2016年12月16日
【自転車活用推進法成立報告会】基本概要の説明をしよう
自転車活用法推進法案の成立にともない、報告会が2016年12月16日参議院会館で行なわれた。
議会全文を公開するが、そのまえに自転車活用推進法と関係法律を整理してみよう。
現在、交通政策基本法が存在しているが、より自転車関係の施策を具体化するものが自転車活用推進計画である。
交通政策基本法とは
(1)交通による環境への負荷の軽減が図られること。
(2)徒歩、自転車、自動車、鉄道車両、船舶、航空機などの手段による交通が、特性に応じて、役割分担し、かつ、有機的かつ効率的に連携すること。
(3)交通安全対策基本法などによる交通の安全の確保に関する施策との連携が確保されなければならないこと。
この安全政策基本法の計画は
(1)基本的な方針
(2)目標
(3)政府が総合的かつ、計画的に講ずべき施策を定める。ことにある。
この計画から自転車関係の施策を具体化
目標および、講ずべき必要な法制上・財政上の措置法を定め、交通政策基本法にフォードバックする
のが、この成立した自転車活用法推進法案である。
また、社会資本整備重点計画法にも共通する。
この基本理念は国際競争力の強化などによる経済社会の活力の向上、および持続的発展、豊かな国民生活の実現、およびその安全の確保、環境の保全、並びに自立的で個性豊かな地域社会の形成が図られるべきこと、にある。
2つにまとめると
(1)重点目標
(2)実施すべき社会資本整備事業の概要
などを定めること、である。
この2法に共通するのが、自転車利用環境の設備である。
・自転車交通網の形成
・ICTによる管理の適正化
・無電柱化
・駐輪場の確保 など
これからは新しい道や、整備が実施される場合は自転車道の整備が促進!されるということだろう。これまで色々な施策があったが、今回成立した法案はとくに重要度が高く、国から義務づけられるというのがポイントになる。つまり、どこかしらうやむやにされがちだった自転車の位置づけがくっきりとする。
交付から6ヶ月以内、つまりは来年の春ころには自転車活用推進法の本部が設置されるという。日本ではもっとも身近な乗り物として自転車が広く普及している。そしてスポーツとしての自転車の活用もようやく浸透し始めたところにこの法案は追い風となるだろう。ヨーロッパになることは不可能だが、独自の自転車文化の発展を遂げ世界に誇れる日がまた一歩近づいた。
いよいよ自転車活用が国家戦略のひとつに加えられるが、国の意識が変わっても自転車利用者の意識も大きく変えなければならないだろう。ルールを遵守し、よりマナーよくライドを行わないと社会不適合と言われても反論ができない。ここが大きなポイントになることは確実である。
(写真/編集部)
著者プロフィール
山本 健一やまもと けんいち
FUNRiDEスタッフ兼サイクルジャーナリスト。学生時代から自転車にどっぷりとハマり、2016年まで実業団のトップカテゴリーで走った。自身の経験に裏付けされたインプレッション系記事を得意とする。日本体育協会公認自転車競技コーチ資格保有。2022年 全日本マスターズ自転車競技選手権トラック 個人追い抜き 全日本タイトル獲得