2015年11月05日
3モデル インプレッション/ FELT編 総論
総論◆FELT
山本:今回テストライドを行なった3シリーズですが、カーボンフレームのグレードとしてはもっともお求めやすいモデルなんですね。
菊地:なんかそれぞれすごく個性的なんだけど、3つまとめてみるとおとなしいというか。新しさもないけど古さもない。特化してないというとイメージが良くないけど、バランスは崩していない。というのも誰かにオススメするときに、クセがあるとターゲットが限定されやすいからね。スペックがすごいけど走らせるとダメみたいなのはたくさんあったけど、そういうバイクたちではないよね。
小高:全体的に質実剛健で際立った弱点というのは感じられませんでした。
菊地:総論としては色気が欲しいね。ブラックの流行から時代の流れも変わってきているので、カラフルなものは欲しいね。もっと明るい色があるといいね。乗り味が優しいのに見ためが武闘派っていうのは(笑)。とはいえF5のパーツスペック的には改良の余地がたくさんあるけど、ベースは悪くない。
小高:すごい走るバイク。カーボン柄のフレームは高級バイクへの憧れに感じとれます。アルミバイクからのステップアップだととくにあの柄は惹かれるんだろうな。実際に廉価モデルらしくない仕上げに見えますね。
山本:オーソドックスな王道バイクなので特徴がないように見えるのが残念かも。でも初めてのカーボンバイクとしては最適ですね。
小高:そういうイメージはありますね。一方で、ハイエンドモデルに乗っている人はあまり見かけない印象です。
山本:ハイスペックなフレームも扱っているブランドだけど安くても良い、だからこれでイイネ、っていうイメージがついているかもしれない。
菊地:でも学生がハイエンドモデルに乗っていたら生意気だよね〜(笑)。今回のフェルトは新社会人になったら新しいの欲しいんです、っていうファーストステップにすごく向いていると思う。
小高:そうですね。会社の自転車乗りの先輩に「FELTなんて通だね!」って言われるかも(笑)。
山本:AR5はちょっと前に乗ったきりで。久しぶりにまたがったんですが、とても良いイメージになっていましたね。
菊地:よそもそうだけど、カーボンフレームって放っておくと良くなるよね(笑)。メーカーが時間をかけてやっぱり弱点をよく潰しているよね。レイアップだけでも変わるから。試乗する価値はあるよね。同じですって言われても、大きく変わることも想像できる。
小高:継続モデルが年代とともに悪くなることもありますか?
菊地:悪くなることはあまりないんじゃない?
山本:たまにローンチで乗ってメチャクチャ走ったのに、翌年は平凡に……という経験もあった。カーボンをレイアップしたのが初期はエンジニアだったのが末期はパートタイマーになったのかどうかとか、定かではないけど(笑)。
菊地:工場が変わったパターンかもね、それは。だけど”悪くない”って言う表現は限りなく”良い”に近いよね。知り合いの誰かが、カーボンフレーム買っちゃいましたと言っていて、心の中で”ああーやっちまったか”って思うことがないもの。そういう意味では”フェルトを買ったんだけど良いかな”って聞かれたら、”良いチョイスだと思うよ。使い方や好みに合わせていじっていこうか”って言える。
小高:僕もそう思いますね。
山本:Zシリーズは初代モデルに乗ったときの感動が忘れられませんね。ロードはこういう進化もあるのかって。そのコンセプトはいまも引き継がれていて。完成度がとても高いですね。
菊地:最初はびっくりしたよね。突然なにを言い出すんだと。驚いたよね。
山本:コンフォートだって言われて乗るとスゲー走るじゃんと。
小高:海外と日本でコンフォートって言葉の認識が違うんじゃないかって思いました。それだけよく走る。
菊地:いまのところで乗ったバイクのなかの話になるけど、ホイールベースとヘッドチューブを長くするのは良いけど、トップチューブはこんなに短くしなくてもいいよね。台形フレームのような印象で、上辺をそんなに狭くしなくてもいいのかなって思う。レーシングバイクももうちょっとホイールベース長くてもいいかなって。
山本:とはいってもエンデュランスバイクって総じて乗り味が好きなんですよね。このZシリーズはその最初のイメージを作り出したもの。あの創造力はフェルトの実力だし、いまもなお衰えていないでしょう。ブランド力はかなり高くてトップクラスの実力を持っている。お手頃なバイクでもそのノウハウがしっかりと息づいているのを感じ取れるところも印象がよいですね。
(写真/和田やずか)
ライトウェイプロダクツジャパン http://www.riteway-jp.com/bicycle/felt/
著者プロフィール
ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。