2015年10月30日
3モデル インプレッション FELT編 VOL.1/F5 (スタンダードモデル)

FELT / F5 IMPRESSION
フェルト/F5のインプレッションをお届けしよう。このフォルムから想像するように、スタンダードなフレーム形状で、オールラウンドな性能が特徴のモデルである。F5は同シリーズのカーボンモデルのなかではもっともお求めやすいモデルとなる。
FELT / F5 メインコンポーネントはシマノ・105。完成車実測重量は7.9kg(ペダルなし)。カラーはマットカーボン、サイズは480、510、540 、580mm 価格:248,000円(完成車、税抜)
IMPRESSION
「もっと高性能になる」(菊地武洋)
- 不憫なバイクである。いろいろな自転車に乗ってきた人なら、きっとそう思うはずだ。ポテンシャルが高いのに、パーツとのバランスが悪く、力が発揮できていない。「やれば、できる子」なのに。 フレームはセンターにズレがなく、真っ直ぐに前輪と後輪が同じ場所に轍を作っていく。このクラスでフレームのセンターがズレていることなど、ちっとも珍しくない。そんなフレームは、どんな軽くても所謂「走らない」フレームだ。その点、F5はかなり上質な部類である。振動の収まりも早く、各部の剛性も十分だ。身体に触れる場所のハンドルやサドルの出来も、価格を考えれば上等である。上下で締め付けトルクを変えたシートクランプバンド、リヤブレーキのワイヤラインを内蔵しなかった点など、入門者のための気遣いを感じる。 なのに、ブレーキ性能がフレームに伴っていない。走るフレームに、制動力の低いブレーキ+摩擦抵抗の大きなホイールセット。もっともストレスの溜まる組み合わせだ。足回りのリフレッシュさえすれば、50万円クラスのロードバイクと遜色のない性能を発揮するだろう。定価をあと3万円上げても、その方がユーザーメリットは多い。価格競争の激戦区だけに、作り手サイドの事情も分からなくもない。コストパフォーマンスと騒ぎすぎて、ユーザーが損をする。そんな典型的なバイクである。若手で積極的にレース参戦したい人にオススメなリアルレーシングフレームだ。
「長い間楽しめるレーシングフレーム」(小高雄人)
オーソドックスなフレーム形状に、カーボン柄の落ち着いたカラーリングには決して派手さはないが、流行り廃りに影響されずにずっと乗り続けられる雰囲気を持っている。シンプルがゆえに自分好みのバイクに作り上げていくことができるだろう。乗り味も同様に、パーツを組み替えてグレードアップしていくことで、長年ライダーを満足させてくれる性能を有する一台だ。 価格帯がとても幅広いロードバイク選びで、1つの選択基準として使われる「コストパフォーマンス」という点では、トップクラスのバイクだと感じる。乗ってみてとくに際立ったのはBB周りのしゃっきり感。ぺダリングの抜けが良く、平地も上りも軽快に走る。峠を走ったり、ヒルクライムレースに挑戦したい人にはとくにおすすめできる。ハンドリングは若干ではあるがクイックなところがあるので、その点は意識しておいたほうが良さそうだ。整備性と軽量性を意識したことで、ワイヤー類は外付けの仕様を選択している。ここは好みが分かれるだろう。
「ピーキーなチューンを施したくなる」(山本健一)
Fシリーズは世代が変わっても、グレードが違っても期待していなくても裏切らないシリーズだ。このF5も無論、外観から想像させる乗り味どおりの質感で、軽快なライディングフィールを提供してくれる。そしてブラインドテストをして価格を当てろ、といわれたら大きく外してしまう可能性があるほどレスポンスがよい。一方でシマノ・105という質実剛健なコンポーネントを奢っているが、ホイールやタイヤのアッセンブルはもう少し頑張ってほしかった。タイヤのパフォーマンスがそこそこのレベルなので印象はよいものの、ホイールがいかんせん……。ただしフレーム性能がそれを補い余るとはいえる。そして、机上から見た場合にこのF5には空力特性が足りないように見える。たしかにその通りではあるが、この高い運動性能を前にしたらそれも希薄に感じる。初めて選ぶカーボンバイクのベンチマークといえるモデル。上級者はあえて選ばないフレームと言えるだろうが、このフレームにデュラエースとライトウェイト・マイルシュタインなどを入れてみたら面白いかもな、と期待させるのである。
(写真/和田やずか 文/編集部)
FELTのお問い合わせ先:ライトウェイプロダクツジャパン TEL.03-5950-6002 http://www.riteway-jp.com/bicycle/felt/
著者プロフィール

ファンライド編集部ふぁんらいど へんしゅうぶ
FUNRiDEでの情報発信、WEEKLY FUNRiDE(メールマガジン)の配信、Mt.富士ヒルクライムをはじめとしたファンライドイベントへの企画協力など幅広く活動中。もちろん編集部員は全員根っからのサイクリスト。