り音が入って来ないこと。峠にも行ってみたが、オジサン(友達)のアヘアヘ息が聞こえてきたら……と思っていたが、アプリ側で「会話」と「そうでない音」を判別しており、そういう不快な音を拾わないのがいい。音質に関しては必要にして十分なレベルだ。

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アイウエアのテンプルとの干渉も気にならない。


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ボリュームが小さいと感じる人もいるようだが、キチンとイヤーキャップの位置が決まって、アプリ側のセッティングもすれば十分に聞こえる。音声のタイムラグは電波環境に依存しているようで、3G環境下では若干ラグを感じた。峠では電波の届かないエリアや、音声が乱れることもあった。しかし、声がハッキリと聞き取れなくても、注意喚起にはなる。BONXがあることで走っている最中、ずっと話をしているかと問われれば、そうではなかった。でも、実力差がある人と走るときにBONXがあれば、先に行ってもらうことも、後ろに置いていくにも罪悪感がグッと減る。グループライドは楽しいが、ある程度は走行レベルが揃っていることが条件でもある。それ故、どんなに親しくても、体力差があると一緒に出かけにくいが、こういう機器によって、垣根がなくなったり敷居が下がるのは大きな魅力だだろう。

なくてもいいけど、あるといい。

インターネットだって、スマホだって、最初は「なくてもいいけど……」だった。それが一定数になった段階で爆発的にヒットして、欠かせないモノになった。バッテリーの寿命など、いくつかの課題はあるが、方向性は正しいというか、明るいだろう。と、この辺の結論までは予定調和。最後に予想外の褒め言葉がロケに同行しながらBONXを装着しなかった同僚からあった……。

「BONX、すごいですね」

「なにが?」

「僕だけ、仲間はずれ感がすごくあります」

「近くにいるし、話の内容はほぼ分かっているんじゃないの?」

「でも、完全に外れているんです」

ひょっとすると大化けするかもしれない。そんな予感をさせられた。

 

 

SPEC
Spec 2 Spec 1

関連URL:BONX https://bonx.co/ja/
インターマックス http://www.intermax.co.jp/
写真:和田やずか
文:菊地武洋

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